競馬をこよなく愛す美浦のホープ 飛躍を誓う2年目の夏
2015/7/31(金)
新潟、夏競馬は人気馬での結果を!
-:先週(7/18、7/19)は福島で2勝。しかも、新馬戦とメインという、おいしいところをもっていきましたね。
石:ああ~、そうですね。滅多にないことなのですが、なんとか勝てました。
-:僕ら馬券ファンは石川裕紀人の馬券を買うことが多くなってくると思うのですが、どこに注目して買ったら良いですか?
石:いや~、そこは分からないですね。僕は人気を自覚していないのですが、人気にしてもらった時に成績が良くないようです。5~6番人気だったら、たまに来たりするのですが……。
-:でも、もっと下の人気でも上位に来ていますよね。
石:やっぱり人気の時に勝ちたいというのが最近の課題です。徐々に馬の質も良くなってきて、良い馬に乗せてもらってきているので、人気や期待を裏切りたくないですからね。それが、今後の課題です。
-:その人気の馬で結果を出したいという気持ちが、もしかしたら人気を飛ばしている原因かもしれないですね。
石:それは自覚がないのですが、どこかで馬に伝わっているところがあると思います。“なぜ人気馬で、10倍以上のオッズの馬で勝てないのかな”と思うことばかりです。
-:今のところは、人気の石川裕紀人は危険だと。
石:危険です(苦笑)。他にもノンコノユメ(牡3、美浦・加藤征厩舎)やミナレット(牝5、美浦・大和田厩舎)のように、G1でも活躍する馬に乗せてきてもらっているわけですからね。もっと成績を残さないといけません。
-:来週から新潟が始まります。福島は攻略されていたと思うのですが、新潟の芝の難しさはどこに感じますか?
石:芝の難しさは、やっぱり何と言っても直線が長いじゃないですか。力のある馬だったら、ヨーイドンで差し切りますよね。福島だったら小回りで、捲って押し切れるという形は何回かありますが、新潟だとなかなかそうはいかないので。
-:直線が長い分、流れないイメージがあります。
石:そうですね。新潟がおもしろいのは、坂も府中みたいにそこまでないですし、考えて乗らないと難しいコースではありますね。やっぱり馬場も悪くなってきますから。
-:新潟と言ったら、「偽りの上がり32秒台」なんて競馬も多いですね。
石:ハハハ、ありますね(笑)。本当にそんな競馬ばかりですよ!外回りは本当にビックリします。
-:上がり最速を出すよりは、ある程度のポジションで我慢しておいて待つというのも、新潟の一つの攻略法ですか?
石:そうですね。それに新潟は外回り、内回りとあるのがおもしろいですね。
「僕は後ろから行く方が好きなタイプです。しかし、減量があるとなると、積極的な競馬を求められるので、そういう競馬があんまり出来なくなってきますからね。早く減量を取って、そういう競馬をやっていきたいなと」
-:石川君自体はどういう競馬の戦法が好きですか?
石:僕は後ろから行く方が好きなタイプです。
-:だから、僕が好きなタイプなのですよ(笑)。
石:そうですか。ありがとうございます。しかし、減量があると、積極的な競馬を求められるので、そういう競馬があんまり出来なくなってきますからね。早く減量を取って、そういう競馬をやっていきたいなと。
-:それは、もう時間の問題ですね。
石:なってくれば良いですね。
-:一方、新潟ダートの攻略法も教えてください。
石:ダートは前が止まらないです。坂がないので、前が本当に止まらないんですよ。新潟のダートは押し切れるタイプが多いのかなという気がしますね。
-:ある程度、先行力があった方が良いということですね。ドタドタといったら失礼かもしれませんが、グランドシチーみたいなパワータイプの大跳びで来るタイプより、もっと軽くスパスパ走るダート馬の方が合うのかなと。
石:どちらかと言ったら、大トビ系の方が良いのかもしれないです。意外にコーナーも急なコースなので。
-:身長も結構ありますよね?馬によっては小柄で420キロくらいの馬もいれば、もっと大きい500キロクラスの馬もいますが、俺に合うという、一番乗りやすいタイプの馬を教えて下さい。
石:僕的には大きい方が追いやすいですね。小さいとどうだろう……。人それぞれになりますよね。大きい馬が追いやすいという気はしてきましたね。トビが小さい馬も好きですが、やっぱり大きいと土台がシッカリしているので。でも、普通がベストです。450~60が一番です。
-:それでいて、ある程度スパッと切れる馬がいいですね。
石:そういうタイプでしょうね。
▲今をときめくノンコノユメで新馬勝ち
-:折り合いに関してはどうですか?
