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不安だらけで昨年2着のリアルスティール 道悪もOK
2017/10/26(木)
-:台風が接近している今週ですが、天候、道悪はいかがですか?
柿:先週までずっと雨で、今週は晴れると勝手に思っていたのですが(笑)、ここに来てまさかの台風が発生して……。そもそも開催が出来るのかな?というくらいですよね。ただ、先生とも朝、こんな話をしました。これは希望的観測が入っているのですが、普段乗っている感じだと道悪はこなせると思うんですよね。けっこうピッチ走法で走る馬で、パワーもあるタイプですからね。
-:ディープだけど、こなせると?
柿:それこそ朝の追い切りでも、先週は軽い1週前追い切りだったのですが、あの時もすごい雨が降って重いチップの馬場で、それでもスッと走っていましたからね。今日はある意味で良い練習になったというか、本番の重い馬場を見据えられたかもしれません(ニヤリ)。
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▲25日、坂井瑠騎手が騎乗して坂路で最終追い切り
4F52.4-38.0-24.8-12.2秒をマーク 古馬準オープンの併走馬に先着した
-:(騎乗した)坂井瑠星騎手は何と言っていましたか?
柿:この間の毎日王冠の最終追い切りでも瑠星が乗ってくれて「この間よりも、すごく息遣いや歩様の感じが良くなっている」と言っていましたよね。硬くなったりしていません。
偶然通りがかった坂井瑠星騎手:道悪は苦手ではないと思いますけどね。
-:条件的には、天皇賞(秋)の2000mというのは大丈夫ですか?
柿:もう日本のG1の中では、ベストの舞台だと思っていますね。天皇賞(秋)というG1が一番チャンスのあるG1だと思っていますからね。
-:じゃあ、あまり死角がないですね。
柿:死角はないということはないですけど、そういう天気や枠順もやっぱり左右されやすいレースですしね。なにせ、今までのG1ではほとんど2ケタ番号だから(苦笑)。
-:言われてみればそうかもしれないですね。去年も外枠(12番)でしたものね。
柿:ドバイを含めて、もう6戦連続で。
-:今度は頭数も倍のようなもので。
柿:そうなんですよね。この間は頭数が少なかったですからね。
「去年は本当に不安だらけで、安田記念で惨敗した後の競馬で、やっぱり毎日王冠を夏負けで回避して、やっとそこから上げていくという作業の中での天皇賞だったので。それにも増して、最後の最後に鞍を置けないでパニックになるという、今だからこそいえますが、“これは絶対にないわ”という……」
-:去年臨む時と比べても、やっぱり今年の方が自信というか、安心感がありませんか?
柿:そうですね。純粋に、毎日王冠を使って順調に臨めるというのはね。去年は本当に不安だらけで、安田記念(11着)で惨敗した後の競馬で、やっぱり毎日王冠を夏負けで回避して、やっとそこから上げていくという作業の中での天皇賞だったので。それにも増して、最後の最後に鞍を置けないでパニックになるという、今だからこそいえますが、“これは絶対にないわ”という……。パドックに入ってくる時はもうないわと。それだけ暴れているから、汗もブワッとかいていました。
-:それでも(2着に)来られるというのは素晴らしいことですね。
柿:そうしたら、勝てはしなかったけど、上がり最速でしたからね。
-:上がり最速馬の来やすいレースですからね。同世代のライバルとやる機会ももう少なくなってきますね。
柿:そうですね。本当にG1馬がたくさんいて、もちろんみんな強いメンバーばっかりで、手強い相手ばっかりですけど、特に同じ5歳のキタサンブラックとサトノクラウンとはクラシックから一緒で、またレースが出来るのは、ある意味嬉しいですよね。この世代はドゥラメンテというダービー馬の大将がいて、本当にこの3頭はお互いにそれぞれG1を勝って、やっぱり強い世代ですね。また勝負出来ることは、観ている人も楽しいと思いますから。
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-:条件的には死角が少ないとも思いましたが、その激しさを思うと、ジョッキーが(シュミノー騎手に)替わる点についてはいかがですか。そこは気になりますか?
柿:そこは、当日に本当のテン乗りになっちゃうので。今日の追い切りでも乗っていればとは思うのも事実です……。
-:天皇賞(秋)を使った後、今後の予定は決まっていますか?
柿:それはちょっと分からないですね。去年はジャパンC(5着)に行きましたけど、ここを一番の状態で臨むつもりですから、その後の状態(次第)ですね。
-:年齢を重ねても精神面、体はまだまだフレッシュそうですね。
柿:はい、そうですね。さっき言ったみたいに常に元気ですけど、本当は今年の中山記念くらいでも、体の使い方が良くなってきたなと思っていたくらいです。
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-:それは普段乗られていての変化ですか?
柿:そうですね。僕だけじゃなくて、瑠星も言うけど、以前は坂路でもハミにグッとモタれて、というところがあったのですが、ここに来て重心が上に上がってきました。毎日王冠なんかでも、やっぱりしっかり折り合いが付いていたし、去年の天皇賞(秋)でもいくらかちょっと(ハミを)噛んでいるようなところがあったんですよね。
-:やっぱりトモがしっかりしたのでしょうね。
柿:ええ、最初の頃はしっかりと歩けない馬だったので。
-:充実期を迎え、状態的には問題なく送り出せそうな今回、最後に意気込みをお願いします。
柿:リアルスティールを応援してくれている人も一杯いると思うし、国内でも(G1を)勝って欲しいと思っているファンもたくさんいると思うので、今週はもしかしたらすごい大雨の中での競馬になるかもしれないですが、(競馬場に)来てもらった人には感動してもらえるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。
-:ありがとうございました。
プロフィール
【柿崎 慎】Shin Kakizaki
父親の影響で中学生の頃から競馬を見始め、牧場での勤務に憧れを持ち、高校卒業と同時にBTC(軽種馬育成調教センター)の門を叩いた。1年間の研修を受けた後は様々な牧場での勤務を経て、競馬学校に合格。しかし、競馬学校卒業後も定員に空きが出ず、1年間の待機を余儀なくされることに。待機期間に一路フランスへと渡り、コレ厩舎で研修へ。現地の競馬場を転々とし、凱旋門賞の空気を生で感じるなど、フランスでの経験が馬の仕事への思いをより強くした。
ドーヴィルで開催されたセリで偶然、矢作芳人調教師に出会ったのがきっかけとなり、08年から矢作厩舎に所属。これまでグランプリエンゼル(09年函館スプリントS優勝)などを担当している。