【宝塚記念】待望の復帰戦へジャッカル 酒井学「胸を借りる」

24日、宝塚記念(G1)の最終追い切りが栗東トレセンで行われた。菊花賞1着以来のレースとなるトーホウジャッカル(牡4、栗東・谷厩舎)は、酒井学騎手を背に坂路で一杯に追われ、4F54.8-40.1-25.7-12.4秒をマークした。

デビューはワンアンドオンリーがダービーを勝つ1日前。更に未勝利を勝つまで3戦を要したが、そこから持って生まれた非凡な才能は一気に開花し、神戸新聞杯で権利を手にすると、菊花賞では従来のレコードを1.7秒も更新する走りで世代トップクラスまで成り上がった。初勝利以降の5戦は、中団より前の位置で上がりはすべて3位以内とシッカリした末脚を使えるのが大きな武器。勝った距離も1600mから3000mと幅広く、ダービー週にデビューして菊花賞を勝つという偉業を成し遂げた馬だけに、"過去"から導き出されるどんなデータも、型にはまらないまさしく未知の魅力に溢れている。

度重なる出走回避で、昨年の菊花賞からこの大舞台・宝塚記念へ直行する形となった異例のローテーション。決して順調とはいえない過程ではあるが、「ここまで計画を立てながら、追い切り組んできたのですが、最終追い切りとしては納得のいくものが出来ました」と主戦も語るように、ここを目標に切り換えてからは乗り込み量も十分で、できるだけのことはやった印象。
過去には皐月賞からぶっつけで菊花賞を制したサクラスターオー、1年の休み明けで有馬記念のリベンジに成功したトウカイテイオーが不利なローテーションを覆している。ファンが待ち望んだ復帰戦で新たな伝説を作り上げることができるか注目したい。



6月28日(日)に行われる宝塚記念(G1)の最終追い切りが、栗東トレセンにて行われた。
トーホウジャッカルに騎乗する酒井学騎手の一問一答は以下の通り。

●現状ではベストの仕上がり

-:宝塚記念を迎えるにあたり、まずは今日の追い切りに騎乗してみていかがだったでしょうか?

酒井学騎手:ここまで計画を立てながら、追い切り組んできたのですが、最終追い切りとしては納得のいくものが出来ました。

-:2週前追い切りも酒井騎手が追い切りに騎乗されています。先週は藤懸騎手が騎乗して、また今週は酒井騎手でしたが、手応えで良化しているような印象はありましたか。

酒:先々週、自分で追い切り乗ったのですが、その時、最後頭の上がらないフォームで走らせたいというイメージでした。先週は気合を入れる為にも併せ馬で時計も出しましたし、今日も最後だったので、時計というよりしっかりとしたフォームで走れるようにしました。最後の1Fで頭が上がって来ないような調教をしようというイメージでした。先々週乗った時は時計も速くなかったのですが、その時と比べると明らかに良くなっている感触は掴めました。

トーホウジャッカル

-:菊花賞が本当に強い勝ち方でした。今回8ヶ月ぶりということですが、その時と比べてここまでの状態というのはいかがですか?

酒:あれだけのパフォーマンス出来る馬なので、持っている能力というのは高いレベルだと思います。今回に関しても8ヶ月空いているのですが、この馬自身デビューしてから休み明けで競馬するというのが初めての経験なので、その辺りは陣営としても、僕としても、正直やってみないと分からない部分はあります。間を挟んで、目標としていたレースに出走出来ず、もう一度休養することになったのですが、そこからも上手く調教を積むことは出来ていますし、今持って来られる状態には、しっかり持ってこられたと思っています。

-:古馬とも初対戦になりますが、その辺りの期待と不安はどちらの方が大きいでしょうか?

酒:今回初めて古馬との対戦は一流どころのライバルとの戦いなので、胸を借りるつもりで挑戦者という想いで挑みたいと思っています。

-:トーホウジャッカルといいますと、菊花賞で従来のレコード1秒7更新するとんでもない強さでした。改めてこの馬の強みというのはどんなところでしょうか。

酒:何においても、器用な馬だなと思います。3000mという長丁場のレースでも折り合いは付きますし、動きたいところで動けて、このスペースを突きたいという時も突けますね。こっちの意思通りに動いてくれるという器用さが一番の凄みだと思います。

菊花賞の直線、内からこられた時ももう一伸びするという勝負根性も持っていますので、そこを伸ばしていけば古馬として走っているG1ホース達とも肩を並べて勝負出来る能力は秘めていると思います。


●「強いトーホウジャッカルの姿を」

-:今回宝塚記念は梅雨時期の開催という事もあり、馬場状態が懸念されますが、その辺り仮に馬場が緩くなったとして、馬場の適性というのはいかがでしょうか?

酒:まだ、梅雨時期の緩い馬場でレースをしたことないので、一度、小倉で道悪ではあったのですが、しっかりとこなしてくれました。今から馬場状態を不安材料として、自分の中に抱えようと思っていないので、精一杯のレースをして、それで道悪がどうだったのかということを、今回のレースで捉えてもいいのではないかと思っています。

-:菊花賞は内枠から素晴らしい競馬を見せてくれましたが、枠順などの希望はありますか?

酒:あんまり外よりも、真ん中より内目の枠の方が、競馬は組み立て易くなるのではないかと思っています。

トーホウジャッカル

▲復帰戦を心待ちにする酒井学騎手


-:先ほども酒井騎手が仰っていましたが、古馬の一流どころが出てきますし、ゴールドシップという馬も出てきますが、その辺りのレースプランというのは描かれていますか?

酒:あんまり早い段階から描き過ぎると頭いっぱいになってしまうので、まだぼんやりとしか考えてないです。これから枠順発表あった後から、何パターンかのレース展開というのをしっかり考えていこうかと思っています。

-:上半期を締めくくるグランプリレースです。菊花賞馬の復活を待ちわびたファンも多いと思いますが、最後にファンの皆様にメッセージをお願いします。

酒:ファン投票でも7位という結果で、みなさんにすごく支持して頂きました。菊花賞馬トーホウジャッカルの復帰を心待ちにしていたと思うので、強いトーホウジャッカルの姿をお見せ出来るように、僕も精一杯騎乗します。応援のほどをよろしくお願いします。

-:菊花賞からすると距離短縮で、2200mですが、距離的にはどのくらいがいいですか?

酒:最初勝ったのが1600で、最後が菊花賞と幅広い距離で走ってくれているので、何がベストというのはまだ掴めていないというのもあります。1度2000mを使った時に、かかる面があったので、ちょっと長いのかなという不安は抱いたのですが、その後に神戸新聞杯、菊花賞と折り合いつけて走っていました。まだベストな距離は見えないですね。逆に言えば、2200mというのは短くもなく、長くもなく、しっかりと走れる距離だと思っています。