全部まとめて差し切ったる!ワイドバッハ
2015/2/15(日)
ワイドバッハ史上最高の仕上げ
-:今朝(2/11)の1週前追い切りでは、9時40分くらいの時間帯に坂路で乗られていました。どういう調教内容だったでしょうか?
庄:競馬を使って10日目ですし、今回は中2週でのG1になりますが、緩めず甘やかせずに、という感じでいます。今日は4F56.4-13.1秒で、馬場状態を考えたら十分な負荷が掛かっていると思います。10日前なので、まだ一杯一杯にはなりたくないですが、緩めたくはないので、今の状態を維持し、一回使ったことによって必ず上向くんだ、という意図を持ってやっています。今は特に可愛がらず“ここが一発勝負”と。
-:馬も楽そうに走っていましたよね。
庄:最後のゴール手前の1Fは脚が上がっている感じでしたが、もともとそんなに時計が出る馬ではないです。前回の根岸Sの前は久々の52秒台が出ましたが、もともとそんなに速い時計が出る馬ではないので特に気にしていないです。十分な負荷は掛かっていると思います。
-:レースで促されて嫌がるタイプの馬は、調教でも時計が出るはずがないので、調教時計で判断しようと思わないですが、中2週ということで、体重に関しては心配しているファンの方がいると思います。輸送もありますが、いかがですか?
庄:ここ何走かは東京にばかり行っているのですが、輸送したから減るということは、もう考えなくてもいいかと思っています。東京へ行きながら、ちょっとずつマイナスにはなっていたのですが、それがレースや体調に影響していることは全然ないです。逆に、少しずつ絞れて、最後にちょっと太りました。大幅な体重の増減がある訳ではないですし、前回が490キロだったので、もう少し絞れてもいいとも思います。輸送を考えて調教に強弱をつける必要はなさそうです。
-:中2週のG1挑戦なので、目一杯にやらなくてもいいですか?
庄:来週は目一杯やります。この馬なりのメイチで行きます。時計はそんなに出ないと思いますが、それはいつものことです。ただ、メイチで仕上げるつもりで行きます。
-:去年の武蔵野Sの追い切りよりはワンランク上の強めのイメージですか?
庄:間違いなく、秋以降にどんどん力をつけて行っていると思います。今でも多分そうですし、前走の根岸Sを使わせてもらった後でもそうです。まだまだ力をつけている時なので、これくらいやってもめげないだろうというところまではやりたいです。
今まではちょっとずつ加減していました。去年の秋もそうですが、前の週にしっかりやって、当週はあまりやりませんでした。今は力をつけている中で、緩める必要もないですし、しっかり負荷を掛けて、もっと力をつけて上向いて行けるんだと考えて行きたいです。
-:男馬としての骨格や筋肉が充実してきたからこそ、ワイドバッハ史上最強の仕上げになりますか?
庄:ワイドバッハ史上最高の状態では持って行きたいです。最高の仕上げをしたいです。
-:脚質的には展開に左右されるところがあるかも知れませんが、直線で楽しみに待っています。
庄:全部まとめて差し切ってやる気持ちで行きます。
-:僕は写真を撮りに行ったら、カメラはコースの外に向けておけばいいですか(笑)?
庄:一番外に向けておいて下さい(笑)。
相性が良いのは外目の枠順
-:相手関係はどうですか?チャンピオンズCからコパノリッキーや、3着だったローマンレジェンド、サンビスタ、ワンダーアキュートなどいます。
庄:やっぱり強い。さすがG1です。相手の方が1ランク上だとも思いますが、今は本当に遜色ないです。逆にチャンピオンズCの1800を得意としていた馬には、1600になればワイドバッハの方が分が良い相手もいると思います。
-:ハナを主張しそうなコパノリッキーにユタカさんが乗るので、ワイドバッハのことも重々知っている人がレースを作るのはちょっと嫌ですよね。
庄:このペースだったら届かないだろう、という絶妙なペースで乗ってくるのでしょうか(笑)。
-:平均的に使うのか、緩急使うのかというところも、ユタカさんなりのサジ加減がありそうですね。ワイドバッハにとって展開も1つの壁ですが、もう1つの壁が武豊ですね。
庄:大きな壁ですね。このクラスの馬で、このクラスのジョッキーが揃うので、脚を計られている方としては、一番手強い人ですよね。
-:見る方は応援しがいがあるというか、コパノリッキーのスピードも評価されるべきでしょうし、それにどれだけワイドバッハが立ち向かえるかです。G1は2回目の挑戦者です。
庄:でも、正直、ウチは目標にされる馬ではないと思いますから。
「力のある馬同士、色々な駆け引きも生まれてくるでしょうし、位置取りやペースの駆け引きも、有力馬同士の中で生まれると思います。ウチはウチの競馬をするだけなので、皆まとめて差し切ったるくらいの気持ちで行きます」
-:全員を見て行きますからね。
庄:皆が後ろをチラチラ見てくれたら嬉しいですけどね。一番後ろから皆を目標にして行くので、あの馬この馬と決めずに行きたいです。力のある馬同士、色々な駆け引きも生まれてくるでしょうし、位置取りやペースの駆け引きも、有力馬同士の中で生まれると思います。ウチはウチの競馬をするだけなので、皆まとめて差し切ったるくらいの気持ちで行きます。
-:混戦になることを期待して、その中で外からズドンッと良い脚のワイドバッハが来ることを祈っています。馬券を買う方としては、イメージのし難いレースです。ワイドバッハをコパノリッキーと一緒に買っていいのかとか。
庄:逃げ馬と追い込み馬が同居するレースなので、人気は分かりませんが、馬券を買うファンとしては難しいでしょうね。
-:負けているレースでも、際どい4着とかです。展開不問のワイドバッハですが、できたら流れて、真ん中ちょい外目くらいだったらいいですか?
庄:枠順はどこでもいいです。でも、良いレースをしている時は、チョイ外目なんですよね。
-:内枠だと外に出しながらですよね。
庄:前の馬を避けながらになっちゃいますからね。真ん中より外目のほうが、いつも良いレースをしています。
-:2015年の初めてのG1なので、良い結果を期待しています。あと1週間あるので、楽しみに待っています。忙しい時間に、ありがとうございました。
庄:頑張ります。全部まとめて差し切ったる(笑)!
(取材・写真=高橋章夫 写真=武田明彦、競馬ラボ特派員)
●ワイドバッハ・庄野靖志調教師インタビュー(前半)はコチラ⇒
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庄野師と追い切りにも騎乗した持ち乗りの浅井調教助手(左)
プロフィール
【庄野 靖志】Yasushi Syouno
少年時代は馬生産を志して、日本大学獣医学部に進学するも、調教師に目標を改め、JRA厩務員過程より段階を踏んで厩舎開業。開業2年目にホクトスルタンで目黒記念を制し、重賞初制覇を挙げると、2010年のJBCスプリントをサマーウインドでGⅠ(JpnⅠ)初制覇。実家が北海道、門別の庄野牧場という、ホースマンのサラブレッドというべき、家庭環境で育った。
1970年北海道出身。
2006年に調教師免許を取得。
2007年に厩舎開業。
初出走:
07年3月4日1回中京2日目11R マチカネオーラ
初勝利:
07年6月2日3回東京5日目4R ハリーコマンド
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
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