![前哨戦・東スポ杯は着順以上の好内容 キタサンブラックと鍛えた脚見せる シャルルマーニュ](https://www-f.keibalab.jp/img/column/interview/2017/stabler/075/int.jpg?1514080231)
前哨戦・東スポ杯は着順以上の好内容 キタサンブラックと鍛えた脚見せる シャルルマーニュ
2017/12/24(日)
今年からG1に格上げされたホープフルステークス。中距離路線のG1ということもあり、素質馬も揃えば、その一方で良血馬がもてはやされ易いことも事実。その点、東京スポーツ杯2歳ステークスで3着に粘ったシャルルマーニュは、夏場から中京、小倉、東京を渡り歩き、着実に力をつけてきた一頭。中山は初出走だが、東スポ杯でみせた粘りはここで光るの可能性を信じ、清水久詞厩舎の若きホースマンを直撃した。
-:シャルルマーニュ(牡2、栗東・清水久厩舎)でホープフルステークス(G1)に臨まれる吉田助手ですが、先週、朝日杯フューチュリティS(G1)のカシアスはちょっと残念な結果(7着)でしたね。
吉田光希調教助手:そうですね。見せ場はありましたけどね。
-:ちょっと出して行くというか、スタートが良かったからしょうがないですけどね。
吉:そうですね。勝ちにいった競馬で、その分、最後に甘くなっちゃいましたね。勝負しにいった結果ですから。
-:来年の予定は決まりましたか?
吉:来年は、とりあえず今の体の状態を見てからなのですが、シンザン記念もありそうです。どうするかと言うのは先生(調教師)の判断ですが。ジョッキーは「マイルでも行ける」と言っていたので。もちろん短距離がベストなのでしょうが、最後の坂で鈍った部分もあるので。あのメンバーで正攻法の競馬ながら、ソコソコやれているので。
![シャルルマーニュ](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/interview/201712/171223_yoshida.jpg?1514114665)
▲吉田助手が担当していたカシアスも朝日杯FSに挑んだばかり 2歳G1にいずれも臨むことになる
-:来週のホープフルSということで、無事、抽選もなく出走できそうですね。
吉:とりあえず出走は可能ですね。馬体の張りや乗った感覚も、状態は良さそうですけどね。ポテンシャルは高い馬だと思います。
-:失礼ながら、デビュー時期の競馬を考えると、前走のパフォーマンスは予想を上回るというか、個人的には驚かされました。東京スポーツ杯2歳Sの前半58秒台を3番手(追走)で、そのまま3着と、強い競馬をしたと思うのですが。
吉:あのペースで行って、あれは強い競馬でしたね。それに若干行きたがる面を見せているので……。オープン(アイビーS2着)の2走前も逃げ馬に残られましたけど、似たような競馬でしたからね。でも、厩舎の中では「走るんちゃうか」と当初から言われていて、けっこう期待されていた馬だと思うので。僕は夏場、北海道にいたので当時の細かな調教は把握していませんが、徐々に力は付けてきていますね。
-:ルーカスも人気を集めそうですが、あの展開を考えたら、今回に関してはこちらの方が上の競馬をしていますからね。
吉:ええ、してきていますね。
-:しかも、血統や脚質を考えると、中山になるのは現段階ではプラスでしょうからね。
吉:プラスでしょうね。中山は良い方向に出て、良いんじゃないですかね。
![シャルルマーニュ](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/interview/201712/171223_yoshida02.jpg?1514114665)
▲東スポ杯はハイペースを先行して粘り強く3着に残った
-:普段の気性や性格はどうですか?
