競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【小倉記念】好調ディープインパクト産駒が3頭エントリー
2020/8/11(火)
小倉記念にも3頭エントリー。サトノガーネットにサトノルークス、そしてランブリングアレーである。
ハンデは、栗東入厩して調整の関東馬ロードクエストがトップハンデの57キロ。ディープインパクト産駒は中日新聞杯勝ちのサトノガーネットは牝馬トップハンデの55キロで、サトノルークスは56キロ据え置き。ランブリングアレーは2度目の重賞挑戦だけに53キロ、今年に入っての4戦で3勝と本格化。この3頭のディープインパクト産駒は、6月に使っての休養だから臨戦態勢は十分と言えようか。
マーメイドSを下克上したサマーセント。ハンデもまだ52キロだから十分戦える斤量だ。充電完了のミスディレクションとか、重賞勝ち馬のサラスが立ち直ってきているか。最終チェックが肝心だ。
【レパードSの回顧】
20年8/9(日)2回新潟6日目11R 第12回 レパードステークス(G3、ダ1800m)
- ケンシンコウ
- (牡3、美浦・小西厩舎)
- 父:パイロ
- 母:マトゥリアルカ
- 母父:クリプティックラスカル
レパードS(G3)の結果・払戻金はコチラ⇒
ゴールを過ぎた途端に《そうか!、謙信公だったのか!》と後で正解を聞いた感じであった。おそらくいろんな人がそんなふうに呆然としてTV画面を見ていたのではなかろうか。ウイン5がこの因縁を持ってきていた、それに気がつかずにとり逃したのが悔しくて、なんて人が多かったのではなかろうか。
《ケンシンコウ》のJRA、馬名検索でも《人名》とだけあって正確には示してない。はたして、この人名はどんな漢字なのであろうか。越後の水が浮くダート、真っ白で大きな流星の顔面のケンシンコウは画面では左、右に舌を出して遊びながら、勝鬨をあげた。それもレコードの勝利で。
ステッキは見る限り、左を1発入れただけ。小さいのは4コーナーに入ってから使ったが、大きなアクションでのステッキはただ1発。鞍上の丸山騎手はオーロラビジョンを一度チラリと見て、もう一度ユックリ見て、それから少しして後ろを振り向いて確認。それほどにまだ手応えが残っていたのだろうと思える。いわゆる強め程度でゴール板を過ぎ、右手で愛馬をポンと軽く叩いて労った。
出走枠は賞金で5頭が確定。あとの11頭を25頭で抽選の2勝クラスだった。そこを潜り抜け、最高の枠順である1番を引いた処からこの結末は始まっていたのかも知れない。
1400を使って来たタイガーインディが逃げるのは、誰しもの読み筋。だがそのタイガーインディが内を開けて逃げるとは思わなかった。ラインベックの動きも予想どおり。デュードヴァンも理想の位置で納まった。タイガーインディの後ろは賞金持ちの馬が固める。
だがその先のケンシンコウまでは誰もプレッシャーを掛けられない。十分に息を入れ緩急の流れを造り、4角では追走するどの馬も追っているのに、ケンシンコウはまだ追ってさえもいない。直線に入ったあたりで小さくステッキ。そしてあと200の手前でもう一度。道中追いどおしだったミヤジコクオウが2着、内で脚を貯めていたブランクチェックが3着。デュードヴァンは4着やっと。これからますます攻勢に出て来るはずだ。
逃げて勝つのが一番強い勝ち方。ケンシンコウ、天晴!
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。