断然人気を背負ったヴィクトリアMは、ある意味で大波乱の立役者となる⑥着。しかし、斎藤誠調教師に聞けば悲観の色はまるでなく、大目標である宝塚記念に向け、挑戦者として順調な調整が施されている。今回は牝馬の参戦も多く、引退したハープスターと互角以上に渡り合ってきた立場を考えれば現役最強を証明するに絶好の舞台。ベストディスタンスでヌーヴォレコルトの逆襲が始まる。

ヴィクトリアMの敗因は距離適性だけ

－：宝塚記念(G1)に出走するヌーヴォレコルト(牝4、美浦・斎藤誠厩舎)についてお聞きします。まずは前走のヴィクトリアマイルは桜花賞以来、久々のマイル戦でした。

斎藤誠調教師：本質的にマイルは少し短いかという感じはありますが、ワンターンで直線の長い東京のマイルなら問題ないだろうと思っていましたし、牝馬同士ということもあってヴィクトリアマイルを使いました。人気に応えることが出来ず、残念な結果になってしまいました。

－：レース内容を振り返っていただけますか？

斎：前に行った馬の競馬になりましたし、ヌーヴォレコルトもテンは割りと出ていたので、もう少し前で競馬をしても良かったかもしれませんね。淀みのない流れになりましたし、脚が溜まるところがありませんでした。それでも自身最速というくらいの上がりを使っていますし、調子も悪くなかったと思います。距離適性の差が出たというだけで、内容に関しては悲観していません。

ヌーヴォレコルト

ヴィクトリアマイル出走時のヌーヴォレコルト


－：レース後の様子はどのような感じでしたか？

斎：どこかを痛めたということもありませんでしたし、悪くない状態でした。レース後すぐに山元トレセンに放牧に出しましたが、ダメージもなかった分、向こうでも落ち着いて過ごせていました。厩舎に帰ってきてからも順調にきています。

－：中間の調整過程について教えてください。

斎：6月7日に坂路で“15－15”くらいのところをやって、2週前追い切りを6月10日にウッドチップコースでやりましたが、力むこともなく良い感じで走っていました。今回は、2週前追い切りと1週前追い切り、あとは当該週に1本と3本の追い切りを予定です。今日の1週前追い切りは、具体的な時計の指示は出しませんでしたが、単走で終いだけやりました。

－：動きはどうご覧になられましたか？

斎：良かったですよ。もう体は出来ていますし、輸送も考えて併せ馬はしませんでしたが、やはりやれば動きますね。来週は単走で、70－40くらいでやろうかと思っています。

－：中間の状態については、どのような印象をお持ちですか？

斎：マイルを使ったあとでかかることを心配していましたが、落ち着きがあって良い感じだと思います。テンションを上げる必要もありませんし、このままでいきたいですね。

ヌーヴォレコルト

6/17(水)、助手が騎乗してWコースでの一週前追い切り
強めに追われて6F81.1－38.7－13.4秒をマークしている


当初から春の大目標は宝塚記念

－：いよいよ宝塚記念です。

斎：少しタフな阪神の馬場で、距離も2200になるので条件としてはベストかと思います。中山記念で稍重の馬場もこなしていますし、力強さもあるので、道悪になってもあまり苦にしないと思います

－：また牡馬との対戦になりますね。

斎：そうですね。中山記念で勝っていますし、牡馬の一線級と比べても能力はヒケを取らないと思っています。それ故に、今回は牡馬と2キロの斤量差があることは大きいと思います。根性があって、普段の調教から牡馬を圧倒するような感じがありますし、攻め馬をやればやるだけカイバも食べますからね。僕はヌーヴォレコルトのことを牝馬だとは思っていませんから(笑)。


「僕はヌーヴォレコルトのことを牝馬だとは思っていませんから(笑)。ただ、牝馬同士の前走で負けてしまいましたし、今回は気楽に乗れる立場になるかなと思います。受けて立つよりも、挑んでいく方が合っていそうですよ」

－：男勝りなところがある、と(笑)。

斎：本当に凄い子です。ただ、牝馬同士の前走で負けてしまいましたし、今回は気楽に乗れる立場になるかなと思います。受けて立つよりも、挑んでいく方が合っていそうですよ。

－：阪神への輸送に関してはいかがでしょう。

斎：どこでも平常心で過ごせますし、輸送は心配していません。直前輸送の方が締まった感じになりますし、輸送に問題がないので今回も直前輸送の予定です。今現在の体重は450キロくらいで推移しているので、この後もうひと膨らませして、輸送でちょうど良くなるかと思います。

－：分かりました。それでは最後にレースに向けての意気込みをお願いします。

斎：もともと春の目標は宝塚記念でしたし、調子を整えて悔いのないように調整していきたいと思います。宝塚記念の結果を踏まえて今後の予定を考えていきますし、改めて期待します。

(取材＝競馬ラボ　写真＝競馬ラボ特派員)

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