雌伏の時を乗り越え いざGⅠ制覇へ ウキヨノカゼ
2016/3/20(日)
暖かい時季、中京コースは歓迎
-:やはり先生だからこそ、そういった馬たちを育成できるのではないかと思ってしまいますが、続いて馬体の特徴も教えていただけますか?
菊:実はダートでも使えるんじゃないかというほど、女の子にしては逞しい筋肉をしています。歩様も横から見ている分には問題ないのですが、正面から見たらすごくガニ股ですよ。だから、初めて見た人はみんなビックリしますよね。最初の頃はそうでもなかったのですが、乗り込んで力が付いてくると、内股の筋肉が隆起してくるもので、それが邪魔になってこうなってくるのかなと。以前、お母さんの育成牧場の関係者の方々も横から見て「ああ、良い馬だな」と言っていたのが、縦から見たら「何だ、これは?」とビックリしていましたね。それに、今でも油断したら冬毛がボワッと出ちゃうので。
-:言い方は良くないですが、見栄えは決して良くない馬だったと。
菊:良くなかったです。しかし、(調教で)乗っていて「これは新馬で勝てる」と思っていた反面、「パドックは観ないで下さい」とは言っていました(笑)。それに去年の夏の馬体を見ていると、暖かい時季や夏などの方がより良い馬だなというのは感じましたね。
-:そういう意味では、前走よりも高松宮記念の頃の方が状態面でも上がり目がありますね。
菊:上げていけそうな感じはします。馬が柔らかくなっていますね。
-:その先で言うと、ヴィクトリアマイルでもっと……。
菊:そうなんですよね。しかし、前回があんな負け方をしたからね。とりあえず、ヴィクトリアマイルのことは頭に置かないで、高松宮記念に集中していきたいなと思いますね。
-:二兎を追うものは一兎をも得ずと。
菊:そうですね。
▲17日、息子であり、ルーキーの菊沢騎手が騎乗し、ウッドコースで併せ馬
5F67.7-12.5秒を馬なりでマークしている
-:残り2週の追い切りというのは、どのようなメニューを予定していますか?
菊:今日(3/10)は息づくりといった内容で、あとは徐々に上げていくわけですが、あらかた来週で仕上げるつもりでいます。直前は調整程度と思っています。
-:上半期の大目標も迫ってきました。馬体重や枠順についての理想はありますか?
菊:馬体重というのはそこまで気にしていません。日頃は管理する上で気にしますが、たとえ増えて出走しても、僕がオーナーに怒られるかもしれないでしょう。しかし、馬も成長させなくてはいけないので、レースに向かう上では過敏になってはいません。
-:そこに一喜一憂する馬ではないということですね。
菊:それでも走る状態につくるのが仕事なので、額面ばかり気にしていると、いつ成長して良いのか分からないのでね。これは余談ですが、ウチの牝馬はみな体重が上がっていっていますよね。それが実になれば良いと思っているので。
「ウチの牝馬は逞しい馬ばっかりですから。レイヌドネージュなんかも一時は450キロくらいだったのが、500キロくらいの馬のなっていますからね。ウキヨも500くらいはアッという間にいっちゃいますよね。その辺は時季も考えて、加減しながらやっています」
-:一般論でも牝馬で減るよりは、むしろ増えている方が、という見方もできますよね。
菊:ウチの牝馬は逞しい馬ばっかりですから。レイヌドネージュなんかも一時は450キロくらいだったのが、500キロくらいの馬のなっていますからね。ウキヨも500くらいはアッという間にいっちゃいますよね。その辺は時季も考えて、加減しながらやっています。
-:高松宮記念と言うと、去年なども雨が残った馬場になってしまいましたが、中京コースはタフな芝でもあります。そういう意味でも、パワーのあるウキヨノカゼは、という思いはあります。
菊:馬場は悪くても、今度はスプリンターの流れになるのでね。外が伸びるようなレースになったら、良いんじゃないかなと。京都は逆に外を回っちゃったらダメだったような馬場になっていたので。中京の1200mの流れで外から伸びてくるイメージがありますね。中京の馬場が替わってから、合うだろうなというのはずっと思っていましたから。
-:中京コースですと、バンクも付いていて差し馬にも有利なコースであり、なおかつ本州の競馬場の中では、洋芝の北海道のコースに近い重めの芝ですね。
菊:東京の1600mで良い競馬をしていたので、直線が長いところでジワジワと脚を使えるので、ウキヨには向いていそうな気がしています。
-:牝馬で実績を残されてきたということで、初のG1勝利も牝馬で期待しています。本日はありがとうございました。
菊:ありがとうございます。
プロフィール
【菊沢 隆徳】Takanori Kikuzawa
1988年に柄崎義信厩舎所属としてJRA騎手デビューを果たす。同期は内田浩一氏、岸滋彦氏などで、初年度は13勝をあげた。1993年に天皇賞(秋)でG1初騎乗を果たし、同12月の愛知杯にて重賞初制覇を成し遂げる。現役22年のうちフェアープレー賞を5度受賞するなど、その騎乗スタイルは若手騎手の手本として評された。
2011年に調教師として厩舎開業を果たすと、初年度にオープンガーデンで阪神スプリングジャンプを制し重賞初制覇。昨年はウキヨノカゼでキーンランドCを制し、スプリンターズCで3着に入るなど、近年メキメキと頭角を現している。