関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

中井裕二騎手

中井裕二騎手


ハイレベルのレースに騎乗して感じること


-:今までで自分の中で思い出に残ったレースはありますか?

中:ウ~ン、そうですね、2勝目のナムラボルテージです。内でジッとしていたら、前を交わす先輩が5~6頭引き連れていってくれて勝てました。こういうラッキーが競馬もあるのかと思いましたね。ある意味でそのレースは思い出にも残っていますし、これも競馬なんだなと思いました。

-:ラッキーを経験することは少ないですからね。でも、ナムラボルテージに落ち着いて乗れたことが、ラッキーに辿り着いたということですからね。

中:内でジッとしていたから勝てたのでしょうね。

-:あれが2勝目だったのですね。前の週の金曜日に福島厩舎にいましたが、勝負服を取りに来て、確かスリーアリスト(武宏平厩舎)にも乗るということだったと思うのですが?

中:ああ、確かそうだったと思います。オープン馬のスリーアリストをよく僕なんかに乗せてくれましたよね。

-:スリーアリストに乗ってみてどんな感じでしたか?返し馬ではかぶって(首を下に向けて走る)いく癖がある馬ですね。

中:そうですね。本当に武先生や助手の西田さんにも「この馬は腹を括って、ケツから行ってドンッで良いから」ということで、「その乗り方に徹底しろ」と。僕に細かな注文をせずにそのことだけを言って下さったので、逆に僕も出たら後ろでジッとして、直線に向いたら追うという2点だけだったので、有り難かったですね。

-:その時は前残りで着順はそんなに良くなかったですね。

中:そうですね、でもあの後1回4着に来ましたよ。

-:展開に関係なくいつも良い脚は使っていますね。

中:使っていますね。だからオープンのスピード感だとかを味わえるだけでも、僕にとってはすごく良い経験になりました。



-:この間、初めて重賞(マーメイドS)にも乗りました。

中:タイキエイワンですね。僕的にはそんなに気負うことなく、重賞だからといって力が入った訳でもなく、いつも通りゲートをポンと出られて、アグネスワルツが行ってくれたので、2番手の外側の良い所にジッと出来ました。

-:あの馬の競馬を出来たということですね。

中:そうですね。ただ、本当は前に馬を置きたかったので、高倉先輩(レジェンドブルー騎乗)の内に入れようとしたのですが……。1600mで勝っている馬なので、2000mでは多少行きたがるところがありましたし、ペースが多少速かったのですけど、スマートシルエットが外からビューと行きましたし、3コーナーではシースナイプも行ってガッツリ締められて、僕も内に潜り込んでみたいな形になって……。

-:ちょっと後手後手になったということですね。馬の後ろで我慢させてそこまで行くのと、前に馬がいなくてそうなってしまうのとでは全然違いますよね。

中:3コーナー、4コーナーまで馬もよく辛抱していましたけどね。

-:そこからもう一度噴かさないとダメですからね。

中:あの週は雨が降って、午前のレースで内を走った馬によって馬場がボコボコになって、悪条件でしたね。結局、勝ったグルヴェイグは別にして、後ろから外を回った2頭来ましたからね。大外を楽に回して。

-:馬場の上手い下手が出たレースでしたね。

中:そうですね。でも良い経験にはなりました。

-:これから重賞もバンバン乗るだろうし、小倉でも活躍が期待されると思いますが、今年の夏は化ける夏にしないといけないですね。

中:そうですね。同期の菱田裕二が函館に行っている間に……。

-:そのためには何が必要だと思いますか?今のところ成績的にはけっこう堅実で極端な人気薄を持ってくるイメージはないですね。

中:そうですねえ。何か安定し過ぎているかなというのはありますね。

-:16番人気でも3着に来て欲しいのですけどね。

中:それが、菱田裕二ですね(笑)。やっぱり走る馬に乗せてもらっているので。

-:1番人気も経験しているのですね。これはかなりのプレッシャーになると思うのですが、自厩舎(長浜博之厩舎)のインクレセントで。

中:辛いですね。先生も馬主さんも辛いですけど、僕も負けた時は泣きたかったですからね。僕の技術がもっともっとあればと何回も思いましたね。

-:でも活躍をすれば長浜厩舎には良い馬が揃っていますからね。人気はなくても走る馬がいますから。

中:先生は馬に乗せてくれますし、馬主さんを隔てなく乗せてくれますからね。先生についていくしかないですよね。

-:長浜先生は師匠としてどのような方ですか?

