昨年のクイーンSでは1番人気に支持されるも、2着に惜敗したシャルール。その後の飛躍は誰もが予想していただろうが、前進どころか二桁着順が続くなど苦境に立たされている。しかし、札幌といえば、その前年度だけでなく、デビュー勝ちなど最も実績を残している舞台。北の大地で復活の狼煙を上げられるのか。函館で調整に務める厩舎スタッフを直撃した。

－：函館2歳ステークス(G3)のナンヨープランタン(牡2、栗東・松永幹厩舎)に続き、北海道に滞在中の額田助手に伺います。クイーンS(G3)に挑むシャルール(牝5、栗東・松永幹厩舎)は、去年のクイーンS(2着)以降、残念な結果が続いてしまっていますね。

額田洋介調教助手：どうもここ最近、リズムを欠いてしまっていますよね。道中行きたがったり……。愛知杯(12着)は外国人ジョッキー(フォーリー)で、「ソフトに乗ってほしい」ということは伝えました。結果、ソロッとは乗ってくれていたのですが、結果的には前々で流れに乗った方が良かったのかもしれません。ただ、あの時は外が異常に伸びる馬場だったようですが。でも、前走の中山牝馬S(9着)でキッカケを掴んだかなというムードはありますね。

－：中山牝馬Sもインを終始通ったとは言え、ジワジワと伸びてはいましたよね。

額：ええ、その後はここを目標ということでした。馬自体はすぐに北海道に行っていたので、予定通りに来てはいます。

▲ナンヨープランタンに続き、北海道滞在中に2度の重賞挑戦となる額田助手

－：間隔が4カ月くらい空いていますが、どこが悪かったというわけではないと。

額：ええ。ここ(札幌)ではまだ連対を外していないですからね。

－：今回は横山典弘騎手がアエロリットに騎乗されますね。

額：四位さんになります。もともと四位さんが新馬からずっと乗っていたんですよ。

－：今行きたがったりしてしまうレースもありましたが、去年のクイーンSは先手を主張しましたよね。2番手からの競馬で勝ったのかと思うほどでした。

額：それでも別に良いとは思うんですけどね。ちなみに去年やられたのは四位さんの馬(マコトブリジャール)。34秒台で上がってきているのに差されているという。

－：勝った馬がハマり過ぎた感じがしますね。

額：本当に勝ったと思いました。

－：条件的にはいかがですか？ジョッキーは去年「もうちょっと長い距離でも良いんじゃないか」と言っていたと、教えていただきましたよね。

額：今だったら、1800～2000がちょうど良いかと思います。結局、長いところを使っていませんし、2200mのエリザベス女王杯もテン乗り。これくらいの条件が板についているはずです。

－：中間の状態はいかがですか？

額：厩舎に帰ってきた時は馬自体が多少イライラしていたり、毛艶や息遣いももう一つという感じでした。ただ、毛艶は馬自体が栗毛でちょっと長めですし、もともとよく見せづらいんです。それに、先週末くらいから息遣いなどは良化気配で、体調は上向いてきているかなと。
そもそも去年の秋や今年の春しかり、状態があまり良くないと思ったことはないんですよね。馬自体が古馬になってしっかりしているし、いつも良い状態だと思うほど。今回もそれくらいには持っていけると思うので。去年だって函館にいましたから。だから、メンタルというか、馬の気持ちですよね。

－：気になるメンタル面について、中間の気配は一連と比較していかがですか。

額：在厩している時は、馬自体はいつも落ち着いているんです。繰り返しになりますが、帰ってきた時にちょっとイライラしたところはありましたが、特に変わらずですね……。

－：メンタルがテーマになりそうな今回。復活のカギはどこにあると思いますか？

額：やっぱり道中の折り合いですかね。ちょっとムキになって行く傾向があって、デリケートなのでね。

－：前回の中山牝馬Sはじっくり運べていたと思うので、あれが良い位置でも出来ると良いですね。

額：でも、やっぱりちょっと(ハミを)噛んで、力んでいたのは力んでいたみたいなので。

－：戦績を見ると、色々なパターンで結果を残していますもんね。

額：そうなんですよ。500万～1000万～準オープンで3連勝した時に、全部条件が違うレースで勝ってきたから、ある程度どういう競馬でも対応できると思うんですよね。

▲【追い切りチェック】7/19(水) 額田助手が騎乗して函館ウッドを単走
強めに追われて5F67.8-12.7秒をマークしている

－：クラブの馬ですし、引退するまでの時間も短くなってきましたね。あとは目に見えないバイオリズムというか、それが噛み合ってくれれば……。レースに向けての意気込みを聞かせて下さい。

額：重賞でも好走しているし、この馬自身もあと今年1年で引退なので、それまでに重賞を勝って、引退できたらなと思いますけどね。

－：去年も好走しているわけではなく、今回の条件は合うんじゃないかという気がするのですが。

額：そうですね。

－：開幕週なだけに、さすがに後ろからというのはちょっと難しいかなという感じは受けますが。

額：やっぱり前走、前々走はジックリ行き過ぎたところもあると思うんですよ。だから、ある程度サッと流れに乗って行けるのは良いんじゃないかと。

－：期待しているファンや会員さんはずっと応援しているでしょうし、ここで走れば、相手が強い分、おいしい存在になりそうです。

額：お母さん(グレイトフィーヴァー)がけっこうオープン馬を出しているんですよ。シャルールの兄弟のアーデントや、松田博資さんのところにいたラブラバード。どの馬も何勝かしていて。ただ、兄弟が重賞を勝ったことがなくて、そういう意味でも勝ちたいですよね。

－：3歳のルエヴェルロールも未勝利けっこう良い勝ち方をしていましたね。

額：大久保龍志さんの馬ですね。2歳のハーツクライ産駒は今年ウチに入ってくるんですよ。

－：妹にいいところを見せられるよう頑張ってほしいですね。札幌は連を外していない舞台なので、激走に期待します。

額：ありがとうございます。