横山典騎手乗って走り一変!ニシケンモノノフが頂点へ
2017/10/29(日)
ニシケンモノノフは横山典弘騎手とコンビを組んだ昨年のカペラSで2着に入ると、次走の兵庫GT(Jpn3)で重賞初制覇。フェブラリーSでも厳しい展開の中で5着に粘り、いよいよG1に手の届く所まで来た。年齢を重ねるごとにたくましさが増し、担当する大野恭平調教助手も大きな期待をかけて本番に送り出す。
【JBC】レース前日には競馬ラボの最終結論◎○▲をSPネット新聞で公開!総力特集はコチラ⇒-:JBCスプリント(Jpn1)に挑むニシケンモノノフ(牡6、栗東・庄野厩舎)ですが、前走の東京盃(Jpn2)は惜しくも3着でしたね。
大野恭平調教助手:目標がJBCで、まだ仕上がり途上だったので、使ってちょうどここが一番になるように、という感じでした。だからと言って仕上がりがダメだったかというと、そういう訳ではなく、結果もそれなりに出してくれました。
-:これは主観ですが、叩き台の割には、僕は現地でパドックを観ていて、これが一番強そうだなと思わされました。
大:パドックの雰囲気は良かったのですが、体重が-5キロのように、やっぱり筋肉の付き方がもう一歩でした。この馬は放牧で、逆に体重を減らして帰ってくるんですよね。調整をしていく内に筋肉が増えていくタイプで、まだ付ききっていなかったのかなと。
-:調教をしていく内に贅肉が削ぎ落とされるのではなく、筋肉になっていくと。アスリートらしいですね。
大:そうですね。使って本当に良くなっているので。
▲ニシケンモノノフが庄野靖志厩舎に移籍後、担当してきた大野助手
-:輸送そのものは問題ないですか?
大:問題ないですね。東京や京都でも、どこへ行っても10キロ減るんですよね。北海道でも10キロなんですよ。だから、自分でそういう計算が出来るのでしょうね。
-:ならば、そこら辺は手慣れたものですね。
大:そうですね。輸送は大丈夫です。
-:前回、勝ち馬整理枠のところに、ジョッキーが引き揚げてきて、検量室に入っていくところで「休み明けだな」と、先生(調教師)につぶやいていたのが聞こえたので、次は良くなるのだろうな、と見ていましたよ。
大:ノリさん(横山典弘騎手)自身、そういう風に乗ったのだと思います。でも、競馬は後ろからでちゃんと伸びてきたので、本番はどういう風にも対応出来るでしょう。
-:馬場に関してはどう思いますか?
大:不良くらいでも良いですよね。
-:それこそ前回は、馬は一番良いのかと思ったのですが、まじまじと観させてもらったのは初めてで、これは軽い馬場の方が合うんじゃないか、という感じがしたので。
大:本当にそれは言えます。
-:あの時は坂路で49.9秒なんて時計も出ていましたからね。
大:ええ、あれも余分だったのは事実です。あの時は正直、引っ掛かってしまいました。
-:でも、6歳秋になっても引っ掛かったりする元気がまだまだあるということですね。
大:そうなんです。逆にドンドン若くなっていきますよ。
「未だに前よりドンドン引っ掛かっていくし、手入れしても前より元気になっているし、まだまだ若いです」
-:だから、2走前からブリンカーを着けたのですか?
大:あれはノリさんが「着けて」という話だったのですが、着けてみてより良い方向に向いていると思います。
-:決して行きっ振りが悪い訳ではないのに、感じるものがあったのかもしれないですね。
大:やっぱり大騎手の感覚なのかもしれません。未だに前よりドンドン引っ掛かっていくし、手入れしても前より元気になっているし、まだまだ若いです。
-:肉体面も衰えや年齢を感じるということはないですか?
大:ナイですね。一般的には脚元も歳をとっていくと、腫れていくというか、浮腫んでいくことがありますが、この馬は何もないですね。
-:フェブラリーS(5着)の時も、戦前から前には行くかと思っていましたが、厳しい競馬をして、あそこまで残っているとはビックリさせられました。
大:あの競馬で一瞬もしかしたら……と思いましたね。あの時は一番調子が良かったですよ。使い詰めていて、1週間前くらいまでは疲れが抜けなかったのですが、その週になった途端に、急に良くなって。
-:そんなに急にガラッと変わるものなのですかね。
大:獣医の治療が上手くハマったのか、本当にその週になったら急に疲れが一切なくなって。
-:その考えられる要因はありますか?
大:毎週、電気針をするのですが、(疲れが)抜けないということで、それを週2回にして、強めたんですよね。その治療がハマったということですね。でも、獣医さんもずっと見てくれている人でどういった治療が効くか、試行錯誤してくれましたし、一緒に長いことやってきて、一緒に馬をつくって来たと思っています。
-:昨年のカペラステークスから横山典騎手が乗られていますね。
大:前はズブい感じでしたが、ノリさんが乗ったら、行き脚が良くなったような感じもしますね。
-:ジョッキーが先月くらいから(栗東に)滞在されているらしいですが、乗られる予定はなかったのですか?
大:「1回乗ってもらう」という話になったのですが、今までこれで上手くいっているので、急に乗る必要もないかということになりました。ノリさんが「東京盃を使えなかったら乗りに行くわ」と言ってくれていましたが「それでビシッとやったら、使えなかった場合はそこでやったら変わるよ」と。
「北海道スプリントCが終わって『JBC(スプリント)を勝ちに行こう』ということでの逆算調整なので、ここが一番になると思いますね」
-:東京盃はちょっと使えなくなるという状態もあったということですか?
