2015年は僅かのところで中央G1タイトルとJRA賞を逃したノンコノユメ。しかし、ルメール騎手とのコンビで繰り出してきた末脚は衝撃そのもので、チャンピオンズCで後塵を拝したサンビスタが引退、最強ライバルともいえる川崎記念①②着馬が不在となれば主役の座は譲れまい。前回も唸らせられるコメントを残してくれた加藤征弘調教師だが、今回のインタビューもまた自信に満ち溢れている。

今年は外を回す競馬で勝負!

-:フェブラリーS(G1)に出走するノンコノユメ(牡4、美浦・加藤征厩舎)について聞かせてください。まず、率直に今回はチャンプオンズC以上の状態にあるのでしょうか?

加藤征弘調教師:今回は間隔が2カ月半。前回(の休み明け)は4カ月半くらい空いていたからね。休養期間が短い分だけ、かなり調整が楽ですよ。しかし、前回は10月くらいの調整だったけど今回は厳寒期なので、その部分はややこしいなというところもありますが。

-:厳寒期の調整で気を使うところはどの辺なのですか?

加:どうしても皮下が厚くなるのでね。そうかと言って、変に強めに追うと色々と鼻出血とかしたりもあるのでね。暖かい時を選びながら上手にやっているんだけどね。

-:1週前の調教では、最後ちょっと遅れていましたか?

加:こっちから見ていたら分からないですが、併入まで行けてるのか、クビ差くらい遅れたのかという感じだろうね。あんなもんはあんなもん。長めからで一番後ろから行っているから。

-:けっこう良いラップを踏んでいましたね。

加:シッカリと中身をつくらないといけないので、長めから15-15-15-15で6ハロンくらいから走ってるのでね。調教はあまり瞬時に動かないから、逆に長めから行って息をつくった方が良いというのが、いつものこの馬の調教スタイルだから。

加藤征弘調教師

▲チャンピオンズC最後の直線の攻防 右がノンコノユメ


-:チャンピオンズCの2着はいかがでしたか?

加:いくらか狭い所に入って、気を遣いながら、という雰囲気だったので、差し脚がいつもより鈍っていた感じがするね。耳の動きがちょっと立っていたしね。いつもならスッと自分からドーンと進むモードに入るのが、探り探りで全然集中していなかった感はあるよね。

-:今まであのような形はなかったですからね。

加:やっぱり外に出したら、馬の気持ちが乗るからね。

-:外に出す気もなさそうでした。

加:下見所の時に、最初から「内に行く」と言っていたからね。


「ただ、『今回も内に行く』と言ったら、『負けても良いから外に出して』と言いますけどね。でも、負けたことで、そういう経験も必ずどこかで活きてくると思うので」


-:狙い通りの競馬ではあった訳ですね。

加:そうだね。ただ、「今回も内に行く」と言ったら、「負けても良いから外に出して」と言いますけどね。でも、負けたことで、そういう経験も必ずどこかで活きてくると思うので。前々走の武蔵野Sの時も、最後のコーナーで1頭分内に入って捌いているんだよね。わざと大外ブン回すよりも、捌いてから外に出している型の方が良いね。毎回、毎回自分だけの競馬をしていると、やっぱりいつかどこかで壁に当たることもあると思うので。

-:何でもできそうな感じはしますね。内に向いても急に止まったりしている訳じゃないですからね。逆に気を遣う馬だったら、あそこでちょっと……。

加:ホッコータルマエを抜き去ってからの方が、前脚をシッカリ高く上げて本来の脚を使えるようになった気がするけどね。あれを捌くまでは探り探りで、抜き切ってからは一気にエンジンが掛かった感じがするから。

-:その時には、もう前が離れていましたからね。

加:もう離れて、勝ったサンビスタが1馬身くらい出ていて、ゴールだったのでね。その辺は仕方なかったという気はしています。競馬のスタイルは決まっているし、ある程度の流れにもなるので、相手が残るか残らないかよりも、自分の時計をどう詰めるかだと思っているのです。普通に1分35秒は切って走れるのでね。良馬場の方が走れるような気がしますし、むしろ良馬場が希望ですね。先週の東京のダートを見ていると、追い込み馬にちょうど良い馬場になってきているので、雨は降って欲しくないと思っています。

加藤征弘調教師

蹄鉄の減りでパワーアップが歴然

-:チャンピオンズCの中京でも、差しが決まっていないとは言いながら、あそこまで来ている訳ですからね。

加:中京は内の砂が厚いです。先行馬がズラリといるし、今回は内が開かないでしょうからね。そうそう、ここ一連の時よりも間違いなく背中から腰に力が付いています。それは蹄鉄の減り方も今までと全然違うようになったから。後ろ脚の減りがすごく速くなっちゃって、前脚を1回のところ、後ろ脚を2回打ち替えたんですよ。入厩して2週間くらいしてから、ダートコースを走っている時も蹴り上がりがすごくなっていたから。それが鉄の減りにも表れているから、間違いなく力は付いてきている。

-:どれくらいの時期から力が付いてきたのですか?

加:帰ってきた頃はそうでもなかったけど、乗り込んで2週間くらいして。今年に入ってからですよ。去年は後ろ脚も全然そんなことなかったからね。だから、さらに機動力が上がるんじゃないかと思っています。踏んだ時にグッと噴き上がると思うし、見た感じにもシッカリと表れてきているので。

-:「疲労の回復が早くなった」ということで、全体的に完成されてきたと。

加:3歳から4歳になってきたら、ちょうど成長曲線が上がってくるのでね。あえてわざと空けているので、無駄に連戦させていないです。1月の東海Sも、そういう意味があって使わなかったのです。1月に1回くらい使っている間だったら、馬ってなかなか良くなってこないから。2カ月半とか3カ月の周期で使っている分には1回緩める期間があるので、その間に段々と膨らんできたりもするんですよ。そういう意味では1月の中京を使わず、ここに向かうというのは予定通り。古馬だったり、来年だったら逆にドンドンと使っても大丈夫なんだろうけど、まだ3歳から4歳の時はあまり……ね。ちゃんと我慢しました。そんなところを踏まえて、今回はやってくれるんじゃないかと思っていますよ。

-:去年、社台ファームさんは意外にも中央のG1を勝てなかったので、ここで良いスタートを切りたいという思いがあるのでしょうね。

加:この馬がチャンピオンズCを勝っていたらJRA賞をもらえたのでしょうが、社台ファームの馬はいなかったもんね。今年は何とか、本当に入れてもらえるように。

-:結果次第でドバイも視野に入れるという噂がありますが?

加:もうちょっと成長するまでは、あんまり動かしたくない気がしないわけでもないのですが……。このレースに全力投球して、まずは中央のG1を勝ちたいと思っています。

-:ありがとうございました。

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