-毎日杯-平林雅芳の目

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土曜阪神11R
毎日杯(GⅢ)
芝外1800m
勝ちタイム1.49.6

ヒストリカル(牡3、父ディープインパクト・栗東、音無厩舎)

※※すごい脚!歴史的な名馬の予感、ヒストリカルが豪快に勝つ!!

緩い流れでエアソミュールが掛かりにかかっていた。しかし静かに流れていたのも4コーナーまで。ズラっと横に広がった直線入り口から抜け出したのが、マウントシャスタ。一瞬にして後続に水を開けた時には《完勝!》と思えたもの。抜けて内で脚を伸ばすマウントシャスタを、外からヒストリカルが、それこそ豪快に差し切ってしまうとは。
デビュー戦で衝撃の脚を使ったヒストリカル。兄譲りの凄い切れ脚はこの相手でも健在。馬場さえ良ければ、この馬に適うものはいないと思える程の切れ味であった・・・。

何せ、道中は4番手の絶好位にいるはずのエアソミュールが頭を上げてしまい、岩田Jが突っ立って抑えにかかっているぐらい。《ああこれで無いな~》と思わせるほどにスムーズではない。そんな遅い流れでも、ヒストリカルは後方から4頭目ぐらいの内目。もうラチがすぐ傍にあるぐらいの処で辛抱させている。と言うか、十分に折り合って追走しているのだ。
驚いたのは直線に入って。どの馬が抜け出してくるのかと言った流れで迎えた直線。内から外へとほとんどが横に並ぶ。それでも少しは馬が重なるところがある。その真後ろにヒストリカルはついてしまっていた。バラけるのを待つのかと思ったら、少しずつ外へと進路を見出す様に出ていった。だからだいぶ前の馬をやり過ごしてから外へと出てきた訳で、ロスタイムはかなりあったはず。それでも、マウントシャスタが抜け出して、2番手にスピルバーグが上がろうとした時にすぐ隣りまで上がる事が出来た。何せ、そこに至るまでの脚の使いどころが速い事である。そして追い出していったが届かないだろうと思えるタイミングであり位置取りである。ところがゴールが使づくにつれてマウントシャスタとの差がなくなり、ゴールでは明らかに前に出たのが判るほどの脚色であった。

パトロール・ビデオで見ると、安藤勝Jが4コーナーで選らんだ進路は前が開かない処であった。そのまま待つ時間があった様だし、それからユックリと外へと出していった。一番外には後ろから1頭が来ていて、その内へと出してきたのであった。この一連の動きの間にはかなり時間が過ぎたはずである。その外にいた1頭の内目を抜けて前に取りついたのだが、その取りつく脚の速い事である。とても間に合う位置ではないと思えたのに、差し切ってしまったのである。

ヒストリカルは、脚の回転数がかなり速いかと思える程っであった。そして終えてみれば、ディープインパクトの子供が4頭出ていたのだが、1着から3着までの上位3頭を占める凄さである。兄カンパニーも晩年は凄い切れ味でGⅠを連勝して引退していったものだったがこの弟も兄に劣らず、いや兄以上とも思えるほどの脚を使う馬。デビュー時にこの原稿で凄い脚と書いた記憶が思い出されるほど。次元が違う感じの切れであり、馬場さえ良かったらいつでもこんな脚を使う馬と再認識をした想いでもあった・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。