ステイゴールド産駒・レインボーラインに最適の舞台!やる気スイッチONで激走再び
2017/6/18(日)
3歳時は菊花賞で2着、NHKマイルCや札幌記念で3着など人気以上の走りをみせ続けてきたレインボーライン。更なる飛躍が期待された明け4歳の今年だが、2戦だけとはいえ、日経賞は2番人気4着、天皇賞も外枠に泣かされたのか、初の二桁着順と苦戦が続いている。巻き返しの舞台となれば、ステイゴールド産駒が得意としてきた宝塚記念と思い、その可能性を探ってきた。
-:まず、天皇賞(春)から振り返っていただきたいのですが。レース前から馬場を考慮しても厳しい枠になった印象を受けました。
若松敏和厩務員:ええ、(12着と)見せ場なく、良いところがなかったですね。色々と噛み合わなかった部分もあったし、一番は本人(レインボーライン)が走る気じゃなかったのかなと……。レースを観ていたら、そう感じるところはありました。いつもは一生懸命頑張ってくれる馬なのですが……。
-:今までのレース振りを観ても、個人的には決して前回がこの馬の走りではないと思っているので。
若:僕もずっと思っていますけどね。
▲「自由にレインボーラインとポーズを決めてください」というカメラマンの呼びかけに
仲の良さそうな!?姿をみせてくれた若松厩務員とレインボーライン
-:いま思うと、3000以上というのは長い印象は受けませんでしたか?
若:う~ん、それはないかなと思いますね。菊花賞でも走っているし、あの時も相手(サトノダイヤモンド)も悪かったですからね。
-:2走前の日経賞4着も結果的にインを回ったのが裏目に出てしまった印象でした。内に突っ込んだ方が、闘争心が湧いたり、逆に怯んだりということはありませんか?これまでは外から差す形が多かったと思います。
若:特にそういったところはないと思います。必然的に後ろから行く馬なので、外を回っていただけでね。日経賞は前が塞がって、上手に、綺麗に回って来られなかったですね。内が詰まってしまったので……。勝ち切っていたとまでは言い切りませんが、綺麗に前が空いていれば、4着ではなかったと思いますね。
-:もともと阪神で勝ち鞍を挙げたり、札幌の稍重の馬場でも好走していたので、今回の宝塚記念に当たっては馬場など合いそうな印象を受けるのですが、いかがですか?
若:そういう印象はありますね。でも、京都でもG1(菊花賞)で2着もありますし、東京でも上がり最速。どの条件でも本人がやる気になってくれたら、一生懸命走ってくれると思いますよ。
▲札幌記念ではモーリスを差し切りそうな脚をみせた
-:菊花賞の時は、札幌記念の実績からも注目させていただいたのですが、当日は直接、現地で観られていても稍重以上に悪い馬場でしたか?
若:途中で雨が降ってきて、タフな馬場でしたね。いま思えば、モーリス、ネオリアリズムと凄いメンバーの中でも3着。3歳だったのに頑張ってくれましたよね。
-:ジャパンカップでは上がり最速でしたが、本質的には、瞬発力が売りというよりも脚を長く使うタイプでしょうか?
若:そうですね。根性で走ってくるような子なので。
-:根性といえば、併せた時の首の使い方は有利な面がありますよね。
若:そうですね。もう、しっかり走る時は一生懸命ですよ。
-:勝負根性が持ち味の一つということですが、普段の性格はどんな子ですか?拝見させていただいても馬房ではリラックスしたように窺えます。
若:そう、普段は大人しいですよ。
-:ステイゴールド産駒と言えば、過去の宝塚記念でも好走が目立ちましたが、一般的には激しいイメージがあると思います。そんなところは窺えませんか?
若:スイッチが入ってしまうと元気なところはありますが、基本的には大人しくて扱いやすいですね。競馬場に行くとスイッチは入りますね。もともとスイッチのオン、オフがしっかりしていて賢いと思いますけどね。
-:競馬場でスイッチが入るというのは、この馬が成績を残すためには良いことなのかもしれませんね。
若:そうですね。その点、前走は(スイッチが)入っていたつもりだったのですが、今では足りなかったのかなと。
-:ボタンの反応が悪かったのですかね。
若:(ボタンが)硬かったのか、何か詰まっていたのかな……。原因がハッキリとわからない面はあるのですが、体調さえ整えれば、頑張ってくれると思っているのでね。
-:今回は岩田康誠騎手になるとのことですが。
若:前走については、ジョッキーの面じゃないですよね。ミルコでも(アーリントンCで)勝っていますしね。誰が乗っても……という日だったと思います。
-:先程と重複しますが、今回の条件は阪神の芝2200m。宝塚記念の過去10年でもステイゴールド産駒が5勝していますが、長く脚を使うタイプのレインボーラインにとって、良い条件じゃないかと思うんです。
若:いやあ、阪神の2200は良いと思いますけどね。楽しみにはしています。ただ、これも同じ話になってしまいますが、血統云々よりも、本人が頑張ってくれないとね(笑)。やる気のスイッチが入っていないと同じだと思いますから。
「肉体的にはここへ来てしっかりしてきていますよね。もっと良くなってもらわないと、とは思いますし、良くなると期待はしているんです」
-:時季的に状態が上がってきたり、暑い時季が良い性質はあったりしますか?
若:いや、特には。というのも、年中それなりに走っているように、馬場も距離もそれなりにこなすので、それはオールマイティーに頑張ってくれるのでね。
-:デビュー当初から担当されているということで、当初からの変化というのは特に辺に感じられる部分がありますか?
若:肉体的にはここへ来てしっかりしてきていますよね。もっと良くなってもらわないと、とは思いますし、良くなると期待はしているんです。
-:立ち写真を見ていると、肉付きも着実に良くなっているのかなという感じを受けるのですが。
若:毎日見ていると、気付き辛い部分はありますし、客観的に観てくれる方がわかるかもしれませんね、ハハハ。しかし、430キロの馬体に見せないし、体重より大きく見せるでしょう。あとは本人がシッカリしてくれたら、そこは気にしていないですけどね。
-:若松さんとしては、毎日やれることをしっかり徹するだけですね。
若:そうですね。レースまでまだちょっと時間があるし、追い切りでも気分を乗せられたら。もっと良くなってレースに出せたら良いですね。
-:レース当日、馬場や天気、希望する条件はありますか?
若:いや、元気良く走ってくれたら何よりです。条件はみんな一緒でしょうからね。頭数も少ないから枠というのもそれほどないと思うので。偏りなくやれたら良いですね。
-:久々の勝利を。
若:そうですね。頑張って欲しいですね。1着が良いね、ハハハ。
-:今回は1強じゃないかと目されていますが……。
若:胸を借りるつもりで、爪痕を残してきます。走るのは僕じゃないので、当日までしっかり仕上げて、馬を信じて観ているしかないですから。
-:最後に巻き返しを期待するファンに意気込みを聞かせていただけますか。
若:強いG1馬が出てきますけど、良い競馬をして欲しいと思います。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
プロフィール
【若松 敏和】Toshikazu Wakamatsu
トレセン歴は浅見秀一厩舎ひと筋で、厩舎の屋台骨を支えてきた。これまでに携わってきた代表馬は2012年の北九州記念を制するなど、短距離の差し馬として名を馳せたスギノエンデバー。「人馬とも怪我なくコツコツやること」が自身のポリシー。決して雄弁ではないが、ひたむきに仕事に取り組む職人肌の若き厩務員。