4連勝で重賞制覇の上がり馬 食欲満点で夏バテ知らずダイアナヘイロー
2017/9/24(日)
大本命馬不在のスプリント界において、4連勝で瞬く間に重賞ウィナーの仲間入りを果たしたのがダイアナヘイロー。当欄では、前走時も小倉滞在中の独占取材で特集させていただいたニューヒロイン候補だが、勢いと順調度はメンバー中上位だ。初の中山、相手関係などクリアすべき課題はあるが、初のG1挑戦でどこまでやってくれるのか。期待のほどを、担当の原田秀臣調教助手に伺ってきた。
－：ダイアナヘイロー(牝4、栗東・福島信厩舎)と挑んだ前回の北九州記念は、ご自身にとっても重賞初勝利ということで、まずは喜びの声を聞かせていただきたいのですが。
原田秀臣調教助手：正直、ピンと来ていないところもありましたね。嬉しいのはもちろん嬉しかったですけど、あまりにも順調過ぎて、逆に実感が湧かない部分もありました。周りに「おめでとう」と言ってもらって、やっと実感してきた感じでしたね。レースではゲートに行っていたので、スタンドで大声をあげて、なんてわけではなかったので。
－：調教師の方だったら見易い場所から観られたりしますが、担当の方はそんなケースが多いですね。
原：そうそう。あっちで観ていたら声が出たと思いますよ。あの展開で最後グイッと伸びて勝ったからね。スタンドから色々な放送が流れていたので、それを聞いてヨシッ！みたいな。でも、帰ってきて、ユタカさん(武豊騎手)や皆の笑顔を見て、やっぱり良かったなと。先生(福島信晴調教師)も今年度で最後だったから、喜んでいる姿を見たら、実感が湧きましたね。
▲定年間近の福島信晴調教師に捧げる重賞制覇となった北九州記念
－：レースはどう感じられましたか？
原：あとで映像を見直したのですが、完璧でしたね。一方で勝つ時はあんなものかなと。やっぱり馬が100％力を出しても、競馬は勝てない時は勝てないので、本当に全部が上手く行ったわけで、枠から展開からペースから見事に嵌まったというか、もちろん馬に力があってこそだと思うのですが。
－：前走からここまでの調整はどうですか？
原：レースが終わって、火曜には栗東へ帰ってきました。短期放牧くらい出そうか、という話があったのですが、中6週だったので、出してまた入れて、となったら忙しくもなるので、「厩舎でじっくりやっていこう」という話になりました。10日ほど運動だけでゆったりさせて、それから通常メニューに戻していきました。序盤は距離を乗って、体力を戻すところから始めて、先々週の日曜くらいから速い調教を始めて、順調と言えば順調ですね。
－：順調ということで、前走の疲れは大丈夫でしたか？
原：まあ、そんなに感じるほどはなかったですね。乗り始めもそんなに体の硬さも感じられなかったですし、夏バテっぽいのもあったのですが、乗り始めたらすぐにパッと戻った感じです。見た目や状態、カイ食い、乗った感触からしたら、特に変わりはないと思います。グンと良くなったといったということは流石にないですけど、とりあえず状態はキープできていると思います。
－：いま、馬房の前で見せていただいていますが、これだけコンスタントに使っていても、よく食べているから耐えられるのでしょうか？
原：そうですね。一番調子が悪い時は食べない時期でもあったので、このカイ食いがバロメーターにはなっていると思いますね。
「小倉と変わらずチャカチャカもせず、落ち着いているとは思いますね。行く前はちょっとチャカチャカしている面を出していたのですが、実際に結果も出ていますし、それが良い面に働いていると思うんです」
－：先週はすごく速い時計が出ていたので気になったのですが、その点の心配はありませんか？
原：前の馬が6ハロンくらいでちょっと詰まっていて、それを抜くのにシュッと加速させた時に、そのままサッと馬が気分良く行ったので、そのまま行かせたら、思った以上にペースが速くなっていましたね。小倉に行ってからですけど、気合不足でフワッとしている感じもあったので、ビシッと行こうとは思っていました。予想以上に速くなってしまったので、成功とは言いがたい部類かとは思うのですが、ある程度、速い時計を出すつもりではいたので。
－：原田さんの口ぶりを聞くと安心出来ますし、以前も「小倉の滞在で少しモワッとしている」とおっしゃっていたので、それを考えると、まだまだ大丈夫なのかなと。
原：馬にそういう気持ちの余裕はあるんじゃないかなと思いますけどね。
－：精神的には、こっちに来てからの雰囲気はいかがですか？
原：いや、変わらないですね。ただ、小倉を引きずっていると言えばおかしいですが、小倉と変わらずチャカチャカもせず、落ち着いているとは思いますね。行く前はちょっとチャカチャカしている面を出していたのですが、実際に結果も出ていますし、それが良い面に働いていると思うんです。
－：それは、環境の違う小倉に行った経験なのか、連勝してきた余裕なのか、貫録みたいなのが付いてきた、そういうのもあるのですか？
原：いやいや、結局連勝しているということは、ドンドン相手が強くなっている訳だから、毎回毎回チャレンジャーみたいな立場じゃないですか。だから、そういう余裕はないですね。馬がゆったりしているというのは、また別問題で、人の心構えとかそういう面ではね。馬は分からないですからね。次は強いヤツと走ると、別に考えて動いている訳じゃないので。人間の方からすれば、本当にチャレンジャー。取りあえずどれだけやれるか楽しみという思いです。それは本当に走ってみないと分からないことなので、強いメンバーと走ることって、なかなかないですからね。
▲14日はCWで速い時計をマークしていたダイアナヘイロー
▲21日は坂路4F52.8－12.7秒を馬なりでマーク
－：先週やられて、今朝(9月22日)の追い切りはいかがでしたか？
原：先週はちょっと時計が出過ぎたので、今日はサッと流す程度で、予定通りですね。昨晩、集中豪雨のように一時ザッと雨が降ったせいか、馬場もちょっと重かったので。
－：だから、電光掲示板の水分含有率がけっこうあるなと。
原：今日は重かったんじゃないですかね。荒れ馬場までは行かないですけど、馬場の真ん中らへんで乗ったので、ちょっと重いかなという印象でしたね。それであの時計ですし、終いもバッタリ止まっていることもないし、予定通りの時計は出たと思います。
－：来週は輸送もあるし、そこまではという感じですか？
原：いや、終いビッシリといく予定です。輸送減りはあまりしないタイプなので。輸送は強いと思います。小倉に行った時も結局プラス体重でしたし、あの時も佐世保Sの時は1本緩めというか、輸送も考えてそんなにキツくやらなかったのですが、そうしたらプラス体重だったので、それを考えてもそんなに緩める感じではないですね。来週も終いビッシリくらいはやろうかなと思っていますけどね。
－：前回がプラス6だったと思うのですが、今回はやっぱりちょっと減るくらいの想定で大丈夫ですか？
原：いや、どうかなぁ。現状で同じくらいなので、減っていないんですよ。だから、おそらく同じくらいだと思うんです。輸送を考えたら、減らないと言ったって、多少は減ると思うので、前走と同じくらいの体重になると思うんですけどね。
