本番の位置取りはどうなる？

－：1週前追い切りのテーマというのはいかがでしたか？

小：相手に併せてきちんとした格好できちんと走れればいいなと。今週末シッカリ終いを伸ばして、来週は今週と同じくらいでサラッとやる予定です。

－：前走の弥生賞で中山2000mの舞台を使っていますが、皐月賞に向けての見通しはどうお考えでしょうか？

小：自信を持ってくれたみたいですし、乗っている田辺が一番分かるでしょうから。僕らはいい状態にして、「この前の状態でこんな走りだった。じゃあ次はこうしよう」といった話で、田辺がいい感触を持ってくれています。レースが終わってパトロールビデオを見ながら「無理しなくてもう１つ前の位置が取れます。取っても良かったのですが、ちょっとカリカリしていたので、今日は安全策を取りました」と話していたのです。もしかしたら次はもうちょっと前の位置を取れると。取りに行くのではなく、自然と前の位置にスッと入れるような感覚があると思うんです。

－：ガーッと行くかもしれないし、安全策でできるだけ権利を外したくないので、道中無理に一列上げる必要もないし。

小：弥生賞は好きなレースなので、欲しいなと思いましたが、雑なレースをしたばっかりに次にダメージを残してはね。一番大事だったのは皐月賞、ダービーでいい競馬をするためのレースということですから。

－：ジョッキーもいい手応えを掴んでくれました。

小：それを感じてくれたのが一番じゃないですか。本人の中では少し見えているところもあるようですし。あとは乗りやすくするのがこちらの仕事ですから。

ブライトエンブレム

－：先生はブライトエンブレムに長く乗ってらっしゃいますが、2歳の頃から1番変わってきたところはどこでしょうか？

小：馬が大きくなりましたよね。単純に数字もそうですけど。

－：デビューから一戦毎に増えていますね。

小：性格的なものは大きく変わっていません。もともと我慢する子だからボロや、表情、見た雰囲気を凄く注意してあげないと気がつかないなと思ってやっていますが、変わってきたところは特になくて。強いて挙げれば乗った時の重量感ですかね。しかし、今回もそうですが、帰ってきた時は小さく感じて、調教が進むとプーッと膨らんできて。今回も追い切って、1日楽をさせたらまた膨れてきましたから。

－：実際の数字も増えていますからね。それに伴ってのパワーアップがある。なおかつ性格の我慢強さは変わらない。

小：出すパワーが強くなってきたから、本人は変わらないつもりでやっているだろうし、僕も変わらないと思いますが、ちょっとこのパワーだと乗り手は気をつけなければいけないと思いますね。だからちょっと調子に乗って若い子とかに「ちょっと1回乗ってみぃ」なんて乗せた日には、ガーッとなっちゃってリズムを崩す可能性はあるなと思います。


「札幌で平均的に落ちないような、12秒台を刻むような、ラップで来られる馬というのは、なかなかいないと思うのでね」

－：そのあたり、細心の丁寧さが必要と。

小：最後はハナ差とか小さい勝負をするわけですから、そういうところは手を抜かないでやっていかないといけませんね。

－：ブライトエンブレムが最も力を発揮できる展開、馬場はどう見ていますか？

小：分かりません。しかし、札幌で平均的に落ちないような、12秒台を刻むような、ラップで来られる馬というのは、なかなかいないと思うのでね。他の馬たちが苦しいであろうところを踏ん張れるのだから、そういうのは向いているのだろうし、初戦東京で雨の中、お母さんは苦手だったのに大外をブン回して差してきたのを見たら、そういう馬場も合うのかなと。しかし、僕はそういうことは考えませんから。ただ単純にちゃんと仕上げられるかどうかだけで、当日雨が降っちゃったら仕方がない、良馬場なら良馬場でやるしかない、それは気にしないですね。競馬はもう田辺に任せていますから。

－：あとは当週もレースに向けて仕上げていくのみと。

小：今のところはイメージ通りに来ています。気を抜かずにゲートインさせるのみです。

－：ありがとうございました。皐月賞、そしてダービーと楽しみにしています。

(取材・競馬ラボ　写真＝山中博喜、競馬ラボ特派員)

ブライトエンブレム・小島茂之調教師インタビュー(前半)はコチラ⇒

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