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-:さすがに今年は本当に高かったですよね……。億を超えた頭数も例年を優に上回っていましたから。その中でこちらも1億円の値を付けた馬(プリティカリーナの2016)はオルフェーヴル産駒で初の1億超えでした。狙いというか、決め手はどの辺りにあったのでしょうか?

KT:オルフェーヴル産駒が欲しかったというのがまず一つと、あとは兄弟がコンスタントに走っており、馬体も良かったので、そこで決めました。これは落札後の囲み取材でも言っていましたが、代表も凱旋門賞でオルフェーヴルを応援しにいったこともあり、好きな馬だったようですからね。そういう思い入れもあったようです。

-:活躍が期待される一方、未知数な血統ではありますが、馬体のチェックというのは調教師さんとレーシングディレクターさんがされているわけですよね。

KT:そうですね。私も競馬は昔から好きですが、当歳ともなると、どこがどう育って、という想像を働かせるのはなかなか難しいですよね。業界にずっといないと見極めは難しいことだと思います。ただ、血統背景はすごく良かったのでね。それは私も期待しています。

-:調教師さんとレーシングディレクターさんで馬体のチェックをされると思いますが、血統も重視しているということですね。

KT:そうですよ。もちろん血統も良く、馬体も良かったら高くなってしまいますが、今回は本当に評価している馬は狙い通りに行くようにはしました。

-:ところで、今、預託されている所有馬を見ても、厩舎さんの名前はバラエティに飛んでいますよね。預ける厩舎はどのように決めているのですか?

KT:基本的にはレーシングディレクターが決めてきますね。もともとの付き合いからの依頼もありますし、馬主を始めてから出来た縁など考慮した上で決めています。

-:なかなかこれだけ幅があるオーナーさんも珍しいですよね。今は2歳戦真っ盛りですが、これから出てくる2歳馬で期待出来そうな馬も教えてください!

KT:今年の2歳で言うと、Fasig-Tiptonの(フロリダ)トレーニングセールで2頭買ってきているのですが、その2頭は特に期待をしています。馬名もまだ決まっていないのですが、1頭が母Word of Mouth(父Hansen)、もう1頭は母Cleverconversation(父Bodemeister)、Bodemeisterの父はエンパイアメーカーです。

-:海外からも購入しているのですね。

KT:そうですね。色々な馬を集めるという意味で海外からも購入しました。

-:厩舎にせよ、血統にせよ、偏りがないというか、本当に多種多様ですよね。

KT:そうですね。まだまだ試行錯誤といいますか、代表はデータ分析が好きなこともあり、色々試しています。

-:色々な戦略を試して、ゆくゆくは自家生産も……。

KT:いや~、まだそこまで走っていないですからね(笑)。でも、牝馬もそれなりに買っていますし、そういうのもあり得るかもしれないですね。それが出来れば夢でしょうけど。

-:もちろんどれか1頭走る馬がいて、種牡馬になり、軸となる馬がいれば夢ではありませんね。

KT:具体的には考えているわけではありませんが、オーサムフェザーがそうなってくれれば良いですね、ハハハ(笑)。

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▲セレクトセール直後、函館新馬を制したトリオンフ 次戦は札幌2歳ステークスを予定している


来年もセレクトセールで目玉級の獲得を

-:馬主を始めるにあたって、馬名や勝負服はどう決めていますか?

KT:馬名は代表が決めるのですが、その時々、由来は違うようですね。勝負服はやはり日本の国旗をモチーフにして、赤と白を基調にしました。

-:これからセリだけでなく、KTレーシング様の名前をレースで耳にすることが増えてきそうですが、もちろん、今後もずっと馬主を続けていくという方針ですね。

KT:もちろんそうですね。

-:セレクトに続きセレクションセールが終わりまして、もう少し買われる予定はあるのですか?

KT:今の1歳、当歳世代についてはもう少し買う予定があります。

-:各セールの日程も近いですし、セールごとに選定していくのはなかなか大変なことですよね。

KT:そうですね。すでに下で買っている馬もいますが、最初に頭数を揃えようと思うと、セリで買うしかないというか……。下で買うとなると、良い馬は昔からのお得意様だったり、先に売れてしまいますからね。それもあって、ブリーズアップだったり、そういうところで買って来たのですが、これからはちょっとその辺の頭数は減らして、ある程度1歳くらいまでに揃えてしまって、とは考えています。

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-:現役の手駒は値段を見てもちゃんと勝ってくれさえすれば、それなりに元はとれる値段の馬が今は多いですよね。

KT:当然、今回は高い馬を買ったので目立っていますが、高い馬を何十頭も買うつもりはありません。高い馬は本当に一握りで、あとは手頃な値段の馬を集めたいと思っています。つい先日、函館でトリオンフという馬が勝って、セレクトセール直後でウチの名前も新聞に出ていましたが、あれはサマーセールで800万だったので、元は取れますしね。そういう馬も数多く所有して、バランスを取って、というところですね。トリオンフが札幌2歳ステークス(G3)でもいい勝負をしてくれるならば、嬉しい限りですが。

-:今の勢いなら、あって不思議ではないですよね。馬の収支というのは細かくチェックしているのですか?