大:そうですね。補欠だったから、どうなるだろうと思って。
-:そういうことですね。今回のJBC(スプリント)は出走枠が広いですからね。
大:東京盃とは賞金の計算の仕方がまたちょっと違うので。「JBCは多分入るだろうけど、(東京盃も)使いたいよね」みたいな事情もありました。
-:先程も叩いて良くなる、と言っていたことからも、そういう意味では運も向いてきているのかなと。
大:そうですね。北海道スプリントCが終わって「JBC(スプリント)を勝ちに行こう」ということでの逆算調整なので、ここが一番になると思いますね。
-:今後はまたフェブラリーSを使う可能性はあるのですか?
大:この結果次第だと思うのですが、僕自身、フェブラリーSは行きたいですけどね。
-:今年を観ると、フェブラリーでやれて不思議じゃないかなという感じもしますね。
大:先生は「(1600でも)大丈夫かもしれないけど、1200、1400にした方が良いんじゃないか」と言っていました。1600になると周りが強くなるから、簡単ではないと思うのですが、僕は1600が一番合うと思っています。やっぱり1200は周りも速いじゃないですか。
-:と言いますと?
大:この馬は引っ張られたくないんですよね。どこかでメッチャ速い脚があるというよりも、同じスピードで押し切れるタイプなので。例えば、1200だったら引っ張られる時間が短いから良いのですが、ずっと1400を走っていて、1400でも勝ってきたものの、あんまり良くない条件だと思っています。その点、1600だと行ききれるから、一番良い条件なのかと思います。
-:「あんまり引っ張られたくない」ということは、今回に関しては外枠で、変に被されないような競馬がベストでしょうか?
大:そうですね。今回は行ききれないくらい速い馬が多いから、その方が良いと思います。馬それぞれにどの枠が良いとかあると思うのですが、この馬は外枠の方が良いと思います。
-:もともと砂を被って嫌がるとか、そういうウォークポイントはないですか?
大:そういうのではないですね。ないのですが、リズムですね。スピードを殺されるのが良くないだけで。
-:それは坂路調教でも言えることですか?
大:それは言えますね。とりあえずリズムです。1ハロン目にミスると、そのまま全部行ってしまうので。JBCは1200のG1クラスの馬たちだと、そう簡単には行けないので、それだったら外枠で普通のリズムで走る方が能力を出せるんじゃないかと思いますね。
「前走はノリさんが『半歩出遅れた』と言っていて、前を取れなかったのですが、それは仕上がり的にトモがちょっと緩かったから、一歩目が遅れたのだと思うので、次はもう一歩速く行けると思うんですよ」
-:今回は、中央馬で前に行くのはコーリンベリーとノボバカラですね。地方馬の先行脚質もいますが、どこまでテンが激しくなるかは未知数ですね。
大:そうですね。前走はノリさんが「半歩出遅れた」と言っていて、前を取れなかったのですが、それは仕上がり的にトモがちょっと緩かったから、一歩目が遅れたのだと思うので、次はもう一歩速く行けると思うんですよ。
-:地方交流を中心に出ているとあまり立ち写真を見られないですが、ファンに説明すると、馬体的にはどういうタイプですか?
大:本当に典型的なダート短距離馬ですね。もうムッキムキですね。
-:昔に比べてここら辺が良くなってきたという変化はありますか?
大:自分が3歳の時からやっていて、20キロ増えましたよね。それだけの筋肉が付いたと思うのですが、よりパワーアップしていますね。
-:やっぱりそれは調教でも変化を感じられますか?
大:感じますね。
-:今後の追い切りのスケジュールはどうなりそうですか?金土日の変則3日間開催です。
大:明日(10/26)目イチでやって、火曜日にそれを見ての調整になると思います。
-:火曜日ですか。
大:坂路でやるので、月曜日はハロー(掛け)が入っていないらしいんですよ。そういう関係ですね。
-:実質、今週が最終的な仕上げと。馬体重は、次回は増える想定ですか?
大:ええ、増える想定です。
-:最後に、レースに向けての意気込みをお願いします。
大:ここを目標にしていたので、勝ちたいですね。いつも頑張ってくれる馬なので、結果は分からないですけど、無事に帰ってきて欲しいです。
-:でも、お話を伺っている限り、まだまだ現役という感じですね。
大:まだまだ、ハハハ(笑)。
-:ノリさんは、マイルか短距離どちらが良いとは言っていなかったですか?
大:「マイルは大丈夫」と言いますよね。
-:何度も走っているので、芝スタートも大丈夫ですね。
大:大丈夫です。
-:来年2月も楽しみですが、名前が名前だけに注目を集めている馬なのかなと。
大:確かに、色々なところから注目を集めるかもしれないですね。ファンレターとかは流石にないですが(笑)。
-:そして、よく言われるのが震災の日に産まれたのがトーホウジャッカルとこの馬で。
大:そうなんですよね。震災の日に生まれたんですよね。それだけに頑張って欲しいですね。
-:長々とありがとうございました。
プロフィール
【大野 恭平】 Kyohei Ohno
1985年生まれ。グリーンファーム、宇治田原優駿ステーブルを経て、トレセン入り。大久保龍志厩舎から、5年前に庄野靖志厩舎に移籍し、調教助手歴は8年目。ニシケンモノノフ、10月28日の萩ステークスにも出走したリュクスポケットを担当している。所属厩舎の庄野靖志調教師については「調教師なのに、まずはいつも人の意見も聞いてくれる、良い先生です。最後に決めるのは先生ですが、普通は意見を言わせてもらえないので」と語る。趣味はバス釣りで、近郊の琵琶湖だけではなく、遠征をしにいくほどの玄人。10月30日が32歳の誕生日。4日後に行われるJBCスプリントでパートナーとBIGプレゼントを狙いにいく。