春秋スプリントG1制覇へ!中京巧者レッドファルクス
2017/3/19(日)
とにかく左回りを徹底されたローテで、芝・ダートを問わず堅実に走ってきたレッドファルクス。相性抜群のM.デムーロ騎手とのコンビとはいえ、スプリンターズSでのG1初勝利は度肝を抜かれたという方も多いだろう。今回は香港スプリント(12着)以来の実戦とはいえ、これこそが従来まで狙い済まし、成果を収めてきた同馬の激走パターン。改めてその真意を尾関知人師に聞かせてもらった。
-:レッドファルクス(牡6、美浦・尾関厩舎)は昨年のスプリンターズSを勝たれましたが、先生はあのレースをどうご覧になったか教えていただけますか?
尾関知人調教師:前のレース(CBC賞)で、芝のスプリント能力の高さというのを、改めてスピード能力が高いのだなと確認できました。やっぱり得意の中京での競馬ではあったので、時計も含めて中山でどこまで発揮できるのかなと思っていました。色々なことが上手くいった部分はあるんですけどね。
-:当日の馬の仕上がりはどのようにご覧になったのですか?
尾:良い状態だなと思いました。
-:レースでも良い脚を使ったと思うのですが、その時のレースプランは何か考えていたのですか?
尾:特には……。この馬の良さを分かっている(デムーロ)ジョッキーなので、あとは任せる感じで。
▲36勝で全国トップ、既に重賞6勝と今年も絶好調!
-:厩舎にとっては初のG1勝ちになりましたが、それについてのお気持ちというのはいかがでしたか?
尾:本当に嬉しかったですけどね。
-:先ほどのお話にもありましたが、それまではダートで使ったり、芝の短いところで使ったり、路線がそこまで芝の短距離ということで固まっていなかったとは思います。レッドファルクスがG1まで駆け上がるターニングポイントとなったのはどの辺りだと感じられますか。もしくは先生が力を付けているなと感じられたレースは?
尾:芝・ダートよりも、両方走れる馬なので左回りがこの馬が一番走りやすいというのがあったので、そこに関して意識して使っていた中で、だいぶ馬もシッカリしてきたなと。そういう状況で右回りでも競馬できるんじゃないかと思って、実際に使って、負けたけれども良い内容で競馬ができたのが阪神のコーラルS(④着)だったかな。あとは、中京の芝なら時計が掛かるから良いんじゃないかと思って使ったCBC賞が、あの時計で勝ってくれたというのと、その2つのレースがスプリンターズSに繋がる部分があったと思いますね。
▲上がり3F32秒7の末脚でまとめて差し切ったCBC賞
-:スプリンターズS後は香港に遠征された訳ですが、あの時のレースは簡単に振り返られていかがですか?
尾:もちろん相手が強くて、また香港馬が有利な内に集まって競馬をされた部分と、ウチの馬もちょっと外めの枠ではあったので、それだけプレッシャーと言ったらアレですが、ずっと外からも被されたりとか……。自分のポジションから自分のリズムで走れれば、それはそれでプラスにできたのですが、あまり良い流れに乗れないまま競馬が終わっちゃったかなという。あとは直線に坂もないですからね。前も止まらないので、なかなかこの馬の良さは発揮できなかったかなと思います。
-:レース後の馬の状態はいかがでしたか?
尾:あとは、スプリンターズSをあれだけ走った後の疲れもあったのかなと思うのですが、そこら辺が全体的に、競馬が終わってから疲れも見えたので。
-:香港後の過ごし方を教えていただけますか?
尾:一旦、近隣のミホ分場といういつもの所で休養を経て、疲れを取ることに重点を置きました。そこからトレセンに持ってくる中で、ある程度体の疲れは取れても体が立派だったし、トレセンで速いところをやるよりも少し良いところをやってもらっての流れの方が良いかと相談をさせてもらって、1回山元トレセンに移動して、ちょっとペースを上げて、その後にトレセンに来たという感じですね。
-:この馬を仕上げるに当たって、何か注意している点はありますか。体調の変動は大きいタイプですか。少ないタイプですか?
尾:体調面はある程度やっていけば、内面的な部分はやればやっただけ上がってくるんですけどね。あとは、どの馬もそうですけど、当然強い追い切りをやっていけばもちろん内面は上がってきますが、体のどこかに疲れが出てきますから、そういう部分のバランスと言いますか。
-:今日(3/16)に1週前追い切りを終えられました。その動き、内容の評価をお願い出来ますか?
尾:内面をシッカリ上げる感じの1週前なので、シッカリ長めからやるというイメージで、本当に上手くいったと思いますけどね。動きも良かったですしね。
-:現状における来週の予定はどうなっているのかお聞かせ願いますか?
尾:水曜日に、どっちかと言うと多少実戦に即したイメージの形の追い切りをやっていければ良いかなと思いますけどね。
-:得意の中京コースで初めてのG1を迎える訳ですが、最後に意気込みをお願いします。
尾:本当に中京がすごく大好きな馬だと思います。多分中京のファンの方にもそういうイメージがあると思うので、その舞台の最高峰のレースですし、良い競馬をファンの方々にお見せできるように、最後までみんなで頑張っていきたいと思っています。
-:今回もありがとうございました。
プロフィール
【尾関 知人】Tomohito Ozeki
「NO HORSE, NO LIFE !」のキャッチフレーズと共に2009年厩舎開業。開業から着実にステップアップを果たすと、12年には年間35勝をマーク。一躍、美浦のトップステーブルの仲間入りを果たした。 昨年のスプリンターズSをレッドファルクスで勝ちG1初制覇。前年2着だったサクラゴスペルのリベンジを果たした。 厩舎キャッチフレーズである「NO HORSE, NO LIFE !」をタイトルにしたブログ(http://ozeking.com/)も公開している。