一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
武蔵野Sはラインシュナイダーに騎乗
2018/11/8(木)
先週はマイネルファンロン(4人気)の3着が最高着順。調教での感触からハミを換えていただき、前が引っ張ってくれる流れになったのもありますが、上手く折り合いがついて理想どおりに進められたと思います。決め手ある馬に交わされてしまったものの、昇級しても通用することを示してくれました。アルゼンチン共和国杯のトウシンモンステラ(12人気12着)は内枠からロスのない立ち回りこそできましたが、とにかく道中の流れが遅かった。結果、動くに動けずヨーイドンの競馬になってしまいました。馬は最後までやめず直線に向いてからも一生懸命に走っています。年齢を感じさせない走りはしており、着順は展開面と見ています。
この土曜は東京で10鞍に騎乗します。武蔵野Sのラインシュナイダーは前走こそ大きく負けてしまっていますが、これまでの実績からも休み明けだった分ではないでしょうか。オープンで好走実績があり、東京コースも合っている印象。関西の厩舎から有難い依頼なので、しっかりと研究してベストを尽くします。1Rのコスモアドムの前走は、初戦とは行きっぷりが違っていましたね。気持ちが乗って体も使えるようになっている印象なので、距離短縮と相まって前進がありませんか。2Rのアドアステラの前走はブリンカー効果があったようです。かねてから力がある馬なので、上手く流れに乗せていければ今回も頑張ってくれるはず。6R(新馬)のボーンインメイは追い切りに2週続けて乗せていただきましたが、しっかりと仕上がった印象。気持ちも前向きなので、初戦から走れるタイプと見ています。
7Rのロージズキングの前走は、自分が思っていたとおりの理想的な競馬ができました。頭数が多くなるのは鍵ですが、感触を得たのでしぶとさを存分に活かす競馬をしてあげたい。8Rのキューンハイトの前走は展開こそ向きましたが、500万では力が上ということを示す勝利。もともと1000万で走れていた馬なので、前が引っ張ってくれるような流れになれば差はないはず。10Rのペルソナリテの前走は丹内騎手が内を突いて、内容があるハナ差の2着。1400mになると少し忙しくなるかもしれませんが、直線で上手く捌ければ際どい勝負になるはず。12Rのコスモジョーカーの前走は伴騎手が上手く乗っていましたね。いい勝ち方だったと思います。昇級でイキナリはどうかも、先々に繋がるような競馬をしてあげたい。
日曜も東京で11鞍に騎乗します。4Rのアルママは中1週のローテになりますが、変わらずに元気一杯。良くも悪くもテンションが上がってこないという状況。調教もそこまでは軽くせずに、格上のウインブライトと併せて胸を借りるなど負荷をかけました。スタートだけ出して、気持ちを乗せての競馬ができれば勝ち負けになると思っています。7Rのマイネルベレーロはキレる馬ではないため、前走のように好位で流れに乗せていく競馬が理想。頭の中でのイメージはあるので、ある程度の位置からバテない強味を活かしてあげたい。8Rのコスモビスティーは、自分が乗った2走前はゲートの中でガタつき出遅れて流れに乗れず。休み明け3走目、スタートだけ上手く出してあげれば粘りが違ってくるはずです。
9Rのマイネルスフェーンは約半年振りも、これまで戦ってきたメンバーが違う馬。2週続けて乗せていただき、しっかり追い切りでも動けています。クラシックを一緒に戦った思い入れある馬なので、1000万下に出走となれば力の違いを見せてほしい。10Rのマイネルバールマンの前走は、休み明けでの成長分を考えても大分増えていました。使った上積みが見込めれば、こちらもオープンで頑張ってきた馬ですから変わってくれるはず。11Rのエントリーチケットは、前走も今回と同じハンデ52キロで外枠から差のない競馬。かつて乗せていただいた感触からも全く差はないはずです。メインレースに有難い依頼で、結果にて恩返ししたいと思っています。
今週はとりたてて僕的なニュースもないので、来週の話題を少々。東京スポーツ杯2歳Sは門別デビュー前から当コラムで触れたことがあるナイママに騎乗します。当週木曜の出走が確定するまでは地方競馬の施設に乗りに行けないため本番ぶっつけになりそうですが、牧場で乗せていただいたこともあり癖がない馬ということは知っています。詳細は改めて来週に書かせていただきますが、今から楽しみでなりません。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。