関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

榎本優也調教助手

昨秋からの激変の要因

-:今でもそういう声があると思うんですけど、去年の秋から何が変わったのか、ということを、改めて話していただきたいです。

榎:馬としては本当にガラッと変わったのは、去年のエプソムCから関屋記念辺りだったと思うんですよね。馬はその辺で変わっていたとして、レース振りが変わったのが天皇賞(秋)からですよね。僕なりに何が違うのかな、と思うところは、結局は脚を余していたのだろうと。エプソムCでは出遅れて、あんな競馬になりましたし、関屋記念もそう。毎日王冠にしても、あれだけスローだったというのもあると思うんですよね。

天皇賞(秋)であれだけの競馬を出来たというのも、多少早仕掛けというか、加速に時間を掛けながら何の邪魔もなく回ってこられたというのが、すごく大きいと思うんですよね。ドバイでもそうでしたけど、外を回して、あの馬のペースでずっと加速して、結局最後は突き抜けたというところもあるのでしょう。関屋記念みたいにあっち行って、こっち行ってと進路を変えながら走るよりかは、外を回してでも、自分のペースで行くようなレースができれば強いのかな、と思いますね。だから、馬が変わったというよりは、噛み合ってきたのかなと。能力としては、本当に去年の夏場ぐらいから。もちろん今の方が良くなっていると思いますが。


-:エプソムCの前も、人気はしていたとはいえ、ちょっとリズムを欠いたような競馬が続いていたのですが、昨年の今ごろを境に、第二のジャスタウェイが、もう一頭のジャスタウェイのキャリアが始まっているということですね。

ジャスタウェイのお父さんであるハーツクライを管理した橋口弘次郎調教師も「2頭のハーツクライを管理していた」と例えたように、一皮剥けてからの変化が凄いですね。


榎:ハハハ、そうですね(笑)。



ドバイ輸送時のエピソード

-:ドバイが終わってからのエピソードとしては、インタビューとして伺っていないので、(初の海外での苦労など)軽く振り返っていただきたいと思います。なかなか苦労があった中でのドバイ制覇だったと思うのですが、勝ってしまうと、そういう苦労もなかなか表に出てこないものですからね。

榎:中山記念が終わってからの回復はすごく早くて、良い形でドバイに向かえるかな、という感じはあったんですけど、まずは栗東で検疫厩舎に移って、その時点で若干イレ込むというか、環境が違うということに反応をしていました。それで飛行機での輸送があって、僕は一緒に行けなかったんですけど、ドバイに着いてからパッと見ると、やっぱり萎んだなと思うぐらいの感じでしたからね。本当に周りの馬からしたら、ジャスタウェイが一番食いが良くなくて、馬場に入れた回数も一番少なかったんですよね。

それぐらいの中で、ようやく疲れを取って、底は抜けたな、というぐらいの感じで競馬に行ったので、あれだけの走りで勝ってくれたのには驚きましたね。でも、競馬が終わったら終わったで、厩舎に夜中帰りますよね。その時に付けたカイバなんかは、翌朝ペロッと食べていましたし、別の馬なんじゃないかというぐらい、帰国までは一切カイバを残さなかったので。レースに向かうまで、ある程度は自分で体をつくったという部分もあったんでしょうけど、レース後のドバイでの様子を見ている限りでは、安田記念には何とか使えるだろうな、という感じはしていました。




-:帰国をする際の輸送での体の減りは、やっぱりあるものですか?

榎:帰りは僕も貨物機に乗れて、僕はずっと付いていたので、よく様子を見させてもらったんです。馬運車に乗って東京に行くぐらいのもので、帰りは普通でしたね。さすがに離陸、着陸は席に座っていたので、どうしていたかは分からないですけど、全然平気でしたね。心配していたのに、こんなもんか、と思ったぐらいで。

-:その輸送の飛行機の環境はどんな構造になっているのですか?

