
桜の大本命メジャーエンブレム 圧勝の舞台で反撃なるか?
2016/5/1(日)
NHKマイルC出走の経緯と過程
-:NHKマイルC(G1)に出走することになったメジャーエンブレム(牝3、美浦・田村厩舎)ですが、前走の桜花賞はプラス4キロでの出走でした。当日の馬の状態は、高木さんがご覧になっていかがでしたか?
高木大輔調教助手:いつも通りに装鞍所もパドックも、普通に堂々と落ち着いて歩けました。やっぱり阪神JFの時とは、パドックの雰囲気もお客さんの入りなんかも、明らかに桜花賞の方が多く、阪神競馬場独特の半ドームのようなパドックなので、声がすごく反響してザワザワという感じがパドック内に響き渡るのですが、そういうことにも動じることなかったです。それでけっこう他の馬でイレ込む馬が多々いたと思うのですが、ウチの馬に関しては、いつも通り堂々と歩けていたと思いますね。

▲桜花賞のパドックを周回するメジャーエンブレム
-:レース内容を振り返っていかがでしたか?
高:いつもよりもスタートを上手く決められなかったかな、という感じですね。ルメールさんも無理くり出していくようなアクションも示さなかったので、徐々に外から入られて、やっぱり今となっては自分が主張して行けない分だけ、ああいう内枠が却って仇になって、どんどんポジションが悪くなっていったという感じですかね。
-:レース後の馬の状態というのはいかがでしたか?
高:本当に何かいつも通りでしたね。
-:特に疲労があるとかはないのですね。
高:ありがたいことで、直線なんか強引にこじ開けて、ぶつかって出てきたところもあったので、そういう映像を観ていた方からは「大丈夫?」みたいな心配の声を掛けてもらったのですが、馬体的にはどこも傷んでなく、ダメージもなく、すぐに翌週の水曜日にはまた天栄の方に戻りましたので。目に見えてのダメージはなかったですね。
-:レース後はノーザンファーム天栄の方に放牧に出されて、厩舎に戻って来られたのはいつですか?
高:4月27日に帰厩しました。桜花賞が終わった後、今後のローテーションについて、要するにオークスになるのか、NHKマイルCになるのかということで、色々とオーナーサイドで協議が進められてはいて、厩舎でもオークスだったらこの週、NHKマイルCだったらこの週というような感じで帰厩日は設定されていました。
-:それで、NHKマイルCになったということですね。
高:そうですね。正式にサンデーレーシングのホームページ上で発表されて、それに合わせて10日前に帰厩ということで。10日前と言っても、桜花賞からまだ3週間くらいなので、通常だったら放牧にも出ていないぐらいの短期間だと思うのですが、この馬に関しては、いつも競馬後は牧場に戻るというパターンなので。

▲激しい攻防を繰り広げた桜花賞の直線
桜花賞とは違った思いで臨む大一番
-:水曜日に戻って来られて、木曜日と金曜日に軽く坂路を上がったりもされていると思うのですが、その時の感触はいかがでしたか?
高:木曜日は朝から酷い雨で、坂路の馬場コンディションも悪かったし、前の日にノーザンファーム天栄の方から輸送してきているというのもあるので、本当に調教というよりは帰厩後の初日の環境順致のようで、周りの環境に慣らすということをメインのテーマにして、軽めの調整ですね。
今日(4/29)は相変わらず馬場コンディションも良くないので、速度的には普段行っているよりも遅いのですが、負荷が掛かっているという部分に関しては、普段相当の負荷の掛かり方はしていると思います。それでもこの馬クラスになると、みんながアップアップしているような馬場でも、へっちゃらで来ちゃうので。ただ、あんまり坂路で、すごく馬場コンディションが悪い時に、行けるからと言ってやってしまうと、やっぱり背腰に疲労感が出てくるので、明日追い切りというのもあるし、それを軽減させるために、やや加減しているという訳じゃないですが、普通通りに無理に強く乗ったりはしていません。
「超一流ジョッキーだし、こっちがどうのこうの言う前に、本人も感じている部分が当然あると思うんですよ。桜花賞の日も、競馬が終わってしばらくいなかったみたいなので、本人もショックだったんじゃないかなという気はしますね」
-:土曜日に追い切りの予定ですが、それはどのような形で考えてらっしゃいますか?
高:いつも通りにウッドで後方から追い掛けていって、というメニューで行こうかなと思っています。レース当該週は水曜日に一応やる予定です。
-:今回はクイーンCを勝った東京の1600mに変わりますが、その辺りを含めてレースへの意気込みを最後にお願い致します。
高:昨日、今日と2日間跨っていますが、特に今回に関しても気になるところはありませんね。実際に強めの調教を行うのは明日なので、現時点で前回からの比較はできないのですが、またコンディションさえ整えてあげれば、良い競馬をしてくれるかなと思うし、桜花賞自体がトライアルレースみたいになってしまったような感もあるので、ルメール騎手も今度はああいう形では乗らないと思います。
超一流ジョッキーだし、こっちがどうのこうの言う前に、本人も感じている部分が当然あると思うんですよ。桜花賞の日も、競馬が終わってしばらくいなかったみたいなので、ルメールさんもあんまりしゃべりたくないという雰囲気だったのかなと思うし、本当に最終レースの間際にやっと出てきてというような状況だったので、本人もショックだったんじゃないかなという気はしますね。
-:では、桜花賞の悔しさをNHKマイルCで返してもらおうと。
高:気持ち的には、桜花賞の前とちょっと違う部分もあります。終わってしまえばジュエラーとシンハライトはちゃんと人気通りに上位に来ていましたが、ウチの馬に関しましては、みんなの支持に応えられなくて、すごく申し訳ない気持ちではいるのですが、反面、今回はものすごく強いプレッシャーから解放された感じなんです。今度は牡馬とも一緒だし、また違う舞台、クラシック以外で今回は競馬をさせてもらうというところもありますが、どこか気持ち良く行けるのかな、という気はしているので、本当にエンブレムの持ち味を活かせるような競馬をしてくれれば、良い結果が出るんじゃないかなと思いますね。
-:分かりました。陣営一丸の巻き返しに期待しています。ありがとうございます。
プロフィール
【高木 大輔】Daisuke Takagi
1974年生まれ。牧場での勤務を経て、 美浦・田村康仁厩舎に所属。これまでにニシノメイゲツ、ヴァーゲンザイルなど活躍馬の調教を手がけた。
師も「ウチの厩舎の助手はどこに出しても恥ずかしくない」と言うほど、信頼を寄せている。自身のtwitter(@hiromaru0621)では馬との日々を綴っており、ファンの間でも評判を得ている。