競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【中京記念・解説】待望の重賞制覇!グレーターロンドンが大外から差し切る!
2018/7/24(火)
18年7/22(日)3回中京8日目11R 第66回中京記念(G3)(芝1600m)
- グレーターロンドン
- (牡6、美浦・大竹厩舎)
- 父:ディープインパクト
- 母:ロンドンブリッジ
- 母父:ドクターデヴィアス
灼熱の名古屋。掉尾を飾るのはハンデのマイル戦。1番人気は、これまでも期待をされながらも連絡みもしていないグレーターロンドン。そして昨年の覇者ウインガニオンと続くが混戦模様であった。 馬場もだいぶ荒れて、内を空ける競馬が続く。ウインガニオンが先手主張も、スンナリとは行かず。1000m、57.0の速い流れとなって直線へ来る。4番手の絶好の位置から脚を伸ばしたロジクライを、中団の外めで脚を貯めたグレーターロンドンが一気に差し切る内容で待望の重賞初勝利。それもコースレコード・タイとなる勝利。暑い名古屋の熱風を切り裂いたのは、田辺とグレーターロンドンであった・・・。
昨年のウインガニオンは、前を飛ばしてくれる馬がいての2番手。十分に息が入った様だ。スタートから押して押しているのだが、前へそう出ていけないウインガニオン。真ん中からマイネルアウラート。内ラチ沿いをアメリカズカップと、2頭が前へ出る。行き脚がつくまでに時間がかかったウインガニオン。1ハロンを過ぎてやっといい感じであったが、内のマイネルアウラートが引く構えを見せずで、ピタッとくっついての先行となる。内ラチのアメリカズカップも引かず、まるで3頭が雁行の様に見える。実際は内外が離れていて、ウインガニオンが通っているところは芝が綺麗に残っているところ。しかし澱みのない流れであるのは間違いなかった。
そこから6、7馬身ぐらい離れていただろうか。4番手のロジクライは、まるで自分が先頭に立っているかの様なポジション。そのロジクライを先頭にしての第二集団が9頭ばかり。そしてその集団からまた離れての第三集団。そこにはリライアブルエースを先頭にガリバルディにワントウワン、そして最後尾がブラックムーン。スタートでリライアブルエースに寄られてドンジリからのレースとなった。 前半3Fを過ぎたあたりで、先頭からドンジリまでは1ハロン、200mはあろうかのもの凄い縦長の展開となっている。 中団グループの一番最後がグレーターロンドンで、すぐ前にはフロンティア。内めには長期休養明けを叩いたスマートオーディンもいた。
あれだけ離れていた三つの集団が直線へ入ってきた時にはそう離れずとなったが、まだまだ前の3頭が頑張る。 内ラチで粘るアメリカズカップ。真ん中に進路をそのまま取ってきたウインガニオン。しかしロジクライが内をすくい、前へと出る。
ラスト200を切ろうかの処だった。そこで一気に脚を伸ばしてきたのがグレーターロンドン。前にいたフロンティアを抜いて、ロジクライをも呑み込む脚色だ。 浜中の右ステッキで伸びるロジクライ。田辺の渾身の左ステッキで前へ出ようとするグレーターロンドン。3番手に上がったフロンティアを外からリライアブルエースが交わすのが見えたが、前の2頭からは離されていた。待望の重賞初制覇となったグレーターロンドン。
去年の春の東風Sまで4連勝をしたグレーターロンドン。しかし重賞チャレンジが続いたその後の7戦は、連にも絡めず。今春の東京新聞杯やダービー卿Tと、人気になりながらも前が開かずとか結果も出なかった。 そして今回、勝つ時はこの様に流れも枠順も、後で思えば理想なものとなってくるもの。母、ロンドンブリッジからは重賞勝ち馬が続々といる血筋。6歳ながらも長い休養が2度もあって、今回で15戦目。これからマイル路線を賑わすであろう馬の、待望の重賞初制覇。 3着に来たリライアブルエースとか、まだまだ開花前の馬がいたりと目が離せないマイル路線なのでありました。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。