函館の前哨戦は想定外の連続 春秋GⅠ制覇へ不安なし セイウンコウセイ
2017/9/24(日)
高松宮記念で渋った馬場を味方にG1初制覇を飾ったセイウンコウセイ。洋芝適性を見越して参戦した函館スプリントSは、想定外の超高速馬場でハイペースを先行しながら4着に粘った。初の重賞挑戦だったシルクロードSは上がり33秒台の決着で2着と馬場状態は不問。上原博之調教師に、春秋スプリントG1制覇への手応えを聞いた。
-:セイウンコウセイ(牡4、美浦・上原厩舎)について伺います。この春は高松宮記念で初めてのG1制覇となりましたが、振り返っていただけますか?
上原博之調教師:その前のレースも強い勝ち方というか、短距離だったら安定したレースができるようになってきていました。重賞(シルクロードS)2着で賞金を加算して高松宮記念を目標に、馬の状態は良かったので、厩舎としてはG1でも1200mならやれるんじゃないかという思いはありました。
G1初挑戦の高松宮記念で堂々の押し切り勝ちを決めた
-:手応えがあったということですが、実際のレースをご覧になっていかがでしょうか?
上:その前(2016年11月の渡月橋S)に道悪でも気にせず走っていましたから、ちょうど当日雨が降って、けっこう馬場がけっこう悪くなったのはこの馬に有利な馬場になるとは思いましたね。スタートが良くてレースがしやすい馬なので、好位につけて、道悪で他の馬が苦しんでいるところを問題なく抜け出してきてくれました。直線に向いたくらいから「行ったな」という感じはしましたよ。
-:得意とはいえ道悪のレースを走ったわけですが、レース後の馬の状態はどうでしたか?
上:そんなにダメージもなかったので、その後は函館スプリントSへ向けて調整しました。夏場は北海道で休養させるつもりだったので、函館を使ってそのまま北海道で放牧という予定でした。
-:函館スプリントSは4着に敗れましたが、レースを振り返っていただけますか?
上:例年の函館の力のいる洋芝を想定して、道悪を苦にしないコウセイには合っているという考えで持っていったんですけど、開幕週に限ってあんなに時計が速い馬場になってしまったのは誤算でした。あの日は高速馬場で先行馬に有利だったので、シュウジがそれを狙って32秒台で飛ばしていきましたよね。先に行ったところを捕まえにいかないといけないので、ある程度ついて行ったんですが、さすがにペースが速くて終いはいつもの脚を使えませんでしたね。勝った馬は斤量が軽くて後ろにいた馬でしたし、勝ち馬に向いた展開になってしまったかなと思います。
支持を集めた函館スプリントSでは厳しい展開で苦戦した
-:レース後のセイウンコウセイの状態はいかがでしたか?
上:さすがにくたびれていましたけど、そのまま牧場で休養の予定だったので、ちょうどよかったんじゃないですかね。
-:放牧を挟んで美浦に戻ってきた時の状態は?
上:リフレッシュしてもらっていましたし、予定通り疲労は取れていました。
-:坂路やウッドで乗り込んで、1週前追い切りはウッドで単走の形となりました。指示と評価を教えていただけますか?
上:先週もそれなりに66秒台くらいの時計は出ていたんですけど、1週前は少しビシッとやっておきたかったので、今週は直線で馬に少し気合をつける調教をしました。大外を回って12秒台の時計も予定通りです。体がしっかりしている馬で、ビシッと追った後も疲労なく終われましたし、予定通りの調整ができましたよ。
春秋スプリント連覇へ1週前追い切りを行った
-:馬の様子を見ながらということになるとは思いますが、レースまでの調整はどうされる予定ですか?
上:週末と週明けの様子を見て決めますが、そんなにやらなくてもいいとは思っています。
-:スプリンターズSは中山の1200mという舞台になります。意気込みをお願いします。
上:スタートがいい馬ですし、右回りの京都でも好成績を上げています。G1なので相手は強くなりますけど、幸くん(幸英明騎手)も馬のことをわかってきていますからね。雨が降っても、良馬場でも、うまくレースを運べればいいと思っています。
プロフィール
【上原 博之】Hiroyuki Uehara
1957年1月25日生まれ。茨城県出身。1980年11月から美浦・柄崎義信厩舎、1983年11月から美浦・和田正道厩舎で調教助手を務める。1993年に調教師免許を取得して3月に開業。1995年に関東の優秀調教師賞を受賞。2004年にダイワメジャーの皐月賞でG1初勝利。重賞はG1での6勝を含む26勝(2017年9月24日時点)。