デビューから一度も放牧なしで走り続ける 得意の大井で再びタイトルを! ケイティブレイブ
2017/12/24(日)
下半期のJRAダートG1・チャンピオンズカップ前にも独占取材を試みたケイティブレイブ。前回のインタビューでも記した通り、デビューから一度も放牧へ出ずにこれだけの成績を残している異例のプロフィールの持ち主だが、暮れの大一番・東京大賞典にも果敢に挑戦する。振り返れば、大井の舞台はベストともいえる条件。アイアンホースが2017年最後のG1でどんな走りを見せつけてくれるか、担当の北谷洋調教助手へ伺った。
-:東京大賞典(G1)へ挑むケイティブレイブ(牡4、栗東・目野厩舎)ですが、前走のチャンピオンズC(4着)を振り返っていただいて、いかがでしたか。
北谷洋調教助手:内枠(2番)でしたよね。基本的には前に行った2頭ですからね。
-:個人的にはケイティブレイブが溜めるのはアリだと思うのですが、あのペースだったら……。
北:前に行って欲しいですよね。あくまで結果論なので。しかし、勝ち馬は脚が違いましたよね。
▲チャンピオンズカップは先行するも惜しくも馬券圏内には届かなかった
-:行っていたら、行っていたで、忙しくなっていたかもしれないですしね。ただ、レース中ももうちょっと行くのかなと思ったので。レース後の様子はどうですか?
北:レース後はマズマズ……。感じ的には、JBCクラシックの後の方が疲れはあったと思います。向こうに行くと、輸送も長いですからね。
-:その点、今回は12月29日の開催。渋滞も予想されますね。レース後、福永騎手とは何か言葉を交わしましたか。
北:レース後はちょっとだけだったのですが、(馬を)受け取りに行った時に「ポジション的には理想的で、交わせると思ったけど……」と言っていました。堅実なので、馬券圏内には来てくれるかなと思ったんですけどね。
-:これからの調整スケジュールはどのようになりそうですか。
北:29日がレースで、追い切りは月曜日ですね。普通なら全休日でしょうが、28、29日に使う馬は馬場が使えるので。
-:中3週くらいで、間隔が詰まっているから、そこまではやられないですか?
北:いや、分からないですよ。今日(12/20)も日曜日(12/17)も坂路を53秒くらいで上がっていますから。
-:良くも悪くも、いつも通りと。
北:カイバも食べるし、体調自体はずっと良いですね。それが良いんじゃないですか。体調面は元気ですしね。
-:馬体重は前回増えていましたね。次回はどれくらいの見込みでしょうか?
北:いまがチャンピオンズSと同じくらいですよ。(大井まで)輸送があるのですが、普通にやっていれば、それなりになると思いますね。
-:大井の馬場は水分を含むと砂がへばり付きやすかったり、けっこう特殊な訳じゃないですか。それでも上半期に(帝王賞で)こなしているというのは、適性が高いのかもしれませんね。
北:大井は合うんじゃないですか。言ってしまえば、土っぽい、ベタベタした馬場ですからね。帝王賞の時もJBCとそんなに変わらなかったですよ。中央のようなパサパサじゃないので、ちょっとペタッとして。重たかったですね。ジャパンダートダービーの時に初めて大井に行って、大井では2、1、2ですね。
-:大井の出張馬房は良い環境だそうですね。
北:そうそう、大井はエアコンが付いているので、暖かいですよ(笑)。夏も扇風機を持って行かなくて良いので。
-:それで大井の成績が良いのか……。
北:次で4回目ですからね。たくさん走っている競馬場が少ない中で、成績が良いですから。
-:しかし、しっかりと食べていますよね。
北:これは強みですね。前にも言ったように放牧に出ていない馬だけに、これが生命線だと思います。輸送したばかりは身体も落ちますけど、体重の回復は早いです。
-:大井の時は、夜の競馬でカイバのタイミングを変えたりといったことはないですか?
北:いや、本当に普通ですよ。ここにいる時と同じ時間帯にやって、競馬の何時間か前にやって。
▲17日は三津谷騎手が騎乗して坂路で52.9秒
▲20日は福永騎手が騎乗して坂路を53.0秒で追い切りを消化しているケイティブレイブ
-:しかし、マイペースですね。餌がなくなれば、前掻きをしたり、扉を引っ張ったりとしっかり自己主張もする(笑)。
北:そうですね。この馬は何をやるのもマイペースですね。
-:もともとのレースの形も極端なものではありましたが、もしかすると、そういった競馬が合うのかもしれないですね。
北:どうなんですかねぇ……。ケイティブレイブにどんな考えがあるのか、何が正しいのか、良いのか、合っているのか分からないですけどね。
-:北谷さんの担当馬は同じ日の園田にも向かわれるということで、2頭出しの29日。レースに向けて、意気込みをお願いします。
北:いつもちゃんと堅実に走ってくれるのでね。ここでも良い結果をみせてくれればと思います。
-:理想の馬場はありますか?
北:大井の馬場だったら問わないと思うんですけどね。
-:いまも脚で餌を要求していましたよ。
北:いつもですよ。残っているくせに、新しいのを欲しがるので。飼い猫と一緒ですね(笑)。後に残しておく分と、いま食べる分と。
-:ボクはそんな自我の強いケイティブレイブなので、帝王賞の時のような馬の気に任せた競馬をみてみたいです。
北:ハハハ、頑張ります(笑)。
プロフィール
【北谷 洋】 Hiroshi Kitatani
1986年生まれ、兵庫県出身。競馬好きだった父の影響で、自然と競馬に興味を持つ。高校を卒業し、乗馬クラブを経て、千葉の専門学校へ。
JRAの厩務員課程を卒業後、今はない湖南牧場で勤務の後、トレセンに入ってすぐにケイティブレイブを担当。仕事上のポリシーは「そんな大層なことは考えていませんよ」と恐縮しつつも、「馬も人も安全にやれるように」と意識している。
趣味は高校時代にもやっていた野球。トレセンの草野球部にも所属しており、作業ウェアも野球メーカーのものを着用している。神戸市出身でオリックスブルーウェーブの全盛期を観ていたこともあり、今でも大のオリックスファン。