競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【朝日杯フューチュリティS】今年も中身の濃い顔ぶれでの戦い
2020/12/15(火)
ショックアクションとブルースピリットは外国産馬、ゴドルフィンの所有馬である。ホウオウアマゾンやモントライゼは連は外していない。と、今年も中身の濃い顔ぶれでの戦いとなりそうだ。
このなかでも、レコード勝ちを2戦連続のレッドベルオーブの切れが魅力だ。緒戦こそ一敗地にまみれたが、中京で阪神でとレコード更新である。それに後塵を浴びたのがホウオウアマゾン。わずかに頭差だから逆転も可能な差か。
京王杯2歳S勝利のモントライゼも侮れない。小倉2歳Sではメイケイエールに完敗だが、距離延長の前走でいい勝ち方。ルメールが連続騎乗も魅力がいっぱい。と混戦だ。
20年12/13(日)6回阪神4日目11R 第72回 阪神ジュベナイルF(G1、芝1600m)
- ソダシ
- (牝2、栗東・須貝尚厩舎)
- 父:クロフネ
- 母:ブチコ
- 母父:キングカメハメハ
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ヨカヨカの福永騎手がレースを造る。3ハロン目から11秒台が続く完璧なイーブンペース。
後200でも先頭。満を持していたメイケイエールが外から前へと出て来た。エイシンヒテンの内から姿を現した真っ白なソダシ。さらにその内からサトノレイナスが一気の伸びを見せ始める。大外ではユーバーレーベンが渾身の伸びで飛んできている。。
後100ではそれらの5頭が横並びとなる。ソダシが先頭気味だが、サトノレイナスの勢いが増している。半馬身ぐらい前に出た。メイケイエールの外のユーバーレーベンも前を飲み込む勢いだ。
ゴールが近づく。が、ソダシがまた伸びだしサトノレイナスに外から被さる様に重なった時がゴール板だった。判らない?、内か外か。体勢は内のサトノレイナスだが、ソダシが届いた様にも見える。
グリーンチャンネルのゴール前映像が拡大される。ソダシが僅かに鼻先を伸ばしている様に見えた。そして写真判定が出た。終わってみれば負けていないどおしの決着。メイケイエールも外枠で壁が造れないながらも直線では一旦、勝ち負けに加わった。
パドックで金子オーナー夫妻の姿も画面越しに見えた。自分の馬の配合でのG1勝利。2着もディープインパクト産駒。日本の競馬を造る人達だ。馬を人が造る。ソダシが吉田隼人騎手を熟成させてくれるはずだ。そんな勝負強い、負けず嫌いの馬がソダシだ。
母ブチコに武豊騎手はチューリップ賞で騎乗。芝へ再挑戦だったが、6番人気で14着敗退。以後は芝で走ることはなかった。父、クロフネはG1、NHKマイルで武豊騎手と初コンビ勝利。ダービーは5着。秋はダートへ転向、緒戦の武蔵野Sで勝ち、ジャパンカップダートも勝利。クロフネの武蔵野Sは、私が武豊騎手のエージェント2週間目で最初の重賞勝ち。続いてG1勝ちをも経験させてくれた忘れられない馬だ。
ソダシのもう一度伸びてサトノレイナスを捕まえる負けず嫌いがいい。電光掲示板以下にも今後楽しみな牝馬勢がいそうである。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。