トウカイトリック2ページ目
2014/1/1(水)
-:まだ、今年も現役を春までは続行ということですか。
野:今考えてるのは、一戦一戦が勝負やし、何かちょっとでも不安があったら絶対使わない。次に何を目標にするかで考えれば、天皇賞は8年連続で出てるし、そんなん絶対破られへんと思うんです。同一G1・8年やし、多分、ギネスとかに申請したら認められるんちゃうかという。実はギネスに関しては、オーナーも乗り気で「やる」って言ってくれているんです。じゃあ9年連続出走を目指さなくても、平場を勝ってるやつはおると思うんです。
とりあえず今の平地重賞勝ちの最高齢記録が、10歳で重賞勝ちのアサカディフィートとトウカイトリック。年数で区切られてて、トリックは10歳の12月で重賞勝ってるから。アサカディフィートは10歳の1月か2月の小倉で勝ってるから。一応、10歳の重賞勝ちが一番上なんかな。となると、天皇賞を目指しても、はっきり言って、今度は参加するだけになってくる。それやったら、今回の万葉Sに登録して、使うかどうかということと、ハンデがどんなもんになるのか、というのを、ちょっと見たかったんです。58キロになったら使わないからね。
57やろ、多分これで、余程の勝ち方をしない以上、この上よりのハンデにはならない。ということは、ダイヤモンドSを狙ったほうが現実的になってくるんだよね。賞金稼いだり、12歳で重賞勝ったら、多分それも抜かれることはないかなと思う。12歳で平地の普通のレースを中央で勝つのでも、結構破られないかな、というのはあるけど、ダイヤモンドとか重賞タイトルを、もし狙えるんやったら、体調整えば勝たせた方がね。天皇賞はここまで来たら、8年も9年も大して変わらないから。そっちに行って、そっちの勲章を狙ってあげたほうがいいかな、という思いがあります。
-:実のある方を獲った方がいいと。
野:彼にとって先々、名前が残るようにしてあげたいなと。
-:それは先生らしいマネージメントですね。しかも、あの時期はけっこう馬場が良すぎますからね。ちなみに今日の動きはいかがでしたか?
野:良かったよ今日は。2歳の馬を誘導して、教育係で併せ馬させて、問題なし。55秒くらいやから、そんなに目一杯やってないし。
-:今で目一杯やったらどれくらい動きますか?
野:それでも、もう53、馬場が良くて53半くらいかな。終いは13.0秒とか。
-:前回、久しぶりに3着に来て、勝ってから1年ぶりくらいに3着には来ているんですけど、乗ってくれた北村ジョッキーは何かコメントはありましたか?
野:「去年より良かった」と言ってたよ。レースの内容も、動きも良かったし、本当に状態も良かった。心臓も抜群によかったし、だから逆に怖い。
-:一歩間違えると。
野:そう。動きすぎちゃうと怖いよね、馬って。調子良い時ほど故障とか、やっぱり動いちゃうから。鼻血やったらさ、休ませて、引退でもいいけどね。脚とかがさ。去年のステイヤーズのVTRとか見るのがしんどいんですよ。メイショウクオリアが一周目で故障して、トリックが伸びてきてるときに、ラチ沿いで映ってるわけ。頭によぎるやん。やっぱり。明日は我が身ってあり得ることやからさ。考えると、怖いというのが。
-:でも、指揮官としては怖がってばっかりもいられず、馬を守るためには攻めないといけないっていう。
野:そうやねん。故障させんためにはちゃんと作らんとアカんしさ。せっかく、オーナーもこの馬にかなり思い入れがあるし。
-:狙って12歳までは現役を続けられないですからね。まだこれから続くトウカイトリック物語を完結させてください。
野:本当は大変なことですよ。どうしようかなと思って、ここまできたら。
-:引退式はしないといけませんね。
野:そういう声が多いからさ。ほのぼのして引退式できれば。みんなに触らせてあげたりね。
-:馬券的に期待してるファンもいると思いますし。
野:この馬の(インターネットの)掲示板の特徴は、ホンマにみんなが応援してくれて、普通はアンチが入ってきてごちゃごちゃするらしいけど、ちょっと心が疲れたらこの掲示板に来ます、とかいう人が多いらしいですね。ほっこりしますって、みんなが応援してるから、こんな競走馬の掲示板は見たことないです、って。自分のファンとか、一口で持ってたりとかの馬の掲示板に行って、疲れたらトリックの掲示板に来ますって、箸休めにちょっとほっこりしにきました、ってのがいるらしいですね。
-:最後、応援してるファンにメッセージをお願いします。
野:ここまで長く一線で頑張ってくれるとは、引き受けた時は思わなかったけど、今となれば、厩舎の人間、スタッフ、僕もそうやけど、すごく勉強させてもらったし、馬の管理とかね。海外にも連れて行ってもらったし、開業してから、もうちょっとで6年かな、色んなことを本当に教えてくれた馬なので、何とか良い成績で走らせてあげて、現役をずっと続けさせてあげたいという思いと、何とか現役後に良い生活ができるように。
今、気持ちが複雑なところがあるんですけど、現役で走る限りは、厩舎としては良い成績が出せるように精一杯、怪我の無いように仕上げていくんで、ターフに立ってる間は応援してやってほしいなと。引退後もみんなが触れ合いやすいようなことも考えてるし、ファンが多い馬になってきてるので、何とか無事に、それを考えて一生懸命作ります。
-:もしトウカイトリックがしゃべれたら、ディープインパクトも一緒に走った、メイショウサムソンも一緒に走った、結構メジャーホースはほとんど一緒に走ってるし、一番取材したい男になってると思うんですよ。
野:3冠馬2頭と競馬したもんな。オルフェーヴル負かしてるんやから、天皇賞で(笑)。いくら調子が悪いと言え、先着はしていますからね。成績上はウチの馬の方が上でしたからね。
-:それも一つのトウカイトリックの勲章ですね。
野:ディープには先着できんかったけど、オルフェには先着してるから。
-:長いお話をありがとうございました。
野:ありがとうございました。
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■最近の主な重賞勝利 |
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厩務員だった父の影響で10歳から乗馬を始める。昭和57年10月から藤岡範士厩舎に入り、厩務員から助手へと転身し、その後は厩舎を開業するまで所属。 |
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