今週から阪神、中山の師走開催が開幕。かつての年末阪神開催はPOGファンの間でも注目度が高く、特に開幕週の2000m新馬戦の勝ち馬からはアグネスタキオン、ファインモーション、ラキシスのG1馬を筆頭に、ロイヤルタッチ、ブラックタイド、アドマイヤジャパン、アダムスピークら重賞ウイナーが出ている。さあ今年も…と言いたいところだが、11月の京都開催にリオンディーズ(牡2、栗東・角居厩舎)やサトノダイヤモンド(牡2、栗東・池江寿厩舎)など評判馬が出てしまったためか、阪神開幕週の2000m戦も例年よりは手薄な感。そんな中、注目は池江厩舎のディープインパクト産駒ということもあり、サトノマルス(牡2、栗東・池江寿厩舎)が挙がる。
「ディープインパクト産駒らしいバネ、切れ味がある。いかにも芝の長いところで弾けそう」と兼武助手。
祖母は重賞ウイナーのロンドンブリッジで、母の姉にはオークス馬ダイワエルシエーロがいるファミリー。血統はいいが、調教はまだまだ目立ったものがなく、同厩のサトノダイヤモンド同様、最終調教で変わり身を見せてもらいたい。

同レース出走予定のカサロサーダ(牝2、栗東・矢作厩舎)は、相手によってはマイル戦に切り替えることもあるという。矢作調教師はレース選択が巧みなので、この馬がそのまま2000m戦に出てくれば、今年はメンバーが弱いと見て良かろう。

そのマイル戦はラスファジャス(牡2、栗東・石坂厩舎)が有力。3代母がウインドインハーヘアで、ディープインパクトの同族である。調教(以降全て1週前)では、同厩の先輩クローディオに先着し、いい状態で初戦を迎えられそうだ。

サトノマルス
牡、栗東・池江寿、ディープインパクト×ゴッドフェニックス
POGシメイ

カサロサーダ
牝、栗東・矢作、ステイゴールド×センブラフェ
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カサロサーダ

▲矢作厩舎期待の1頭カサロサーダ


この2戦よりも粒が揃っているのは、牝馬限定の芝1400m戦。まずは、G1ウイナーのカワカミプリンセスの2番仔になるミュゲプリンセス(牝2、栗東・西浦厩舎)。
「脚元を見ながらの調整でじっくり時間をかけたが、だいぶ動きも良くなってきた。父がエンパイアメーカーに変わってどんなタイプか、まだ適性を探りながらだが素質はありそう」と西浦師。
姉のミンナノプリンセスは現在5戦2勝。短距離を中心に活躍しているが、父がコマンズからエンパイアメーカーに替わり、どんなタイプになるのか楽しみである。

母がG1ウイナーという点では、クィーンアマポーラ(牝2、栗東・藤岡健厩舎)も同じ。こちらはエリザベス女王杯の勝ち馬リトルアマポーラの2番仔になる。坂路で54秒1-12秒8と遅い時間帯の重い馬場でもしっかり動いている。

血統ならタイムレスメロディ(牝2、栗東・高野厩舎)も負けていない。こちらはダービー馬ロジユニヴァースの半妹になる。坂路で56秒6-13秒0と時計は平凡だが、敢て時計を出さないようにしているということなので心配あるまい。

キングカメハメハの近親エクディス(牝2、栗東・吉村厩舎)も、もう少し調教が動くようになれば有力になってくる。

ミュゲプリンセス
牝、栗東・西浦、エンパイアメーカー×カワカミプリンセス
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クィーンアマポーラ
牝、栗東・藤岡健、キングカメハメハ×リトルアマポーラ
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カサロサーダ

▲G1馬リトルアマポーラの仔クィーンアマポーラ


中山では、芝2000m戦が好メンバー。ソーアメージング(牡2、美浦・田村厩舎)は先週予定も除外になって1週伸びてしまった。そのぶん仕上がりも進むので万全だとは思うが、鞍上予定だったルメール騎手が、同日の中京でG1に騎乗するため乗れなくなってしまった。芝中距離の新馬戦は早くに有力騎手が埋まってしまうので、代打が誰になるのか。

