成長途上で重賞制覇!底知れない魅力あふれるウインブライト
2017/4/9(日)
昨年6月の早期デビューながらも着実に力をつけてきたウインブライト。とりわけ近2走は混戦のクラシックの主役に名乗り出るかの勝ち方だったが、松岡正海騎手いわくまだまだ万全の態勢ではなかったようだ。この中間も先を見据えつつ二人三脚の調整が施され、いよいよギアが上がってきたかという印象。トライアルで権利をもぎとって挑む皐月賞への見通しを聞かせてもらった。
課題を残しつつスプリングSを快勝
-:皐月賞(G1)に出走予定のウインブライト(牡3、美浦・畠山吉厩舎)について伺います。まずは、この馬のデビュー前の様子を振り返っていただけますか?
松岡正海騎手:デビュー前から動きは良かったんですけど、ちょっと緩さも残っているような感じでした。お姉ちゃん(ウインファビラス)は最初から走ったし、調教も動くから期待していたんですけどね。
-:初戦(⑥着)のレース内容はいかがでしたか?
松:上手に競馬は回ってきたんですけど、直線はちょっとトモも走りも嵌まらないなという感じで、ただ回ってきただけみたいな感じでしたね。
-:その後、一戦挟んで未勝利を勝つ訳ですけど、その頃の馬の感じはいかがでしたか?
松:放牧に出してくれたお陰で、大分馬もシッカリしてきてくれて、体重も増えて帰ってきて、一夏越したなという感じで秋に戻ってきましたね。
満面の笑みで口取り写真に写る松岡騎手
-:ひいらぎ賞(②着)を挟んで若竹賞を勝つ訳ですけど、勝った若竹賞を振り返っていただけますか?
松:大分競馬も覚えてきて、後ろで折り合えるようになってきたので、この馬の形というのが少し見えてきたかなというレースは出来ました。能力が高いのは分かっていたので、それを発揮できるような体つきになってきたかなという感じですね。
-:そして、前走のスプリングSに向かう訳ですけど、そこまでの過程とレース内容を振り返っていかがですか?
松:1回放牧に出して帰ってきたんですけど、ちょっと馬体重が減ってしまったので、攻め馬もそんなに一杯に出来なくて、当日は12キロ減っていて太鼓判を押せるようなデキにはなかったですけど、競馬に行ったらやっぱり覚えているので、自分の走りだけはしていました。ある程度能力は発揮出来たなと思うんですけど、自分としてはちょっと物足りないというか、若竹賞の時の方が具合の良さを感じる部分もあったから……。馬体もちょっと減っていたし、毛艶も体調自体も良くなかったのかなと感じる部分もありましたね。
-:そこら辺に物足りなさがあったかなということですね。スプリングSを勝ちまして、今回は皐月賞に向けて調整を進めている訳ですけど、昨日(4/5)の1週前追い切りを振り返っていただけますか?
松:時計があんまり速くなるのが嫌だったので……。馬体回復に努めていたので、厩舎と相談をして、1週前よりは当週にシッカリとやりたいという話だったんですけど、内目を回ったり、今週のウッドは時計が出やすいこともあって、ちょっと立派な時計になっちゃいましたね。ただ、馬体も毛艶もすごく戻っているので、具合は本当に良いですね。
初めての本気仕上げで挑む皐月賞
-:先ほどの話ですと「重賞のスプリングSでは状態が今ひとつだった」ということですが、これまでのウインブライトの中でベストの条件はどこでしたか?
松:まだ手探り状態というのもあるし、完成されるのが古馬になってからだと思っているので、色々な経験をさせて見えてくるのかなとは思うんですけど、個人的には2000m前後だったらどこの競馬場でも、という感じはありますね。東京でも大丈夫だし、中山でも大丈夫だし、という感じはありますね。
-:これまで消化してきたレースの中で、これがウインブライトのベストパフォーマンスだったかなというレースはどれですか?
松:これまでなら若竹賞なんでしょうけど、それもまだ手探りな感じで、ベストというよりはベターな感じですかね。
-:ここら辺が良くなってきたらこの馬はさらに楽しみだなというのは、現状ではどこですか?
松:馬体もまだ幼いし、見た感じも幼いし、背中にも緩さが残っているし、それが徐々に解消されつつあるけど、肉体面での成長はまだもう一段階見込めるので、その辺ですかね。
-:現状で一番良いポイントというのはどこですか?
松:学習能力が高いので、競馬を教えればその通りに走ってくれるし、人の扶助操作にも従順というところが一番かなと。
-:最後に皐月賞に向けての抱負をお願いします。
松:今までは馬本位で仕上げてきていて、今回はある程度レースに向けて仕上げるのが初めてで、そんな中でも上手くいっているので、前走よりも良いパフォーマンスを見せられると思っているので、応援していただきたいと思います。
-:分かりました。ありがとうございました。
プロフィール
【松岡 正海】 Masami Matsuoka
2003年に美浦の前田禎厩舎所属としてデビューし、2005年から相沢郁厩舎に所属。初年度は11勝にとどまったが、2年目は28勝。3年目には49勝と年を重ねることに成績を伸ばしていった。この年ダイヤモンドSにウイングランツで騎乗し、重賞初制覇を達成。2007年にはヴィクトリアマイルをコイウタで制し、デビュー5年目でG1ジョッキーの仲間入りを果たすと、中央競馬騎手年間ホープ賞に選ばれ、期待の若手として脚光を浴びる。
2010年には年間100勝を達成し、トップジョッキーとしての地位を確立。初重賞制覇を果たした2005年以降、13年連続重賞勝利を記録しており、今年は8年ぶりのG1獲りを狙う。
1984年、神奈川県出身。
2003年に前田禎厩舎からデビュー。
JRA初騎乗:
2003年3月1日 3回中山1日12R プラチナウィンク
JRA初勝利:
2003年3月23日 3回中山8日12R デュエットシチー