大事に育ててビッグタイトル目前 世代交代を告げる挑戦者 スワーヴリチャード
2017/12/16(土)
-:お父さんのハーツクライも有馬記念でディープインパクトを負かしていますね。
庄:本当ですよね。あとは、ハーツクライの子供がG1を東京でしか勝っていないと言われていますし、そこは、そんなことはないんだよというところを見せてあげられたら良いと思うし、実際にハーツクライも中山で有馬記念を勝っているのでね。
-:シュヴァルグランというライバルもいますしね。
庄:あの馬もハーツクライなので、ハーツクライ産駒で盛り上げられたら良いなと思いますしね。
-:ハーツ対ディープかと思ったら、ハーツ対ブラックタイドですね。
庄:まだ分からないですよ。
-:アルゼンチン共和国杯で負かした馬たちのその後の活躍も心強いですね。
庄:そうですね。やっぱりアルバートも(ステイヤーズSを)キッチリ勝ちましたしね。
-:スワーヴリチャードの使っていたレースはメンバーのレベルが高いですよね。
庄:人によって見方はあるかもしれないけど、アルゼンチン共和国杯だって決してメンバーに恵まれたとは思っていないし、重賞勝ち馬がいっぱい出ているわけですから、その中であれだけのパフォーマンスを見せてくれたというのはかなり力を付けたなと思いますよね。
-:ファンの中には格下に勝ってきたと思う人もいると思うんですが?
庄:気にしなくていいと思いますよ。
-:一番フレッシュな状態で有馬記念に向かうのは、スワーヴリチャードなのかなと思います。どうしても有馬記念は1年の締めくくりですし、男馬にとっても厳しいレース、ローテーションだと思います。
庄:そこを踏まえても、まだまだ3歳馬というのも考えの中にあれば、ある程度ロスなくというか、あまり消耗のない形で行きたいですからね。とはいえ、古馬で秋3戦できる馬もいますし、いずれはそうなってくれたら良いかなと思いますけど、まだまだ今はそこを求めるよりは、一つ一つキッチリ力を出せるようになってくれれば良いかなと思いますね。
-:先生と牧場の関係者、オーナーさんが一丸となって、大事に使ってきたスワーヴリチャードは8戦目で有馬記念に辿り着きました。
庄:大事に使ってきているので、やっぱり数をこなすのは今ではないと思うし、それよりは馬が元気で調子が上向いている時に使ってあげた方が良いと思うし、それが今度は力になってきて、来年以降に古馬になって、一戦一戦狙ったレースを確実に獲りに行けるような馬になってほしいですよね。
「かなり楽しみです。キタサンブラックは僕もすごく好きな馬で、今回がラストランなので、最後に一緒に戦わせてもらえるというだけで嬉しいです」
-:ちょうど成長期という感じですか?
庄:今が一番の成長期じゃないですか。ここを乗り越えて、本当に出来上がるというか、強くなるというか。
-:日本のトップホースに向けて。
庄:いや~、なれたら良いですし、なって欲しいです。ただ、やっぱり先輩たちが沢山いますので、まだまだ挑戦者ですね。
-:有馬記念も、ある程度のポジションで流れに乗っていきたいとお考えですか?
庄:有馬記念は中山の2500mなので、みんなそんなに慌てないで行くのでしょうから、そうした流れの中で良いポジションを取れたら良いなと思いますけどね。あとは、毎年そんなにきれいな馬場ではないので、できればロスなく運べたら良いかなと思いますね。
-:そんなにパンパンの良馬場じゃなくても、こなせるパワーがあると思うのですが?
庄:いろいろな馬場を経験してきているし、特にこういう馬場がダメというのはないと思います。
-:楽しみな一戦になりますね。
庄:かなり楽しみです。例えば、キタサンブラックは僕もすごく好きな馬。今回がラストランなので、ああいう強い馬と最後に一緒に戦わせてもらえるというだけで嬉しいですよね。
-:今年1年を振り返っていただいて、庄野厩舎はいかがでしたか?
庄:どうなんでしょうね(笑)。
-:ニシケンモノノフがJBCスプリントを勝ちました。
庄:そうですね。でも勝ち星だけを見ると、去年の半分ぐらいですからね。
-:内容が濃いと思います。
庄:う~ん。そのぶんニシケンモノノフとか、リチャードとか、レッドアンシェルとかが上のクラスで頑張ってくれたので、インパクトのある年ではあったかなと思いますよね。
-:来年につながる年ということですね?
庄:やっぱりその年によって、例えば2歳の成績が良かったりだとか、3歳の成績が良かったりだとか、その世代によって違ったりもするので、そういうのがなくなるともっと成績も安定するんでしょうけどね。
-:もちろん先生としては全体の勝ち星とか、安定した成績が出ることが理想だとは思いますが、下のクラスでたくさん勝ってトップクラスいないよりは良いのではないですか?
庄:だけど、トップというか、上のクラスに上がるとなれば、まずは未勝利を勝たないといけないのでね。やっぱりまずは一つ勝たせることが基本ですから。そこは全然変わっていないし、そこからコツコツやっていけば馬もそれに応えてくれて、上のクラスまで上がってくれる馬もいるでしょうしね。
-:そういう意味では、大将格のスワーヴリチャードがいることによって、今後は庄野厩舎の他の馬たちにも良い影響が出ると良いですね?
庄:そうですね。やっぱり上で引っ張ってくれる馬がいるとね。リチャードもそうですし、ニシケンモノノフもそうですし、やっぱり上のクラスの馬が厩舎を引っ張ってくれると、それに付いて他の馬たちも頑張ってくれるので、そういう良い方向に向かってくれたら良いかなと思いますけどね。
-:どれぐらいの緊張度合いですか?
庄:緊張はします。
-:緊張は徐々にし始めているということですか?
庄:緊張しているというか、何よりもまず無事に行ってほしいですね。やっぱりそこかな。追い切りもそうだし、もちろん普段もそうだし、無事に調教をできたか、終われたかというのは、やっぱりすごくドキドキしますね。馬の状態としては、いつでもゴーサインが出せるぐらい気持ちも上がってきているみたいだし、動きも本当に良くなってきているので、いつでも行けるぞという態勢は整いつつあるんですけどね。あとは本当に毎日無事に行ってほしいですね。
-:無事にゲートに辿り着けるようにお祈りをしています。
庄:祈っておいて下さい。
-:忙しい中、ありがとうございました。大事な一戦、良い結果を期待しています。
庄:はい、頑張ります。ありがとうございました。
11月はJBCスプリント&アルゼンチン共和国杯と立て続けに制した庄野靖志調教師
今度はJRAのBIGタイトルを狙う
※12月17日(日)はレインボーライン陣営のインタビューを更新予定です!
プロフィール
【庄野 靖志】 Yasushi Syono
1970年3月2日生まれ。北海道出身。実家が北海道・門別の庄野牧場という、ホースマンのサラブレッドというべき家庭環境で育った。少年時代から馬産を志して日本大学獣医学部に進学。調教師に目標を改め、1996年に高橋隆厩舎で厩務員となる。調教助手などを経て2006年に調教師免許を取得。開業2年目にホクトスルタンの目黒記念で重賞初制覇を挙げた。JRAのG1勝利はないが、JBCスプリント(Jpn1)を今年のニシケンモノノフと2010年のサマーウインドで2勝している。