KT:今は初期投資ばかりなのでね。これからはどの馬がどれくらい走るかとか、その辺も踏まえてどの馬を買っていくのかというのも、データを見ながらやっていきます。馬は走ってみないとわからない世界なので、全てデータが当て嵌まる訳じゃないですけど、今後は戦略を立てていきたいなとは思っています。

-:今年は「セレクトの影響で、セレクションセールも高かった」という話を耳にしたので、その影響も如実にありましたか?

KT:(セレクトの影響が)あった気がします。大体、セレクションは3000万を超える馬は数等じゃないですか。今年は最高値で5000万くらいまで行きましたからね。しかし、ある程度、狙い通りに落とせたのですが、こちらも予算オーバーですね、ハハハ(汗)。ただ、今年は狙った馬を落として、その結果を見ようという判断なので。


「来年のことなので、未知数ではありますが、今年で言えば、オーサムフェザー的な馬をドカンと行くくらいプラス、その他という考えくらいです」


-:来年のセレクトでも同じような額を投じられる可能性はありそうですか?

KT:今回ほどまでは買わないかと思います。来年のことなので、未知数ではありますが、今年で言えば、オーサムフェザー的な馬をドカンと行くくらいプラス、その他という考えくらいです。

-:目玉級は獲りに行くということですね。

KT:世代で1頭は目玉の馬が欲しいとは思っています。お手頃な馬から本当に頂点を狙える馬を織り交ぜるとして買うとすればセレクトしかないので。もちろん下で買った馬が大当たりしてくれれば良いですけど、それはなかなか分からないですし、引き当てるのは簡単ではないですよね。

-:セレクトに行って、ああいう額の馬を落としてくれるオーナーがいるからこそ、我々マスコミ側も盛り上がりますし、ファンも注目してくれると思うので、来年も期待しています。

KT:まあ、すごいですよね………。金銭感覚がおかしくなります。だって1回手を挙げて1000万ですからね。普通1000万の年収を稼ぐことさえ大変な話ですから。

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▲来年のデビューが今から楽しみなオーサムフェザーの2015


-:本当にそうですね。「何百万が安い」と言っているのがおかしくなりますからね(笑)。

KT:ただ、これも代表が馬主になって初めて分かったことですが、やっぱりJRAの賞金体系は手厚いですね。無事に走って、ずっと着外じゃどうしようもないですが、掲示板さえ取ってくれれば、ペイ出来ますし、仮に故障したとしても見舞金が出ます。そういう意味では、やっぱりJRAの手厚い賞金体系があるからこそ成り立っているのだとは思います。ただ、先行投資がキツいとは思いますけどね。

-:これが、今から2~3年後にシッカリ形になれば良いですね。

KT:そうですね。それが、次への投資にも繋がりますよ。

-:今年はKTレーシング様のおかげでセリも沸いたので、次はレースで沸かせてくれる日を楽しみにしております!

KT:そうですね。また、G1を狙うような馬が出てきて、取材を頼まれるようなことになるといいのですが。

-:本日はありがとうございました!

KT:こちらこそ。また、よろしくお願いします。

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総額はなんと7億1800万円! セレクトセール2016、KTレーシングの落札馬一覧

上場番号 馬名 毛色 生産者 落札金額(万円)
107 オーサムフェザーの2015 鹿 ディープインパクト (有)ノーザンレーシング 26,000
182 レーゲンボーゲンの2015 鹿 ルーラーシップ (有)ノーザンレーシング 7,200
240 ステージヴァージンの2015 ドリームジャーニー (有)ノーザンレーシング 2,900
333 フィロンルージュの2016 キングカメハメハ ノーザンファーム 8,200
360 プリティカリーナの2016 鹿 オルフェーヴル (有)ノーザンレーシング 10,000
478 ムーンライトダンスの2016 鹿 ハーツクライ ノーザンファーム 7,200
503 ダートムーアの2016 ゴールドアリュール (有)ノーザンレーシング 5,400
525 ガラアフェアーの2016 めす 黒鹿 ルーラーシップ (有)ノーザンレーシング 4,900
合計 71,800