榎:人が座れる席は10席ぐらいで、コックピットのすぐ後ろに扉もなくて、壁一枚あるぐらいで僕らも並んでいて、その後ろは全部貨物のスペースになっていて、両サイドから通路みたいな所を通って、馬用のカーゴがあるんですけどね。乗れる人数の関係もあるので、行きは別々の飛行機だったんです。

最後の課題はゲート対策だけ

-:レースに話題を戻すと、距離が短いという声もありますが、元々はそれぐらいの距離で走っていた馬ですからね。

榎:まあ、そうですね。こなせることはこなせる距離ではあるんですけど、本当にマイルで強い馬も何頭も出てきますし、そう簡単にはいかないとは思います。

-:最近では、展開面もある程度は克服しましたし、道悪も克服しましたし、時計が出る馬場でも大丈夫。あんまり不安はないのかなという感じはしますからね。あとは調整過程と、デキだけという気がします。

榎:そこは問題ないだろうと。あとはレースでものすごく出遅れたら、さすがに今の馬場じゃしんどいかもしれないですし……。


「“(遠征後)最初の競馬である”とか、“距離がちょっと短いんじゃないか”など、色々と心配はあったんですけど、本当にここまでは順調過ぎるほど順調に来ています」


-:前回もゲートを出てからの行き脚が、もう一つだったかな、という感じはしますけど、ゲート自体にはそんなには問題ないでしょうね。

榎:そうなんだろうとは思いますけど、可能性がゼロではないので……。

-:その対策は練っていくのでしょうか?

榎:今のところは特にしていませんね。来週、ユーイチさんと話をしてみて、こっちでゲート練習をやるか、直前で出し入れをするかですね。課題という課題は、ゲートだけかな。という部分もあるので、最終的にユーイチさんと相談してお任せしようと思っています。

-:帰国緒戦を迎えるので、今までとはレーティングという意味でもすごく話題になっていますし、今までとは違った立場で迎える一戦になると思いますけど、レースに向けての展望をお願いします。

榎:“(遠征後)最初の競馬である”とか、“距離がちょっと短いんじゃないか”など、色々と心配はあったんですけど、本当にここまでは順調過ぎるほど順調に来ています。ドバイから馬がさらに良くなっているように感じますし、体調も良さそうなので、世界一の名に恥じないような競馬ができると僕は信じていますので、ぜひ競馬場に来ていただければ、と思います。

-:引き続きお話の続きは自身のコラムで綴っていただけるということで、よろしくお願い致します。期待しています!

榎:ありがとうございました。よろしくお願い致します。

●ジャスタウェイの榎本優也調教助手インタビュー(前半)はコチラ⇒

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●ドバイDF前・ジャスタウェイについてのインタビューはコチラ⇒





【榎本 優也】Yuya Enomoto

競馬ラボでは『トレセンLIVE!』のコーナーでコラムを担当。
大の競馬ファンである父親の影響で、幼い頃から阪神競馬場、京都競馬場へ足を運んでいた。 武豊騎手に憧れてジョッキーを志すも、目の悪さで受験資格をクリア出来ず断念。 しかし、競馬関係の仕事に就きたいという思いに変わりは無く、牧場勤務を経て、25歳の時にJRA厩務員課程へ入学し無事卒業する。

しばらくの待機期間を過ごし、09年5月に須貝尚介厩舎で待望の厩務員生活をスタート。 7月には持ち乗り助手となり、それ以来、2頭の競走馬を担当している。

同年10月17日、4回京都3日3Rの2歳未勝利で、担当馬ニシノマナザシに初めて武豊騎手が騎乗。 憧れの存在との初仕事に喜びと緊張を感じる。

その後は、アスカクリチャン、アスカトップレディ、クリーンエコロジーなど、厩舎の代表馬の育成を担当。2012年に担当するジャスタウェイがアーリントンC(G3)で重賞初制覇。NHKマイル、日本ダービーと駒を進め、遂には2013年に天皇賞(秋)を制覇。そして今年、ドバイデューティーフリーを制し、世界の頂に辿り着いた今、次なる目標へ向けて、日々精進している。