研究員ヤマノの重賞回顧

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6/24日(日)、阪神競馬場で行われた宝塚記念(3歳上、G1・芝2200m)は、中団後方からレースを進めた岩田康誠騎手騎乗の3番人気アドマイヤムーン(牡4、栗東・松田博資厩舎)が、最後の直線でメイショウサムソンとの激しい叩き合いを1/2馬身差制し、見事栄冠に輝いた。勝ちタイムは2分12秒4(稍重)。
3着には4番人気ポップロックが入線。
なお、四位騎手騎乗の1番人気のウオッカは8着に敗れた。
スタートで他馬を制してハナに立ったのは、8歳馬ローエングリン。2番手には逃げると目されていたアドマイヤメインが続いた。
結局この2頭が後続を4、5馬身離して逃げる、息の入らない展開となった。
しかしこの隊列は長くは続かず、カワカミプリンセスなどの中団勢が、早くも4コーナー手前で逃げていた2頭を飲み込んだ。
そして最終コーナーを回ったところで各馬内外に大きく広がり、激しい追い比べとなった。
その中から抜け出したのは、メイショウサムソンとその直後に付けていたアドマイヤムーン。
結局2頭のマッチレースとなり、激しい叩き合いは1ハロンほども続いたが、最後にこの死闘を制したのはアドマイヤムーンだった。

さて、今年の宝塚記念はG1馬が7頭も揃う豪華メンバーで衆目を集め、牡馬VS牝馬、ダービー馬2頭の激突、国内G1馬VS海外G1馬など、そこには様々な戦いの図式があり、ファンにとっては興味が尽きない注目の一戦となった。
今回、最強の称号を手にしたアドマイヤムーンは、海外武者修行でメキメキと力をつけてきた海外G1タイトルホルダーである。
3着ポップロックにしても、やはり海外で力をつけてきた馬である。
昨年は国内G1で結果を出せなかった馬たちが、海外で揉まれ実力を身につけて活躍することは、日本競馬界にとって非常に意義のあることのように思える。
今年の宝塚記念の結果を踏まえると、この秋に凱旋門賞に駒を進めるメイショウサムソンやウオッカなど、これから海外レース進出を視野に入れている馬たちも、当然地力の強化が見込めるに違いない。
それは即ち、日本競馬のレベル向上につながるはずだ。
今より数段エキサイティングなエンターティメントとなった競馬が我々を存分に楽しませてくれる日々の訪れも、決して遠い未来のことではないのかもしれない。