競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【フィリーズレビュー・解説】 ノーワンとプールヴィルが1着同着で桜へ!!
2019/3/12(火)
19年3/10(日)1回阪神6日目11R 第53回 フィリーズレビュー(G2)(芝1400m)
- ノーワン
- (牝3、栗東・笹田厩舎)
- 父:ハーツクライ
- 母:プレイガール
- 母父:Caerleon
- プールヴィル
- (牝3、栗東・庄野厩舎)
- 父:Le Havre
- 母:ケンホープ
- 母父:Kendargent
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3着までは桜花賞への出走権を確保するTR。レース間隔がないことと、距離も1400だけに微妙なポジションのレースではある。馬場もあいにくと稍重となって、少し渋めのコンディション。
最後の最後までもつれたが、内を強引にねじり込んで出て来たノーワンと、馬群の外から差して来たプールヴィル。タイミング的には内が優勢かと思えたが、終わってみれば同着。3着のジュランビルとが桜花賞へ権利を獲った。
このレースは、中京競馬場の検量室内でJRAの職員が見ているTVを窓越しに何とか見ていた。
先に内からノーワンが凄い脚色で来ているのが判った。勢いからも勝利と思っていたが、外からジワジワと伸びて来たプールヴィルが際どく迫ったところがゴール。でも何とか内が粘ったな~なんて思っていたら、後刻に同着と知った。
それにしても、あと1ハロンでは前の6頭ぐらいがチャンスありだった。ただ伸びがそんなに出てないうちに、馬群の後ろから急接近したノーワンが狭いところを突っ込んで抜けて前へと出た。
外では前を行くジュランビルが多少フラついたのか、その動きと同じように左右にブレながらも伸びだして行くプールヴィル。ジュランビルを交わして前に出たが、内のノーワンの方が先にゴールに入った様に思えた。
この2頭、共にスタートでヨレて出ている。ノーワンは誰もいない内の方へとヨレる。そこから立て直している。プールヴィルは外へ流れるスタートだった。
その後はプールヴィルが好位の3列目へ、その後ろにノーワンが続く。内ラチ沿いの3頭目、4頭目である。これまた内目で流れに乗って行く。前の集団はアスタールビーの先行策にアウィルアウェイ、そしてイベリスと3頭が先行グループを作って行く。1000mが58.5だからそう速くも遅くもない流れ。当然に前のグループも手応えを残したまま、直線に入ってきた。
直線半ばでもまだ横一列に近く並ぶ。3頭の外へ少し遅れ気味で追走していたジュランビルも接近しての4頭が並ぶ。その後ろへメイショウケイメイ、外めにラミエル。その後ろにプールヴィルが先で、後にノーワンが内から真ん中に出し気味でのあと300あたり。
ジュランビルの外を選択したプールヴィルが、ラミエルを弾き飛ばす勢いで進出しだす。ノーワンは一旦、外へ行こうかの雰囲気もあった様に見受けられたが、タイトで内へ切り替えた。アウィルアウェイと最内アスタールビーの間の狭いところへ突っ込んで行った。
内から先に前へと出たノーワン。外からひと脚遅く出てきたプールヴィルの2頭が、内外離れてはいるが、いい伸び脚でゴールへまっしぐら。際どい勝負になったのは間違いないと思えた。
この2頭の馬柱をジックリと見直す。ノーワンは吉原騎手が乗った4戦前の京都1400芝の時が、かなりいい脚。前走のマイルで初勝利を挙げてはいるけれども、1400の方がなお切れる。そしてプールヴィル。1400はこれで3勝2着1回の連100%。後で良く判るのが競馬だ。
そうそう、ノーワンは確か担当が岸滋彦氏である。元ジョッキーで牝馬に強かった彼。サンドピアリスやエイシンサニーでのG1勝利。ダイタクヘリオスでの実績があまりに強烈だが、《牝馬の岸》と言われたほど。やっぱり馬を扱っても、牝馬が得意な様である。今度、出会ったら冷やかしてやろうと思う。
火曜朝の坂路監視小屋。音無師が阪神の芝を嘆いていた。『芝丈が長すぎて、後ろから外を廻る馬には不利。内で芝が切れている処を通ってきている馬が、俄然有利だよ』と。 大阪杯、桜花賞と次開催は大レースが控えている。今、芝は長く深くなっている。これをしっかり馬券作戦にも生かさないといけない。そんな火曜の朝でした。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。