競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【レパードS】安定性に欠ける面々、流れひとつで大荒れしそうな模様
2020/8/4(火)
ラインベックだけが、まだ1戦1勝だが、後の5頭で負け知らずの馬はいない。加藤征弘厩舎のデュードヴァンが、ユニコーンSでカフェファラオに5馬身も負けた。そのカフェファラオが、ジャパンDダービーでは7着に敗退する。なかなか負けないで進むクリソベリルの様な馬は今年はいないのか。
デュードヴァンの前回の鞍上がMデムーロ騎手。ラインベックの前回が川田騎手。それが今回は入れ替わる形。デュードヴァンが青竜Sで川田騎手で勝利だからなのだろうと推測する。
ラインベックの勝ち時計は当日の未勝利・牝馬と同じタイム。なのでまだ全幅の信頼とはいかないが母アパパネ、兄ジナンボーとお馴染みの勝負服。ちなみにこの10年で2勝の勝負服だ。今回は違った競馬の仕方で臨むだろう。
2勝馬もまだ安定性に欠ける面々。流れひとつで大荒れしそうだ。この中間の稽古をじっくりと拝見だ。
【クイーンSの回顧】
20年8/2(日)1回札幌1日目11R 第68回 クイーンステークス(G3、芝1800m)
- レッドアネモス
- (牝4、栗東・友道厩舎)
- 父:ヴィクトワールピサ
- 母:マチカネハヤテ
- 母父:サクラバクシンオー
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大相撲7月場所を優勝した照ノ富士とクイーンSを優勝したレッドアネモスを、《どん底から這い上がった》とか《復活の勝利》とか共通点を考えてしまう。鮮やかに馬群のなかを真っすぐに伸びてきたレッドアネモスの勝利。気迫のこもった攻めで勝った照ノ富士の戦いぶり。どちらも感動的な勝ち方であった。日曜夕方はTVの前が楽しかった。
競馬の話に戻ろう。スカーレットカラーにフェアリーポルカ、コントラチェックの3頭が重賞勝利馬。当然にその3頭に人気が集中する。追い切りをチェックしたが、なかなか悪くなかった。
次の支持がビーチサンバ。ローズSでダノンファンタジーにクビ差迫るなど実力派の馬である。追い切りはレッドアネモスとの併せ馬。共にいい動きだったが、内のレッドアネモスの方が断然に楽だった。友道厩舎によく顔を出していたのだが常々、レッドアネモスの稽古駆けは聞いていた。CWで77秒、78秒台を出したのを観ていた。その動きが実戦で発揮されていなかったのを感じてもいた。
今回は現地競馬での最内枠。緩みのない流れのなか、コントラチェックが3番手を進む。前の3頭から少し離れた後ろを馬群が続く。それらが凝縮されたのは直線入口から。ビーチサンバが内から外へと進路を切り替えてきた。最内から少しだけ外へ出し、馬群の中のスペースを伸びてきたレッドアネモス。一旦は内へ突っ込み、待たされたスカーレットカラー。外へ切り替えレッドアネモスを追うが届かず。
この3頭は道中、ラチ沿いで脚を貯めていた3頭で4コーナーまでインにいた。洋芝はロスなく内を廻る、これが肝心。フェアリーポルカは18キロ増も太くは見えず。コンマ2秒差の6着。
レッドアネモスは、昨春の5月以来の勝利。もちろん初重賞勝ち。コツコツとやっていればいつかは出番が来る。そんな勝利でもあった。吉田隼人騎手は函館に続いての重賞勝利。友道厩舎も3月以来の重賞勝ち。これからますます攻勢に出て来るはずだ。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。