ヴゼットジョリーがきれいに差し切る!

ヴゼットジョリー

16年7/23(土)3回中京7日目5R 2歳新馬(芝1400m)

ヴゼットジョリー
(牝2、栗東・中内田厩舎)
父:ローエングリン
母:フレンチビキニ
母父:サンデーサイレンス

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坂路の稽古で動いたスターペスマリアが1番人気。私の注目馬は、先週のCWで中京2歳Sで人気するサトノクロノスに先着をしたビートフォーセール。だがレースはシビアに終わった。2番人気ラニカイサンデーが軽快に逃げ、そのまま押し切ろうかとするゴール前、外を3番人気のヴゼットジョリーがあっさりと交わしていった。馬場の外目を使っての新馬戦、パワーと最後まで伸びる精神力が求められる一戦であった。


ゲートを出た瞬間に私の注目馬、ビートフォーセールは終わった。そんな感じであった。出は五分でもその後の二の脚がなく、鞍上のホワイトJの手が動いている。それでも前へ取り付いていけない。またたく間に後ろには4,5頭しかいない。
大外のナムラララバイと真ん中のヴゼットジョリーがいい出である、内からラニカイサンデーが楽に先行していく。ビーカーリーも並んでいく。ノゾミ、内ではマイネルハドソン、ヴゼットジョリーもこの先行集団にいる。そしてその後ろにスターペスマリアも続く。押して押してビートフォーセールは後ろめだ。2ハロン目を通過するあたりで、スターペスマリアがややかかり気味。外のヴゼットジョリーは、ピタっと折り合う。中団に取り付いたビートフォーセールだが、鞍上の手が小刻みに動いているのが見える。他で手が動いている者はいない。

3コーナーを過ぎて4コーナーへと向かう。ラニカイサンデーは内で先行。半馬身差でビーカリーだが、3番手の外にヴゼットジョリーが上がってきている。
全馬の姿が見えてくる4コーナーのカーブを廻ったあたり。かなり内を開けていたのが判る。芝はかなり内が悪いとよく判る。ラニカイサンデーが4頭分の外を廻ってきている。
そして直線へと入ってきたが、楽な手応えのラニカイサンデー。鞍上の松山Jが後ろを見て、さらに外へと出していく。3番手に上がっていたヴゼットジョリーは、もう追い出しにかかっている。2番手に上がったヴゼットジョリー。ラスト200でも、まだ1馬身はあったラニカイサンデーとの差。ラニカイサンデーの松山Jが右ムチ、ヴゼットジョリーの川田Jが左ムチで追っていく。

ラスト100のあたりで、ヴゼットジョリーが一気に加速した。あっと言う間に抜き去り、最後は手綱を抑える川田J。交わされたラニカイサンデーがやや失速気味になったのか、ハムレットが内へから急接近。クビ差まで迫っていた。ノゾミが4着、ビートフォーセールが何とか5着に来た。1番人気のスターペスマリアがその後に続いたが、前の3頭からはかなり離されてもいた。

新馬戦で、この馬場でレースをするのはかなり酷な戦いであろうと推測する。距離1400ながら、もっともっと外を廻っている。逃げる馬でさえも内に入れない馬場コンディション。負けている馬が次なるステージでガラリと変わる可能性も高い。勝ち馬は、こんな馬場でも能力を出しきる能力の高さに心臓面の強さも見逃せないと思う。
悲喜こもごものデビュー戦であった…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。