吉:性格的に言うと、気負いがちなところもあるのですが、走り出したら真面目で素直に走ってくれます。少しテンションが上がるところもありますが、走り出した時は特にテンションの高さは感じず、キャンターを含めリラックスしていますね。ただ、気性的にはうるさい面はあるのかもしれないですね。
-:キツいという程ではないわけですね。割と序盤は折り合いに苦労している感じがします。
吉:まだ2歳で、後ろの方に筋肉が付き切っていないので、ちょっとデレッと行ってしまうのもあるでしょうね。後ろが非力で、ハミに頼ってしまうところはありますね。先生とも相談しながら、そこを修正するように意識しつつ、上体を起こしてくれるように、という調教はしていますね。普段の調教はなるべくハミに頼らせないように、後ろに重心を持っていっています。
-:そういうことだったのですね。パドックを観て気になっていたのは、ちょっと後ろが弱そうな感じがしたので。
吉:まあ、そうですね。でも、そんな筋肉質なタイプでもないので。どちらかと言うと柔軟な走りをする、バネを利かして推進していくようなキャンターをしているので、そう考えると、柔軟さを失わないで、徐々に後ろに筋肉が付いてきたら良いかなと。
-:その点、脚質的には中山は直線も短いから良いのですが、坂があるというのは……。
吉:そうですよね。坂がありますからね。そこはどうですかね。走ってみないとね。先行力を活かせるものの、坂は不安な要素かもしれないですね。
-:今後、将来的にはどういう条件が合う馬になってきそうですか。
吉:出来れば中距離路線で行きたいと思います。走り方や乗った感覚では、折り合いは問題なさそうなのですが、競馬を観ていると、どうしてもハミを噛んでしまう部分があるので、そこを上手く調教でケアしたいです……。体を見ていると、マイルという感じでもなさそうなんですよね。スラッとした感じなので、気性面ですかね。
-:前回はジョッキーが替わっているので、折り合い面がどうだったか分からないですが。
吉:それに、あのペースで行っているのでね。それでも、(折り合いに)苦労している感じはありますよね。やっぱり競馬に行ったら、ちょっとカリカリしちゃっているのかなと。
「シャルルマーニュが先行して、キタサンブラックと同入を意識しました。キタサンブラックが後ろから来たら、もう一段階ギアも上がりますし、道中の折り合いも全く問題なかったので、予定通りでしたね」
-:ちなみに、先週の段階では「今後の追い切りスケジュールはどうなるか分からない」という話でしたけど、日曜日が最終追い切りでしょうか?
吉:そうですね。日曜日はコースが左回りですが、ウチはけっこう右回りで追い切ることが多いので、週末に下(コース)で追い切ると思いますね。
-:11月くらいの追い切り映像が残っていたのですが、その時は坂路でしたので、厩舎としては珍しいなと思って。
吉:そうでしたか。基本的には、最近はCWばっかりですかね。
-:看板馬(キタサンブラック)が下ですものね。
吉:そうですね。先週末も一緒に併せ馬をやっていますけどね。土曜日に終いだけ。良い動きをしていましたね。
-:ちなみに、キタサンブラックと併せた先週の動きはどうでしたか?
吉:シャルルマーニュが先行して、キタサンブラックと同入を意識しました。キタサンブラックが後ろから来たら、もう一段階ギアも上がりますし、道中の折り合いも全く問題なかったので、予定通りでしたね。
-:今回は看板馬のパートナーを意識した併せ馬だったと思いますが、前回はハイペースを追走して残るという競馬でした。現状どういう脚の使い方がこの馬にとってベストだと思いますか。
吉:溜めたら切れると思いますね。あれだけ流れた状態で残っているので、それを上手いこと溜めさせることが出来れば、終いは良い脚を使えると思いますね。
-:前回でポテンシャルが絶対にあるなというのを証明していますからね。そして、夏からは割りと使われていますが、その点はどうですか。
吉:疲れは見られないですけどね。毛艶も落ちていないですし、体もフックラ見せて、体調面は良さそうですね。乗った感触でも、そこまでダメージがあるようには感じないですね。あんまり調子が良くない時は、以前の担当者に聞いたら「トモも尖ってくる」と言っていましたが、今はトモの張りもありますし、後ろの付いてきて欲しいところに肉が付いてきている感じがありますね。
「前に壁が出来やすい方が折り合い面は良いかもしれないですね。モマれて逆に折り合って、今まで見せていないようなキレ味をみせてくれれば」
-:現状、1勝馬でしかないので、賞金を加算したいですよね。
吉:加算したいですね。前走(東京スポーツ杯2歳S)も2着に残せれば、賞金を加算出来ていたのですが、最後、ルーカスにクビ差交わされましたからね。
-:コーナーリングはどうですか?
