【POG】ドンキ、ラクティに続く看板馬はこの馬だ!
2015/6/13(土)
現2歳は少数精鋭の戦略で
-:今年はレッツゴードンキで桜花賞を獲りましたが、次の世代にかける意気込みはいかがですか?
梅:今年クラシックを獲れたことは自信になりますし、次の2歳は少数精鋭のスタイルになっているので、今年の経験を活かしたいですね。今までたくさん失敗もしてきましたし、これから先も失敗は付き物だろうと思いますが、失敗の数を減らすことが成功への道のりのひとつだと思うので。失敗した分だけ、修正をしてきました。2歳馬も早く使いすぎてしまったり、ゲートで失敗したりとありますからね。
-:先生の場合はゲートが受かった後、一旦放牧を挟むのですか?
梅:いやいや、そのままレースに出走させる時もありますよ。調整が足りないなと思った時は一旦放牧に出して、体力が付いてから戻すということもありますが、まずはゲートを受かってから考えますね。助手や厩務員と話し合って。
-:とりあえず、アドマイヤさんらフローリッドコートの2013は期待、ということで要チェックですね。
梅:そうですね。どの馬にも期待はしていますが、ブリーズアップセールの馬と千葉セリの馬も期待ですね。ブリーズアップ出身の方はもう厩舎にいますよ。今日、坂路で速いところを乗ってもらいました。時計も出しているので、デビューは今開催の最後あたりかな。担当の助手に聞きながらですね。
-:アドマイヤデライト(牡、父アドマイヤムーン、母アドバンスクラーレ)ですね。
-:距離はどのくらいが良さそうですか?
梅:マイル~中距離ですかね。トビが大きいし、ゲートも速くはないのでね。いずれは変わるかもしれませんが、引っかかる面もありませんから。うちの厩舎では、この仔が最初にデビューするかなと思っています。
-:今年もクラシック目指して頑張ってください。
梅:本当ですよ。昨年もアドマイヤビジンが頑張ってくれましたね。あの仔もブリーズアップの馬ですよ。
JRAブリーズアップセール出身のアドマイヤデライト
看板馬が途絶えない厩舎に
-:梅田厩舎とブリーズアップの馬の相性が良いのでしょうか?
梅:どうでしょう。今年は今週のレースで使うアドマイヤリバティがブリーズアップ出身です。この馬も一つ勝ってくれています。アドマイヤデライトはまだ緩い面もありますし、時間がかかるかと見ていたのですが、実際に走らせてみると「まずまず動くな」と。
この仔が牝馬で身体が太くなくて、カリカリしているのであれば「来週にでも使おうか」とこの時計なら思うところです。実際はまだ緩いですし、もう少し攻めていったらまだ時計も速くなっていって、デビュー戦から高いパフォーマンスが出せるという感じなら出走を延ばします。これは馬によって変わりますね。あと、「中京になったら強いメンバーが増えるかな。それなら前に一本足りないけど、出走させようか」など、頭数や相手を見て入れ替えたりしますね。
また、本当に新馬戦は勝てそうと思った場合は、開催の2週目・3週目を狙って仕上げて行く手もあります。開幕週はメンバーも揃いますが、その後はメンバーが薄いこともありますから。
-:先生の厩舎みたいに、ゆっくり仕上げられる厩舎だったら、今年でいうキタサンブラックの清水久厩舎のようなパターンがありますよね。
梅:そうですね。1月デビューでも、最終的に皐月賞もダービーも出ていますものね。
-:勇み足で前がかりになることが、必ずしも良いとは限りませんよね。
梅:ウチの厩舎も馬の入れ替えが大変で……。4歳がたくさんいるからね。ありがたいことではありますが、出戻りも2頭いて、転厩も2頭いて、14、5頭いるのですよ。20頭そこそこが入ってきてということを考えると、半分以上が勝ち上がっているという計算ですから。
-:素晴らしいじゃないですか。
梅:ただ、そこまで考えてなかったのです。20頭そこそこ入ってきたら、8頭くらい勝ち上がってくれればいいかなと。それを計算して次の年も20頭そこそこを入れようと。8頭どころか倍くらい勝っているとなると、後ろが詰まっていきますよね(苦笑)。こういうことは初めてで……。
-:嬉しい悲鳴ですね。今年も強い馬が出てくることを期待しています。
梅:ここで終わってしまったら、レッツゴードンキだけの一発屋になってしまいますからね。その前はアドマイヤラクティがいて、次にショウナンマイティですか。昨年もオーストラリアでG1を勝てました。ここのところ、看板馬がずっといてくれるので、それを途切らせないようにしたいですね。「梅田厩舎といえば、今はあの馬がいるところだね」と言われ続けるような、そういう厩舎であり続けたいと思いますね。
(取材・写真=高橋章夫 写真=競馬ラボ特派員)
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- アウェイキング
- 牝、栗東・梅田智、ハービンジャー×フェアレストケープ
プロフィール
【梅田 智之】 Tomoyuki Umeda
父はマイルCSを2連覇したダイタクヘリオスなどを育てた梅田康雄調教師。競馬学校厩務員課程を経て、96年から西橋豊治厩舎に調教厩務員、調教助手として所属。06年から厩舎を開業。12年の大阪杯をショウナンマイティで制して重賞初制覇。昨年秋、アドマイヤラクティがオーストラリアのG1コーフィールドCを制してG1初制覇が海外G1という快挙を達成。続くメルボルンCで非業の死を遂げるも、レッツゴードンキが重賞で活躍。桜花賞で見事にJRAG1初制覇を達成した。
1971年滋賀県生まれ。
2006年に調教師免許を取得。
2007年に厩舎開業。
初出走:
2007年3月10日 1回中京3日目11R エミネンツァベルタ
初勝利:
2007年4月7日 2回阪神5日目5R メイショウハナミチ
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
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