中:僕はむっちゃ好きです。先生からしたら僕なんかは孫みたいな年齢なので、やっぱり厳しいですけど、すごく可愛がってくれるので。その分結果として、数字として恩返しできたら良いなと思っているのですが、なかなか上手くいかないですね。

-:長浜先生はスポーツマンですからね。性格的にスッキリしているというかサッパリしているというか、冗談も面白いですしね。スマッシュスマイルはどんな馬ですか?チチカステナンゴの兄弟ですよね。

中:弟なんです。前走、福永さんが乗った時はゲートも問題なかったのですが、元々ゲートとか気性に難がある馬なので……。ゲート裏とかゲートになるとすごくスイッチが入ってしまうのです。本当は走る馬なんですけどね。500万の馬ではないとは思うのですが。

-:500万で3着ですね。

中:僕が乗って3着で、先週、福永さんが乗って3着でした。次は中京の予定です。何かポンポンと行きそうな感じはしますけどね。

-:話は変わりますが、さっきフェラーリに乗りたいと言っていましたが、私達の世代ではサーキットの狼とかスーパーカーブームとかが小学校時代にあって車好きが多いのですが、中井騎手の世代だと車好きは稀なのではないでしょうか?

中:稀ですね。でも僕の父が好きだったので。父の年代は50代ですが。

-:僕はもうちょっと若いですが、お父さんの影響を受けたということですね。

中:大分強いですね。

-:そして、なぜフェラーリに?

中:カッコが良いからです。あの車はエンジンの音といい、何とも言えないですよね。存在感が堪らないですね。

-:もちろん、まだ買ってないですよね?

中:買ってないです。まだ免許も取っていないですから。

-:まずは免許ですね。いつ取りに行く予定ですか?

中:それも先生次第ですね。


「ゲートの上手さと言うか『ゲート速いな、また中井か!』と言ってもらえるようなジョッキーになりたいですね」


-:車以外に好きなことは何かありますか?若いジョッキーの間ではモモクロ一色みたいですが(笑)。

中:ああ~、でもちょっと違うかな。モモクロですか……。

-:中井騎手は競馬に集中しているのですね。

中:それなりに遊んでいますよ。京都に買い物に行きますね。服とかにお金を使っていると思います。

-:ちなみにどこのブランドが好きなのですか?

中:いや、そんなのは……。ヴィトンを持ったり、グッチを持ったりとかはしていないですよ。普通ですね。

-:これからはどんなジョッキーを目指していきますか?やっぱり色があると思うのですよ。中舘英二なら逃げるとか、追い込んで来るなら誰やとか。キャラですね。

中:キャラですか?そうですね……。幸さんですかね。いや~、色々なジョッキーの名前出ますけど…。

-:幸さんみたいに数を乗れる騎手に、ですか?

中:そうですね。数も乗りたいですし、結果ももちろんですし。

-:あの人は騎手の中では鉄人ですからね。

中:本当にそうですよ。

-:何がすごいかと言うとあれだけ数に乗っていて、ケガをしないことですよね。あれは何かあるのでしょうね。壊れそうな馬を感じる嗅覚とか……。

中:すごく器がデカい方で、僕が迷惑をかけても「いや、大丈夫だよ、大丈夫だよ」と言ってくれるので。

-:怒ったりしないで?

中:そうですね。すごい器の大きい人です。そういうところは見習いたいし、人としてカッコ良いです。

-:夏場は小倉でブレイクするということですが、ファンの皆さんに中井裕二のどういうところを見て欲しいですか?

