デビュー2戦目で激変!新馬戦からの逆転を狙うカシアス
2017/7/20(木)
カシアスに不安要素はない。函館2歳Sと同じ函館芝1200mの新馬戦は2着に惜敗したが、同条件の2戦目は時計を0秒4詰めて快勝。パワフルな走りで学習能力も高く、調教の成果をきっちり発揮した。3戦目でも上積みは十分。担当の吉田光希調教助手に手応えを聞いた。
-:キャリア3戦目での重賞挑戦となるカシアス(牡2、栗東・清水久厩舎)です。まず、新馬戦から振り返っていただきたいのですが?
吉田光希調教助手:残念ながらデビュー勝ちとはならなかったですが、それはゲートがあんまり速くなかったので。でも、二の脚が速くハナをとれましたね。最後は差されてしまったのですが、内容的には初戦からすれば、良い競馬だったと思うんです。
-:新馬前の調教や調整具合はいかがでしたか?
吉:そんなに仕上げ切らずに、ちょっと余裕がある感じで使ってはみました。ある程度は仕上げた状態で使った形でしたね。もともとトレセンでもやってきて、こっちに持ってきているので。ある程度、新馬の時は(長距離)輸送が心配だったので、(直前は)考慮して軽めの調整でした。
▲活躍馬が続出する清水久詞厩舎において、新たな有力馬となりそうなカシアスを担当する吉田助手
-:そこからの未勝利戦での変わり身というのはどうでしょう?
吉:1回使ってやっぱり叩いた上積みはあったので。調教の段階から雰囲気自体はちょっとピリッとして、動き自体も良くなっていたので、当然使った上積みはあったと思いますね。
-:それにしても強い勝ち方でした。この馬については、1度使ったことがかなりプラスだったのかなと。
吉:そうですね。間を割って、空いたら突き抜けるくらいの脚色。最後も流し気味にゴールしているので、2走目でずいぶん変わりましたね。
-:その変わり見ですが、思惑通りのところはありましたか?
吉:(浜中)ジョッキーに任せていたので。出たなりに2~3番手に付いて、まだ余力があったみたいですね。
-:かなり(余力が)ありそうでしたよね。
吉:そうですね。時計もまだ詰められそうな感じでしたね。
「もともと頭が良いので、物覚えも良い。オン、オフがしっかりしていて普段はおっとりしているので、無駄なことに力を使ったりしないですね」
-:一方で、滞在競馬とはいえローテーション的には詰まってきますね。
吉:中1週、中2週になりますね。前回は中1週で使ったので、乗り出すまでに普段より数日間長めに取って、しっかり疲れを取ってから乗り出しました。中間も元気一杯だったので、そんなに疲れが残っている感じはないですね。現に馬体が萎んだりすることもありませんし、乗った感覚での具合も、前走時くらいは維持できているので、調子自体はキープできていますね。
-:開幕週を使った馬だと、あの高速馬場だけに脚元にソエが出たりする馬もいたのではないかと想像します。
吉:カシアス自体は、ソエもなく脚元は全然スッキリしているので、痛みもないですね。状態自体はキープ出来ていますし、中1週、中2週で他の馬よりもレースを経験もしているので。もともと頭が良いので、物覚えも良い。オン、オフがしっかりしていて普段はおっとりしているので、無駄なことに力を使ったりしないですね。
-:それでいて滞在なら、本当に負担は少なさそうですね。
吉:そうですね。滞在というのも大きいかもしれないですね。滞在だから疲れも取れやすくて、イレ込みがないのでね。
-:ちなみに、トレセンではどういう雰囲気でしたか?
吉:トレセンでも一緒のような雰囲気なのですが、元からそんなにカッカした性格ではないのでね。調教でもけっこう良い動きをしていましたよ。
-:走りのタイプとしてはどんな馬でしょうか?
