まずは、フランスの環境に慣れる事が最優先

-:フランスでの滞在はどちらになりますか?

大:シャンティイの小林智厩舎です。

-:なるほど、分かる地に行けるというのはいいですね。施設環境や気候は日本と比べてとうですか。

大:施設は全然違います。一緒なところ探す方が難しいです。馬場もコースもまるで違います。気候は日本で言うなら、北海道に似ていますね。朝と昼の寒暖の差はありますし、雪が降るほどではないですが、9月末になれば年によってはかなり寒い地域です。

マカヒキ

▲シャンティイ競馬場朝の風景

-:調整はどのような方針で行うというのはお決まりですか?

大:全く決まってないです。向こうに行って馬の状態を見て決めます。

-:シャンティイといえば、エイシンヒカリが結果を残しましたね。

大:そうですね。あの活躍には勇気付けられるものがありました。

-:それもあって、日本馬の注目度が高くなりましたね。

大:そうですね。マカヒキは弥生賞を勝った時点で、レーシングポストに凱旋門賞に来る可能性がある日本の馬の1頭として載っていましたからね。その段階で僕らも意識はしていました。

-:今年は日本から唯一の出走になる上に、今回から日本での馬券も発売になります。

大:第一号になりますね。無事に競馬に辿りつけるようにしたいです。向こうに行って、新しい環境でいい選択をしながら馬に合った調整が出来ればと思います。

-:フランスでの調整メニューに関しては、大江さんが決める予定ですか?

大:そうですね。基本は僕が作って、調教師と現地の小林さんと相談しながら進めていくと思います。馬が向こうに行って、どういう状態かというのが大事なので、行ってみないとわからない部分はあります。そういった意味でも、この馬はトレセンでの在厩期間が長いので、付き合いが長いというのもプラスに働くと思います。

-:競馬場について、お伺いしたいのですが、今回の凱旋門賞は例年と違ってシャンティイ競馬場です。

大:競馬場の近くには、お城とお城みたいな競馬博物館があって、実際に中に馬もいます。馬のための施設として出来たようです。伝統ある競馬場ですね。

-:由緒ある素晴らしい競馬場なのですね。コースはどのようなイメージをお持ちですか?

大:形が特徴的で、涙型のような形をしています。なので、一番最初にコーナーに突入するのが外枠になるんです。コースはスパイラルカーブのような感じがあり、割と小回りで高低差もあります。

マカヒキ

▲伝統あるシャンティイ競馬場

-:日本と比べて馬場はいかがでしょうか?

大:シャンティイ競馬場の馬場は重たいというイメージはあんまりないですね。でも、フランスの競馬場は日本と違って、(水はけを考えると)芝状態は変わりやすいかと思います。だから、スクラッチが認められているとのだと思います。

-:何か他に日本との違いはありますか?

大:競馬場はすごく小さいですね。特にパドックが小さいです。ロンシャン競馬場の半分くらいです。あとは、日本の競馬のように装鞍所集合とかもないですね。

-:フランス競馬のイメージとして、日本競馬と比べてパドックの周回も短くて、返し馬からゲートが開くまでの時間が極端に短いイメージがあって、競馬までの流れが難しいのかなと思うのですが、いかがでしょう。

大:特に対策はありませんが、パドック前に日本の時のように少し運動してレースに備えたいです。普段からメリハリのある調教をしているので、気持ちの切り替えやコントロールも出来るので、特に心配はしていないです。

ニエル賞をステップに凱旋門賞へ

-:そんな伝統的な競馬場を、まずニエル賞で経験することになります。そこまでの理想像などはありますか?

大:まずは輸送の疲れを取ることだと思います。1週間ほどゆっくり環境に順応してくれればと思っています。調教メニューは馬の様子を見ながら決めることになるので、ある程度のベースは日本で作って行く予定です。

-:レースではルメール騎手が騎乗予定ですね。知り尽くした競馬場ですよね。

大:ジョッキーが向こうのレース、競馬場を知っていることはこころ強いですよ。なので、僕が言うことは何もないです。馬のことも知っていますし、状況に応じて乗ってくれると思います。

マカヒキ

▲渡仏前最後の調教に跨るルメール騎手

-:まずはニエル賞ですね。

大:ニエル賞の疲労が残らないように、スムーズに回復していい状態で凱旋門賞に行けるようにしたいです。頭数が違うけど、強い馬が出てきますからね。

-:本番でも強い馬が出てきますね。ライバル馬に関してはどうですか?

大:ポストポンド、ハーザンド、マインディングは注目しています。特にポストポンドのドバイを見て、適応力が高いなと思いました。だから、シャンティイの馬場もこなしてくると思います。あれだけ大きい厩舎ですから、きっちり当日を迎えてくると思います。ライバルと言ってもらえるように仕上げていきます。

-:実際にニエル賞から凱旋門賞までは、どのようにお考えですか?

大:ニエル賞でもしっかり走れる状態で送り込むつもりですが、中間は3週間しかなく、そこがメイチの仕上げにならないように、スッと回復出来て、いい状態で凱旋門賞に挑めるような状態にしたいですね。日本の競馬では、ステップレースから本番が3週間しかないってことはないので、間隔が短いということは意識したいですね。

-:オーバーワークになったりしないようにという事ですね。

大:はい。でも、逆にまだまだの状態で挑む訳にもいかないので、一回使って万全の状態になるというのをイメージしています。

-:ステップレースを挟んでからですが、いよいよ凱旋門賞ですね。

大:せっかくこういう機会を与えて頂いて、素晴らしい馬を担当させて頂いているので、悔いないように楽しみたいと思います。今回は馬券の発売もあって、多くの人に注目してもらえると思うので、期待に応えられるように頑張りたいと思います。

-:あとは無事に、何事も無く当日を迎え、日本に帰ってくる事ですね。

大:そうですね。新しい環境で過ごすことになります。これだけ能力の高い馬なので、順調に、無事に過ごして、日本馬の悲願を達成出来ると最高ですね。

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