適条件で逆襲誓う いざ5度目のG1挑戦! ダイワマッジョーレ
2015/5/31(日)
活気ある厩舎の勢いそのままに
-:1週前追い切りはどうでしたか?
甲:矢作厩舎は金曜日(5/29)なんです。中2週の時は金曜日に少し追い切って週末はやらないと。木曜日に追い切りってしまうと、日曜日に少し大きめに動かしてしまうじゃないですか。ですので、1週前は金曜日だけ動かして、水曜日に本追い切りをして本番ですね。
-:今週は体力温存で、来週の追い切りを見て感触を確かめるということですか?
甲:ずっと調整で運動してきているので、気分よく走らせたいですね。引っ張らずに楽に楽に、のんびり走れたらいいなと思っています。軽いところはけっこう乗ってますよ。
-:マッジョーレほどの馬で軽い追い切りは、逆に難しいですよね。
甲:意外にできるものなのです。矢作厩舎としての軽いメニューですよ。他の厩舎なら普通くらいだと思いますが、坂路で68~70秒前後で今は乗っています。
-:その感触でいうと気分は良さそうですか?
甲:だいぶ気分は良いですね。楽しそうです。暖かくなってきて少し暑すぎるくらいですが、寒いよりは気分いいみたいですね。
-:最近は2歳馬が坂路に増えてきましたが、急にチャカチャカしたりすることはありますか?
甲:それは馬も気にしてますね。僕も気にしますし。
-:たまに突発的な動きをする馬も見受けられます。
甲:マッジョーレもね、時々つられてポンッって行ってしまうんですよ。
-:元気がいい証拠ということですね。
甲:あれで無反応になったら、もう(競走馬として)終わっている証かもしれません(笑)。そんなことはありませんから。
-:厩舎にはミストも設置されていて、馬にとっては最高の環境ですね。
甲:助かりますね。気持ちいいと思いますよ。
-:オークスのアースライズは頑張りましたね。先生は「みんなリアルスティールのことばかり聞いて、アースライズのことは全然聞かれなかった」と仰っていました。
甲:あんまり人気にもなっていませんでしたからね。しかし、厩舎は皆で応援していましたよ。もう少し4コーナーで上手く捌けていたら、大接戦まできてたかもしれません。惜しい競馬でしたね。
-:今週はダービーでリアルスティールが頂点を目指しますね。そして次週の安田記念にマッジョーレで乗り込むことになります。心境はいかがですか?
甲:気楽ですけどね。マッジョーレが、僕らを緊張させるような馬ではないですから。大きいレースに行って勝ちたいという緊張感はありますが、アタフタするような緊張はないですね。昔はもう少し緊張したものですが、矢作厩舎に来て大舞台に慣れさせてもらいましたね。
先輩G1馬グランプリボスと比較して
-:厩舎的にも、昨年はグランプリボスの惜しいレースがありました。今年は混戦ですね。
甲:ただ、本当に強くて勝ち切れるような馬だったら、マイルCSを勝てていたとも思うのですよね。本当に強い馬なら、この前の京王杯もあの位置取りから前に来られるのですよ。その辺り条件が揃わないと来られないという弱いところがあります。ただ、それがなかなか面白いですね。決して完璧ではないというところが。特に今年は力が拮抗していますからね。カレンチャンやロードカナロア辺りがいた頃の短距離路線は相手が強かったですからね。
-:マイルCSも2着でしたが、勝ったのが別路線から来たトーセンラーでしたね。
甲:あの馬は京都強かったですね。すごく伸びてきますから。
-:グランプリボスの時はどうでしたか?
甲:グランプリボスは“天才型”ですよ。マッジョーレはどちらかというと“努力家”で、グランプリボスは能力が圧倒的にすごかったですからね。だから、天才的な馬で「これは走る!」って感じでしたからね。
-:マッジョーレはグランプリボスから学ぶことはなかったですか?
甲:そういうのもないのですよね。「なんで走るんだろう?」って思うところもあるくらいで。もちろん、馬のバネなどは素晴らしいのですが、オープン馬にしては相当乗りやすいですし、ちょっとうるさい時もありますが、普通の馬よりも全然楽だと思うんです。
「グランプリボスはパワーが溢れて、いつ引っかかるか分からないようなところがありありましたが、この馬はそういう雰囲気じゃないですね。いいヤツなんです。すごく可愛い存在です。後は気持ちが前に向くかどうかで、かなり違いますね」
-:ちょっと天然キャラなところがあるとでも言いましょうか。これだけ付き合ってきても、未だどこにスイッチがあるかわからないと。
甲:やっぱり動くと、落とされそうになるくらい走りますが、それでも他の馬とは何かが違うのですよ。グランプリボスはパワーが溢れて、いつ引っかかるか分からないようなところがありありましたが、この馬はそういう雰囲気じゃないですね。いいヤツなんです。すごく可愛い存在です。後は気持ちが前に向くかどうかで、かなり違いますね。
-:気持ちを前に向かせることが、甲斐さんの仕事ということですね。
甲:はい。頑張ります。とにかく調教は気分よくこなしたいですね。
-:馬場のことを考えると、枠は外の方がいいですか?
甲:この間も外枠でしたが、道中は何故か内にいましたね(笑)。
-:前走からのガラリ一変に期待しています。
甲:はい。楽しみにしていて下さい。
(取材・写真=高橋章夫 写真=武田明彦、山中博喜)
●ダイワマッジョーレ・甲斐誠調教助手インタビュー(前半)はコチラ⇒
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プロフィール
【甲斐 誠】Makoto Kai
昭和48年5月16日生まれ。高校3年の時に厩務員だった父の担当馬グラールストーン(松永善厩舎)を応援して、馬の仕事に興味を持つ。ナイスネイチャの弟だったグラールストーンは3歳クラシック戦線でも活躍していたので、身近に触れた馬が競馬場で勝つ面白さに惹かれた。
高校卒業後、栃木の那須トレーニングファームに就職し、この世界に入る。その後、JRAの厩務員課程を経て、22歳で北橋厩舎に配属される。サワノブレイブ、ラパシオン、グランプリゴールドなどが北橋厩舎時代の思い出の馬。
特にグランプリゴールドは気性も苦労が絶えなかった。この馬のオーナーが矢作厩舎にも預託していたことがきっかけで矢作厩舎に所属することになった。馬に優しいホースマンとしてオーナーからの信頼も厚い。
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
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