ダービー3連覇へ 大器ティルナノーグが重賞初登場
2014/11/24(月)
－：京都2歳S(G3)を予定しているティルナノーグ(牡2、栗東・松永幹厩舎)ですが、初戦から圧倒的人気で支持されていました。調教どおりに行かないのがレースの難しさだと思いますが、新馬戦を迎えるまでのこの馬の状況から教えて頂けますか？
松永幹夫調教師：大山ヒルズにいる時から、大山No.1の馬だと言われていました。最初からファンにも注目されていましたが、実際に乗ってみないことには、どういう馬か分かりませんでした。(トレセンに)来てからは自分で乗ったりして、動き自体は良かったですし、しっかりしたキャンターをしているな、と思いました。それでも新馬戦なので、何が起こるか分かりませんし、無事に出走できればいいなという思いでした。
－：どんなタイプの馬ですか？
松：2歳にしてはしっかりしたキャンターをしますし、緩い感じがしません。ブレることなく、バランスの良い走りをしていました。乗っていても、そこそこやれる感じはありました。
－：大山でも期待されていた通り、恵まれた施設でしっかりと調教を積まれていたことが、厩舎にきても繋がりましたか？
松：そうだと思いますし、大山でも良いと言われた通りの印象は受けましたね。
－：入厩前に育成場などで良いと言われる馬の中には、テンションが高く、引っ掛かって時計が出る馬の方が評価の高いことがあります。実際にトレセンに入ってから環境に慣れ、こっちでの時計で疲れずにステップアップしていけるかは別だと思います。そこをクリアできているのは、この馬の奥の深さですか？
松：馬ができ上がっているとまでは言い過ぎでしょうが、2歳馬離れしたキャンターをしています。2歳にしては完成度が高いです。それがそのまま出ているのかなと思います。
－：実際に新馬戦をご覧になって、完勝でしたが、内容はいかがでしたか？
松：見ている側はハラハラドキドキでしたよ。
－：意外にトーセンバジルが食い下がってきましたか？新馬戦に行くには追い切りの本数がそんなにない馬でした。
松：トーセンバジルも強い馬だとは分かっていました。高馬の評判馬でしたからね。
－：話題のハービンジャー産駒ですしね。
松：ティルナノーグが3、4コーナーで一気にハナに立つような勢いで行って、4コーナー手前ではジョッキーの手が凄く動いていて「大丈夫かな？」という感じで見ていました。
－：新馬戦ならではの荒削りなところがありましたか？
松：ええ。モロに出ました。
デビュー戦では先に抜け出してトーセンバジルを退けた
－：だからこそ、新馬戦をご覧になって、レースで重要となる修正点を確認されましたか？
松：そうですね。僕よりジョッキーが感じたと思います。
－：そういうところは、馬の持っている能力もありますが、どのような段取りで調教していくかによって、レースでのパフォーマンスも変わってくるような気がしています。2戦目に向けて、調整方法を工夫した部分はありましたか？
松：初めて入厩した時もそうでしたが、帰厩した直後は、慣れるまでテンションが高めでした。それもあったので、短期放牧に出しました。夏を越して帰ってきた直後もテンションが高めだったので、できるだけ落ち着かせることを考えていました。
－：厩舎で乗られていて、動かした時の反応の感じが、新馬から変わったところはありましたか？
松：良い意味で変わらず、僕も2戦目前にも乗ったのですが、相変わらず良いキャンターをしていました。ジョッキーに乗ってもらった時も、ヌーヴォレコルトと併せ馬をして、G1馬にあっさり置いていかれましたが、「反応が凄く良い」と言ってくれて、順調にきていると思いました。
－：そこでの追い切りは、ヌーヴォレコルトに勝つことではなく、レースに向けてティルナノーグのコンディションを上げていくことがテーマですよね。
松：強い馬と一緒に走れて、反応も良かったと思います。
－：2戦目を迎えられて、そこにまたトーセンバジルが出てきましたね。狙っているのかと思い、僕はワクワクしていました。
松：注目して見ていましたが、札幌での勝ち方も強く、また当たるのか……、という感じでした。
－：ただし、今度の方が危なげない勝利でしたね。
松：2戦目で試したかった、タメる競馬をジョッキーがしてくれました。最後は上手く良い脚を使ってくれました。
ティルナノーグ・松永幹夫調教師インタビュー(後半)
「乗り方を試しつつも無敗継続を」はコチラ⇒
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紫菊賞ではトーセンバジルの更に後方から差し切り
プロフィール
【松永 幹夫】Mikio Matsunaga
騎手としてもGIを6勝、引退レースではJRA通算1400勝を達成し、第一線で名を馳せたことは周知のとおり。調教師になってからも、開業初年度からGIに管理馬を送り込む活躍を見せ、レッドディザイアで秋華賞を制覇。 他にもフラガラッハ、セレスハントらを手がけてきた。
騎手時代から「牝馬のミッキー」として親しまれてきたが、ついに現れた牡馬の大物ティルナノーグと共に、クラシック路線を見据えている。
1967年熊本県出身。
2006年に調教師免許を取得。
2007年に厩舎開業。
初出走：
07年3月4日 1回阪神4日目8R ダノンシャトル
初勝利：
07年3月25日 1回中京8日目7R アグネススピリッツ
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
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