騎手時代とは違う 一勝の重み

-:競馬解説者としても知られる古谷剛彦氏の馬で、調教師として9月18日に初勝利を挙げましたね。

尾:初めに入れてくれたのが古谷さんでしたから嬉しかったです。騎手の時から「開業した時は入れてあげる」と、約束してくれていましたから。

-:その前開催が調教師としてのデビューでしたが、最初はどういうお気持ちでしたか?

尾:デビュー戦が1番人気で、どうしても勝ちたい馬だったのですが、競馬はなかなか難しいと改めて実感しましたね。オーナーにもスタッフにもファンにも、みなさんに申し訳なかったです……。本音は「競馬だからしゃあない。負ける時は負けるし、勝つ時は勝つ」ですが、そうはなかなか他の人には言えませんよね。

-:デビュー開催では、結局良い馬を揃えて未勝利でしたが、考えを改めたことはなかったですか?

尾:いや、それは特にないです。でも、「次は絶対に勝たなアカン」そう思いました。

尾島徹調教師

▲初勝利の口取り 右端が解説者としても著名な古谷氏、ジョッキーは東川騎手


-:そう思っていらした次の開催、カティサンダで初勝利を挙げられました。おめでとうございます。レース前は3頭出しで、人気もその3頭に集まっていて、これは負けられないと思ったでしょうが、どういうお気持ちでしたか?

尾:勝って欲しいというのはありましたが、とりあえず無事に回ってきてもらえればと。

-:3頭の中では、どの馬が勝つかなと思っていましたか?

尾:バカラスクイーズが勝つか、カティサンダかどちらかだと思っていました。あれも乗った感じは悪くありませんでしたからね。でも、勝ってくれるならどれでもと思っていました。

-:結果としては、カティサンダは勝ちましたが他の2頭は残念な結果でした。調教師としての勝利は騎手の時と比べてどうでしたか?

尾:騎手時代は勝っても、「ハイ、次」という感覚でした。1勝の重みが全然違います。

-:馬主さんもわざわざ来られていた中で、勝てたというのは大きいですね。

尾:ええ、勝てるところを見せられて良かったです。笠松までは毎回来られないオーナーさんも多いので、来られている時に勝たせられるのは嬉しいですね。

尾島徹調教師

▲厩舎スタッフたちと記念撮影


-:そして、これから長く続くであろう、調教師としての目標をお聞かせ下さい。

尾:まずはコツコツやっていくことです。そして、大きいレースを使えるようになりたいのと、使うだけじゃなくて勝つのが目標です。騎手でも調教師でも笠松リーディングを獲ってJBCにでも使えるようになればと考えています。また、交流のグレードレースに行っても、ただ回ってくるだけではないような馬、勝負を意識出来るような馬をつくりたいですね。もっと大きい夢は管理馬で、ぜひドバイに行きたいです。

-:関係者の方々に何かアピールすることはありますか?

尾:飼料は良いものを使っていると思います。栗東や美浦で使うようなエサですので、あとは調教技術を高めて、これまでの笠松の厩舎とは違うところを見せていきたいです。

-:笠松競馬のファンのみなさまに一言何かあれば。

尾:こんな僕ですが、騎手を辞めるにあたって、名残惜しんでくれる声がたくさん聞こえてきたのが本当に嬉しかったです。騎手としてファンの皆さんに支えられてやってこられた15年間でした。これからはファンのみなさまから愛される厩舎経営をしていきます。スターホースを多く出せるような厩舎にするために頑張ります。みなさんが競馬場の本場に来たくなるようなスターホースをつくりますから、ぜひウチの馬を観に来てほしいです。

(取材・写真=競馬ラボ特派員)

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