ラグルーラ(牡2、美浦・加藤征厩舎)は毎年POGで穴人気になるアドアードの仔。そろそろ当たりが出てもいい頃だ。
「走ると思っている馬なので時間をかけて調整しているし、満足いく仕上げで臨ませたい。ウチの厩舎で、世代トップクラスの馬」と加藤征師。
今週の調教はウッドで遅かったが、雨で調教を避けた馬もいたほどの重い馬場なので、それほど気にしなくてもいいだろう。

サーブルオール(牡2、美浦・萩原厩舎)は、母がモンローブロンド、半姉がビキニブロンドプラチナブロンドと短距離馬ばかり。2000mが微妙に感じるが、一族にはロジユニヴァース、ランフォルセのように距離が持つ馬もおり、この馬も将来を見込んでの中距離の選択か。調教も水準のものをマークしていて初戦から行ける雰囲気もあるが、陣営は晩成型と考えているようだ。

ソーアメージング
牡、美浦・田村、ネオユニヴァース×ソーマジック
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ラグルーラ
牡、美浦・加藤征、ディープインパクト×アドアード
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ダート戦は注目馬が2頭。まず一頭はダート1200m戦のアルティマチャーム(牝2、美浦・奥平厩舎)。母は重賞2勝のアルティマトゥーレ、母のきょうだいに、皐月賞馬キャプテントゥーレや、オープンで活躍のクランモンタナ、コンテッサトゥーレがいる良血だ。

ダート1800m戦は、コアコンピタンス(牡2、美浦・国枝厩舎)。母に阪神JF勝ち馬スティンガー、半兄にキングズオブザサンサトノギャラントがいる。社台Fでの評判も高くPOGでも人気になった。

新潟デビューの話もあったが、心身ともに若く放牧。初秋に入厩したが、動きが悪く再度放牧に出ていた。今回は3度目の正直で夏から大きく遅れてのデビューとなったが、どうも動きが変わってこない。そしてデビューは、まさかのダート。この血統で芝じゃないというあたりが、同馬の現状を物語っているか。同厩のケイブルグラム(牡2、美浦・国枝厩舎)は、かなり危ない人気馬の評判通り、新馬戦は断然人気で5着。こちらも同じスタートとなるのか。POGで取ってしまった人(自分も)にとっては、心配なデビュー戦である。

アルティマチャーム
牝、美浦・奥平、キングカメハメハ×アルティマトゥーレ
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コアコンピタンス
牡、美浦・国枝、キングカメハメハ×スティンガー
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新規入厩は、ミッキーグッドネス(牝2、栗東・安田隆厩舎)に目が行く。黄金配合と言われるディープインパクト×ストームキャットの配合で、半兄には重賞5勝のダノンレジェンドがいる。安田隆厩舎に入ったことで、兄のようなA級スピード馬に育てようということだろう。

ゼンノロブロイ産駒も、面白そうな馬が2頭。ラヴェリータ(牝2、栗東・友道厩舎)は、ディープインパクト一族で、リルダヴァルヴォルシェーブの半妹。シークザフューチャ(牝2、美浦・堀厩舎)は、ヒヤシンスS2着イーデンホールの半妹。母シーリーコートが在籍した堀厩舎に入厩で、兄以上の活躍を期待したい。

再入厩組で有力はグローサーザール(牡2、栗東・池江寿厩舎)。半兄に菊花賞2着のサウンズオブアースがいる。550キロ前後の巨体で仕上がりに時間がかかりそうだが、そこは厩舎力に頼りたい。

ミッキーグッドネス
牝、栗東・安田隆、ゼンノロブロイ×ヴェイルオブアヴァロン
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シークザフューチャ
牝、美浦・堀、ゼンノロブロイ×シーリーコート
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カサロサーダ

▲ヴォルシェーブ。半弟ラヴェリータがいよいよ初戦を迎える。