競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【日本ダービー】今度は牡馬の無敗2冠馬誕生か
2020/5/26(火)
やはりサリオスが相手なのか。ただあのがっしりした体形をみるかぎり、距離延長はプラスにはならないだろうと思えてしまう。
コントレイルと戦っていない馬はとみると、マンオブスピリット。京都新聞杯2着だが、一旦はディープボンドより前に出ていながら内から差されてしまっているのがどうか。そのディープボンドは、父キズナと同じ道のり。京都新聞杯からダービーへの路線を確立した父に続けだが、コントレイルには完敗の皐月賞だ。
どうやら2冠達成が濃い今年の東京優駿だ。
20年5/24(日)2回東京10日目11R 第81回 オークス(G1)(芝2400m)
- デアリングタクト
- (牝3、栗東・杉山厩舎)
- 父:エピファネイア
- 母:デアリングバード
- 母父:キングカメハメハ
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NHKのパドック映像で馬体をチェック。鈴木康弘元調教師の解説が心地いい。観客がいなく気になる材料が少ないはずなのに、気持ちをのせてしまう馬もいる。その点でデアリングタクトは馬体の造りもさることながら落ち着いたもの。さすがではある。だがここは距離との戦いでやってみないと判らないはずだぞと、いつまでたっても穴馬を探す自分がいる。
桜花賞では3角過ぎで窮屈になり、インに切り替えたクラヴァシュドール。まともだったらと注目していたが、パドックではやや気負いが目立つ。馬体の良さはマルターズディオサも悪くないが、こちらもテンション高め。ウインマリリンが実に落ち着いていて栗毛が光る。2000で3勝がいい。そんな戦前のパドックでの見立てであった。
スタートでリリーピュアハートが躓く。長丁場こそスタートが大事。逆にスタートからの短い間で外枠のハンデをなくしたウインマリリン。内から先手を取ったスマイルカナをも交わす勢いだ。そのスマイルカナ、新潟でデビュー、東京コースも経験しているのに外へ張る走りだ。
2コーナーを廻って少し後ろを離し気味になる。あと1000を機にクラヴァシュドール、ウインマリリンが後ろへ付きだす。さらにアブレイズも加わり、4角手前では後続も急接近。デアリングタクトの前半は、かなり内で揉まれていた。何とか後ろで納まり、3角あたりから廻りに囲まれない処をキープ。直線は進路を外めに選んだ。
直線あと400を過ぎて、ウインマイティーがスルスルと前へ。ウインマリリンも内から伸びだした。ところがその瞬間に外を一気にデアリングタクトが急追。馬の間を縫うように抜けてきたデアリングタクト、松山騎手のステッキに呼応しグイグイ伸び、内の2頭を交わす。無敗での2冠達成。1頭だけ次元の違う脚をまた見せた。
デゼルはタイトなローテーションがきつかったか。それも経験であろう。リアアメリアも脚を見せた。だがそれもデアリングタクトの前では霞むほどであった。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。