中:とりあえずゲートですかね。どうかなぁ、ゲートの上手さと言うか「ゲート速いな、また中井か!」と言ってもらえるようなジョッキーになりたいですね。

-:その辺は、もしかしたら自分はゲート上手い方かもと思っているということですか?

中:とんでもないです。今朝、岩田さんにも「お前みたいにゲートで無謀にいったら、誰でも出せる」と言われました。「もっともっと考えろ」と言うことでしょうね。

-:でも無謀に乗らないと無謀に乗ったらこうなるということは分からない訳ですからね。

中:そうですね。あと僕らなんて3キロ減ある内は無謀に乗らないと前に行けないですからね。

-:持ったままスーっと前に行ってくれる馬なんて回ってこないですものね。

中:取りあえず、ゲートを出さないことには話にならないですからね。始まらないというか……。

-:まさにケージーヨシツネ(飯田雄三厩舎)ですね。あの馬なんかも惜敗していれば、乗り替わりがあってもおかしくなかったけど、すっと乗せてもらえて勝てた訳ですが、そういうのは嬉しいですよね。

中:本当に嬉しいですね。あの馬はゲートセンスが抜群な馬なので。

-:ゲートセンスは抜群だけど、ゴール前で甘くなるのも毎回ですからね。4角回る時なんかこれは大丈夫だろうという感じですからね。

中:乗っている僕も余裕やろと思うのですけどね。担当者の人もずっと1200mは長いと言っていたので、ちょっとでも短く、1150mでも良いので……。

-:小倉なら1000mもある訳ですね。

中:そうです。小倉の1000mで勝っている馬なので。

-:まだ次も乗れるのですか?

中:どうなのですかね。乗せて欲しいですけどね。



-:ファンに伝えられる今後楽しみな馬はいますか?自分が乗れるかどうかは分からないというのも含めてですね。

中:結構良い馬に乗せてもらっているので、何頭かいるのですが、やっぱり長浜厩舎のスマッシュスマイルではないでしょうか(6/30の中京8Rで2着)。あの馬はもっともっと良くなる馬だと思います。

-:藤原英昭先生も乗せてくれているのですね。この厩舎はあまり新人を乗せないと思うのですが?

中:そうなのです。僕も聞いた時はビックリしました。

-:それは岩田さんが「よろしく」と言ってくれたのでしょうか?

中:あとはエージェントの荒木さんが本当にすごく動いて下さっています。

-:荒木さんというのは小牧(太騎手)さんと一緒ですよね?

中:そうです。荒木さんが動いてくれていることが大分大きいです。だから橋口厩舎や森厩舎も回ってきますしね。

-:じゃあ、小牧太騎手の弟弟子的なところがあるのですね。

中:そうですね。

-:でも岩田騎手が可愛がってくれているのですね。

中:難しいですね。

-:小牧さんは声を掛けてくれるのですか?

中:小牧さんは聞いたら何でも答えてくれます。

-:でも全然タイプが違います。岩田さんは頭脳派ですが、小牧さんは感覚派って印象があります。

中:小牧さんが逃げた時は苦手ですね。そんな気がします。小牧さんの逃げ馬にはいつも負けているような(笑)。

-:苦手意識を持つことは良くないのではないでしょうか?

中:間違いなくダメですね。いつか小牧さんの逃げを捕まえたいのですが……。


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【中井 裕二】Yuji Nakai

1993年 京都府出身。
JRA初騎乗
12年3月3日 1回中京1日3R ギルドマスター(3着/16頭)
JRA初勝利
12年3月3日 1回中京1日8R ニシノマナザシ
JRA通算成績は6勝 (12/7/1現在)


出身地は京都府亀岡市。テレビ番組で騎手という職業を知り、騎手を志す。 今年3月3日にデビューを果たすと、早速8Rを制し、同期の中で初勝利一番乗りを達成した。 ここ最近は一日に数多くの頭数の調教をこなし、トレセン内でも引っ張りダコ。同期の中でも注目度はナンバーワンの存在といえる。