石:折り合いに関しては、まだそこまでガッツリ引っ掛かる馬の経験はないです。もうちょっと力のある馬が出てきた時に、どうなるか分からないですね。それこそG1馬などはまだ乗ったことがないので。そういうクラスの馬はもっとパワーが違かうはずでしょうからね。
-:今、乗っている中では、まだ手の内に収まると。
石:競馬だったらそう思います。
-:石川君は相沢郁厩舎に所属ということですが、相沢厩舎と言ったら、僕も注目している津村明秀ジョッキーとも関わりがあるのかと推測します。アドバイスをもらったりはするのですか?
石:ハイ、いただきますね。やっぱり津村さんに乗ってもらって、僕の次に乗った馬は比較してもらえますので、そういうアドバイスもいただいたりします。
-:相沢厩舎にいたクリールパッションもあまり歩様の良くない馬で、乗る人によっては、怖がるタイプの馬なのではないでしょうか。津村ジョッキーはいつも乗っているから、この馬はこういう馬だと分かっていながらも、思い切って攻めて乗ってくるというのは感心させられました。
石:そうですね。攻め馬にも乗ってもらっていますし、グランドシチーだってそうですよ。クリールパッションと似たような歩様で、前がちょっと出なくて硬くて。
-:その津村騎手は折り合いがスゴいですね。
石:スゴいですね。天才的です。
-:あれはなぜできるのでしょうかね。
石:う~ん、感性じゃないですか。
-:姿勢が崩れないですし、ちゃんと前に掛かっていて、それでいていなせているという。
石:ムチャクチャ綺麗ですね。それこそ、武豊さんや秋山さん系のスタイルですよね。秋山さんも津村さんとソックリですよね。体も柔らかいと思います。僕は体が硬いので……。
自厩舎にも恩返しを
-:その技術を盗みたいですね。最後に、この夏の課題や目標を教えてください。
石:同じ話になってしまいますが、人気の馬であまり飛ばさないように、確実に結果が出せるようにしたいですね。人気の馬にも乗せてもらってきているので。
-:人気の石川裕紀人で活躍したいですね。
石:それで、信頼を築いていきたいですね。そして、自厩舎でなかなか勝てていません。まだ2つしか勝っていないので、自厩舎で勝ちたいです。
-:これからは自厩舎の石川裕紀人も面白いかもしれないですね。
石:ハイ、今は飛んでいるので、流れを変えたいです。
-:先生も若手に対してポジティブな方ですよね。関東の若手と言ったら、入る厩舎によっては辛くて厳しい時期を過ごす可能性もありがちかもしれませんが、そういう意味では相沢先生に巡り合えて良かったですね。
石:恵まれていますね。なかなか結果を残せなくて申し訳ないですが、これからは結果が残せるように頑張っていきたいと思います。
-:ファンの信頼と師匠の信頼を勝ち取るために、とにかくケガをせずに。
石:そうですね。ケガが一番もったいないです。この間、(ケガをして)切に感じました。良い時ほどケガをするので。
-:夏にちゃんとリズムを掴んで、秋の2キロ減、1キロ減に向けて、また頑張って下さい。
石:はい、頑張ります。
-:忙しい時にありがとうございます。
石:いえ、とんでもないです。ありがとうございます。
(取材・写真=高橋章夫 写真=競馬ラボ特派員)
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プロフィール
【石川 裕紀人】Yukito Ishikawa
デビュー1年目の昨年は12勝を挙げて木幡初也騎手とともに民放競馬記者クラブ賞を受賞。2年目の今年は落馬負傷による1カ月半のブランクがありながら、すでに昨年を上回る勝ち星を挙げている美浦のホープ。昨年終盤には今年のヴィクトリアMで3着に入り、大波乱を演出したミナレット、ジャパンダートダービーを勝ったノンコノユメに騎乗して勝利を挙げている。目標とする騎手はライアン・ムーア騎手。
1995年 東京都出身。
2014年に相沢郁厩舎からデビュー。
JRA初騎乗:
2014年 3月 1日 2回中山1日 7R ミストフェリーズ
JRA初勝利:
2014年 6月 1日 2回東京12日 2R ニシノソラカラ
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
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