吉:けっこうドッシリしているので、パワータイプだと思いますね。素軽さじゃなくて、パワーでグイグイ行くような感じですか。
-:他の陣営の方も「カシアスはパワーがありそうだ」という意見がありましたよ。
吉:そうですね。体つきも後ろがしっかりしていますよ。だから、洋芝も合うのではにですかね。
-:その点、今週末の土曜日はずいぶん雨が降るのかなと。
吉:みたいですね。走りからすると、多分(道悪は)そんなに気にならないと思いますけどね。中間に雨が降った時でも、脚を取られたりなんてことはなかったですから。やっぱりパワーがあるので、万が一、メチャクチャ下が悪くなったら未知数ですけど、ある程度くらいだったら。(他の陣営は)牝馬が多いので、嫌がるでしょうね。そこは強みかなと。
-:道悪について聞くと、どの陣営も「よく分からない……」という意見が多かったですけどね。
吉:そうだと思いますね。1回とか2回しか走っていないし、どんなものかも分からないですしね。ずっと競馬は晴れでしたから。
「(道悪で)結果がガラっと変わってきても不思議ではありません。その中で、そんなすごく苦にするような感じはなさそうですし、他の馬よりかはマシだと思いますけどね」
-:晴れの上に馬場も速かったですからね。
吉:そうそう。だから、結果がガラっと変わってきても不思議ではありません。その中で、そんなすごく苦にするような感じはなさそうですし、他の馬よりかはマシだと思いますけどね。
-:枠順など必要な条件、要素はありますか?
吉:そこまでは考えつかないですね。競馬が上手くセンスがあるので、どこからでも競馬できると思うので、そんなにどこが良いなんてことはなさそうですけどね。もちろんこの多頭数で大外は嫌ですけどね。まあ、頭数が多くなるので、どういう競馬をしてくれるか楽しみではありますね。
-:メンタル的には、そういう多頭数になっても大丈夫ですか?
吉:大丈夫だと思いますね。馬込みも普段から全然問題ないので。気の悪さがないので、前向きですよね。
-:今のところ、あまり不安要素はないですね。
吉:そこまで不安要素はないと思いますね。
-:しかも、前回も前々回も馬体重は同じだったんですね。
吉:そうですね。今回は若干成長分でプラス2~4、(最低でも)プラスマイナス0くらいだと思いますね。多分、マイナスではないですね。
-:将来的にはどれくらいの距離適性になりそうですか?
吉:そんなに1200らしい馬でもないので、1600くらいまでは持ちそうな感じはありますよ。乗りやすい馬なので、そんなにガムシャラにダッーと行く訳でもないのでね。(浜中)ジョッキーも初戦の時に「もうちょっと距離があっても大丈夫」と言っていたので。
-:キンシャサノキセキ産駒は今まで乗られたことはありますか?
吉:他もありますね。実は去年も新馬を連れてきていたんですよ。その子は気が難しいところがあったので……。
-:それじゃまたタイプがちょっと違う訳ですね。
吉:そうですね。似たようなところもあるのですが、カシアスの方がやっぱり学習能力が高いんだと思います。調教でも求めることをできるようになるので。
-:吉田助手が調教で「求めた」ことはどんなところですか?
吉:やっぱりずっとハミを噛みっ放しになったら厳しいですからね。カリカリしてきたら、ちょっと抜けるところは抜いて、噛めるところ、しっかりハミを掛けるところで掛けて、ブレーキとアクセルのオン、オフですね。吸収が早いんだと思いますね。体も良くなってきているので。
-:先程教えていただいたように、距離はもう少し長めでも行けそうな感じですね。
吉:長めでも対応可能だと思いますね。そんなすごく前向きな気性でもないのでね。
-:暮れも楽しめそうですか?
吉:(函館2歳Sの)結果次第ではね。良いところがあったら良いですけど。取りあえず今週ですね。
-:前回の終いを観ると、かなりキレましたよね。走りのタイプとしてはどういう脚の使い方がベストですか?
吉:前回みたいに溜める形になったら、やっぱり終いは切れてきますね。ラスト3Fを11.8-11.8-11.4の流れで差し切って、まだ余力があったので、溜めたら切れるんだなという感じでしたね。
-:初戦は敗れてしまいましたが、上昇度はピカイチだと思います。最後に意気込みをお願いします。
吉:競馬で結果が伴うようにしっかり調整してきているので、馬には頑張ってもらいたいですね。
-:週末は吉田光希助手のお名前のように、そういう光る希望になれば良いですね?
吉:ハハハ。良い結果になるように頑張ります。
【追い切りチェック】19日(水)の最終追い切りは浜中俊騎手が騎乗
ウッドコースを単走で5F70.8-13.3秒を馬なりでマークしている
プロフィール
【吉田 光希】Koki Yoshida
父も祖父もいとこもトレセン勤務。兄の吉田宏樹調教助手も現在、高野友和厩舎に所属し、ショウナンパンドラを担当していた筋金入りの競馬一家出身。栗東高校を卒業後、島上牧場、宇治田原優駿ステーブルなどを経て、栗東トレセンへ。トレセン歴は3年目だが、将来を嘱望される若き調教助手。