競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【弥生賞】経験値が高い2歳王者
2021/3/2(火)
デビュー戦はまったく手綱が動かず。2戦目の東京スポーツ杯2歳Sでもステッキは一度も入っていない。前走は4コーナー手前から鞍上の手が動き出し、先頭に立った直線ではあと1ハロンから右ムチで叱咤激励。道中も若さ溢れる走りをしていて、決して着差ほど楽な勝ち方ではなかった。まだ子供ぽいのだろうと推測できる。
そのダノンザキッドに前々走で負けたが、内容の悪くないタイトルホルダー。レシステンシアの弟、グラティアスが勝った京成杯組からは2着馬タイムトゥヘヴン、3着馬テンバガーが参戦。
そして2戦2勝の外国産馬、シュネルマイスター。これも前走、ルメールの手綱は動かなかった。かなり奥のある馬かも知れない。
【阪急杯の回顧】
21年2/28(日)1回阪神6日目11R 第65回 阪急杯(G3、芝1400m)
- レシステンシア
- (牝4、栗東・松下厩舎)
- 父:ダイワメジャー
- 母:マラコスタムブラダ
- 母父:Lizard Island
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相手関係から中山記念のヒシイグアスは楽に勝つのだろう、と。こちら阪急杯はG1馬達の力のぶつかり合いだけにゴール前は混戦模様になるのだろう、と考えてもいた。それがどうだ。ヒシイグアスはゴール前の最後のひと伸びでやっと前に出ただけの苦しい勝利であり、阪急杯はあと1ハロンでステッキを1発入れたレシステンシアが、100を切ったあたりでポンポンと2つ3つ入れたステッキでさらにグーンと加速して行く。この舞台での過去30回近い1400芝で、初めての1分20秒切れ。当然にレコードでの勝利だった。
それにしてもレシステンシアは強かったが、ダノンファンタジーにしろインディチャンプにしろ、一度も並ぶところまで行けないとは。なかなか思う様な競馬にならない。
そもそもダノンファンタジーがあんなゲート内でチャカついてタイミングが悪いことは、今までになかったと思う。出た瞬間に隣のカツジと馬群の一番後ろ。少し追い上げてインディチャンプの右後ろまで行けていたが、そこでも前から10頭目ぐらいの処。それ以上は馬群がビッシリで行けない。前半3ハロンが34秒フラットは、このクラスでは楽な入り。2番手ジャンダルムが1馬身後ろで、前へのプレッシャーはゼロと言っていい。
前へ行った4、5頭は4コーナーも小さく廻って、ほとんど距離ロスがない。2着ミッキーブリランテ、3着ジャンダルムとほぼ前残りの結果である。
レシステンシアが2歳女王に昇り詰めた時もやはりレコード勝利だったが、その時の1000通過が57.5。1200通過が1.08.7だったが、今回はその時よりも速い56.6であり、1.07.4である。まさしく『速いは強い』なのである。
骨折明けでの半年ぶりの前回が500キロの大台。今回はさらに増え508キロ。しっかりと追ってきてこれ。まさに充実期だろう。この後の高松宮記念はともかく、マイルまでの距離なら相当強い。これからも強い競馬を見せて貰おう。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。