非凡な決め手をもう一度!万全の状態で大目標のオークスへ向かうホウオウパフューム
2017/5/14(日)
-:中間の調整を進めながら、馬の仕上がり状態はいかがでしたか?
奥:悪くなかったと思いますよ。1週前の段階で、本当にその週に競馬を使っても良いかなというくらいのところまでかなりつくれたので、そこから1週間競馬に向けて、今度は逆に体を回復させながら、本当に理想的なステップは踏めたなと思っていました。
-:思い描いていた通りの調整プランだったということですね。
奥:そう行けたと思いますね。
-:フローラSのレース当日の馬の気配はいかがでしたか?
奥:良かったですよ。1週前とか当週の追い切りの時は少し(馬体が)寂しく見えた部分が、パドックではシッカリ筋肉が詰まって、当日はすごく良い気配に見えましたね。
-:レース内容を振り返られていかがですか?
奥:特殊な馬場状態の競馬でしたね。ジョッキーも人気だったということである程度意識して、勝つためには本命馬の競馬をしなきゃいけないのでね。勝つための競馬をするために、ある程度いつもよりポジションを取りに行くことに僕も賛成して、まともな競馬をしてきたなという感じのレースになったのですが、ちょっとそこで経験の浅さが出てしまったというか。人気にもなっていたので、周りのジョッキーや馬たちからのプレッシャーもかなりキツくて、馬込みの中で能力を出させてもらえなかったですね。まだ3歳の女の子なので、精神的な弱さがあって、そういう初めての経験に対処できなかった部分があったかなと思っています。
-:精神的な幼さというのが今後の課題になりますか?
奥:課題ですね。課題だし、逆に言えば、本番に向けて弱点も見えましたね。周りからも弱点が見えたなというところもあるだろうし、我々やっている方としても、どんな競馬でもドンと来いというところまでは、馬の精神状態が成長しきれていないというのはよく分かったので、ものすごく大きな収穫でしたね。それを次に活かそうかなと。
-:課題であり、収穫であるということですね。
奥:もちろんそうですね。良いことばっかり続いているとなかなか課題の部分が見えてこないので、やっぱり負けることにもすごく大きな意味があって、我々としてはすごく反省もするし、課題にも挙がるし、良い発見でもあるので、それを次に活かせば良いことなんでね。
-:それらを色々踏まえて、今回のオークスに向けて調整されていると思うのですが、この中間に厩舎サイドで特に気を付けながら調整している点はありますか?
奥:最初はオークス(の出走枠)に入らないかも、という状態でした。オークスに向けて仕上げて、レースに使えないという状況にしたくなかったので、入らないのだったら止めようと思ったのですが、よくよく調べたら、2勝馬でもかなりの確率で入るんじゃないかということで、すぐにオークスに切り替えました。元々、中3週で(オークスに)行くローテーションを想定してトライアルを使っているので、馬の状態はすごく上がってきているし、良かったんですよね。レースの後もすぐに息が入っちゃって、寒竹賞の後とかみたいに全部出しきった感じではなく、疲労もそんなに残っていないから、それだったらという感じで、中3週でオークスに行きましょう、ということですぐに切り替えました。
-:もともとの予定もそうだったし、実際に使えるということも分かったということですね。
奥:ええ。それで、条件が整ったのでオークスに行きましょう、いうことになりました。こちらが、最初トライアルを使う段階では若干物足りないと思っていたトモの張りだったりとか、踏み込みの力強さであったりだとかは1回使ってグンと良くなって、これもイメージしてきた通りに来たかなと思います。
-:今回はジョッキーが松岡騎手に替わるということで、1週前追い切りに乗ったと思いますけど、その時の指示内容と動きの評価を教えて下さい。
奥:1週前にある程度負荷を掛けたかったので、時計はそれなりに行きつつも、「ゴール前はあまりビシバシやらなくても良いよ。前に行った馬と一緒に併せてきてくれたら良いから」と言っておきました。前の馬はそれなりのペースで行かせていたので、予定よりちょっと速かったですが、良い内容の攻め馬が出来たなと思っていますけどね。
▲新コンビを組む松岡騎手を背に南Wコースで1週前追い切り
-:松岡騎手とは追い切り後、何か話はされましたか?
奥:もちろんしました。「良いんじゃないですか。とにかくシッカリしているし、良いと思う」ということは言っていましたよ。
-:レースまでに来週も調整があると思うのですが、現状ではどのような予定を考えていらっしゃるのですか?
奥:来週の追い切りは、今週よりも時計は遅いけども、似たような感じで追走して内で力を溜めるような、少し余力を残して競馬に向かえるような仕上げですね。ただ、時計はそれなりのところを行くものの、先週はちょっと速過ぎたので、先週ほどは速くしないように気を付けていきます。
-:今回は舞台が東京の2400になりますが、オークスに向けての意気込みを含めて、最後に見通しをお願いします。
奥:一貫して このレースを目指してデビュー前からやってきているので、この舞台まで連れてこられて良かったなと思います。その思っていた通りの形で馬も成長してきて、力も付けてくれているので、期待の方が大きいですね。
-:分かりました。ありがとうございます。
プロフィール
【奥村 武】Takeshi Okumura
1976年東京都出身。2002年に高橋義博厩舎の厩務員として働き始める。翌03年に調教助手となり、国枝栄厩舎に転属。アパパネやマツリダゴッホを担当した。14年に調教師免許を取得し、同年3月に開業。今年はライジングリーズンでフェアリーSを制して重賞初勝利。そしてこのホウオウパフュームでオークスへ挑戦。既に14勝を挙げるなど、若手調教師のホープとして師にかかる期待は大きい。通算成績は54勝(2017年5月14日現在)。