吉:コーナーリングや左右の回りは問題なさそうですね。普段も水勒ハミで、ノーマル。特にクセがあるような馬でもないので、どちらかと言えば乗りやすいタイプですね。
-:あとは前進気勢が噛み合ってくれば。
吉:そうですね。自在性があって、調教のように行ってくれれば良いですね。競馬場に行くと、やっぱり燃える部分があるのだと思いますね。聞いた話では「若干気が入ってしまう」というのは言われたので。パドックやでもちょっと煩いみたいですし、普段は大人しいので、こっちにいる時とは違うのかもしれないですね。
![シャルルマーニュ](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/interview/201712/171223_yoshida02.jpg?1514114665)
▲夏場からコンスタントに使われ、力をつけてきたシャルルマーニュ(2017年8月に撮影)
-:長距離輸送に関しての心配はなさそうですか?
吉:そこはずっと大丈夫だったので。普段は大人しいですし、そんなにイレ込んで、輸送でどうということはなさそうですね。小倉も東京も行っていますしね。
-:馬場が悪くなったらどうですか?
吉:どちらかと言えば、良馬場の方が良いのかなと。ちょっとハミを頼る分、ノメりやすいですし、走りが軽い感じがするので、良馬場の方が良さそうですね。
-:ネオユニヴァースとヴィクトワールピサはまたちょっと違うのかなと。
吉:違いますよね。ヴィクトワールピサはけっこう煩い馬が多いのかな……。
-:しかし、母父が(サクラ)バクシンオーと言ったら、清水厩舎のイメージがあります。
吉:カリカリするのは、そこの部分が出ているのかなという感じがするので。体つきを見たら中距離路線ですが、気性的な部分が短距離譲りのモノがあるのかもしれないですね。
-:しかし、キタサンブラックはそういうところがないという。
吉:キタサンブラックは落ち着いていますし、全くそういうところがないですね。オーラがありますもん、ハハハ。
![シャルルマーニュ](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/interview/201712/171223_yoshida04.jpg?1514114665)
-:当たり前ですが、やっぱり枠は内の方が良いですか。
吉:そこまで気にしていないんじゃないですか。でも、前に壁が出来やすい方が折り合い面は良いかもしれないですね。モマれて逆に折り合って、今まで見せていないようなキレ味をみせてくれれば。
-:折り合って、秘めた切れ味を使ってくれるならば。
吉:ええ、そんな競馬が見たいですね。なかなか勝ち切れないけど、ポテンシャルが高いんですよね。やってきた相手が全部強いので。
-:年内最後の競馬でしょうからね。
吉:今週の有馬記念に続いて、良い結果が残せれば良いですね。
-:カナヤマホールディングスの清水厩舎支部担当として(笑)。
吉:いや、(カシアスに続く担当は)たまたまですよ(笑)。でも、結果を残せるように頑張りたいですけどね。
-:ありがとうございました。また、来年取り上げさせてください。
プロフィール
【吉田 光希】Koki Yoshida
父も祖父もいとこもトレセン勤務。兄の吉田宏樹調教助手も現在、高野友和厩舎に所属し、ショウナンパンドラを担当していた筋金入りの競馬一家出身。栗東高校を卒業後、島上牧場、宇治田原優駿ステーブルなどを経て、栗東トレセンへ。トレセン歴は3年目だが、将来を嘱望される若き調教助手。