鮫島克駿騎手が、一流ジョッキーへの階段を着実に上っていく。3年目の2017年は初の北海道滞在で結果を残し、JRA通算100勝にも到達。父・克也、兄・良太も騎手という"サラブレッド"でも、休憩なしで調教に乗り続けて技術を磨いてきた。かの名騎手も評する期待の若手に、揺るぎない信念と今後の目標を聞いた。

(取材=競馬ラボ・小野田)
取材日:2017年12月20日

自ら調教の騎乗を志願する日々

-:デビュー3年目を終えようとしていますが、個人的には、いつかインタビュー出来ればと思っていました。よろしくお願いします。

鮫島克駿騎手:ありがとうございます。よろしくお願いします。

-:というのも、昨年の北海道でも頑張られている姿を観ていて、結果も残されていると思っていたので。今後の成長が楽しみな若手ジョッキーの一人だと思っていました。特に、夏のローカルというのは若手が活躍しやすい場だと思うのですが、その中でも北海道は調教と実戦が結び付きやすいというか、調教で乗っていないとレースで乗れないですよね。

鮫:今年初めて函館に行きました。関東、関西含めて、ジョッキーもたくさん調教に乗っていましたし、スゴく刺激になりましたね。初めての競馬場でしたし、こっちで乗っていたら、関東の厩舎の方にもそんなに名前も知られないと思うのですが、北海道で結果を出せれば、所属を問わず見てくれますし、行って良かったと思っています。

鮫島克駿

▲4年目となる2018年シーズンへ意気込みをみせる鮫島克駿騎手

-:函館でもインタビューをやらせてもらいたいと思ったのですが、ひっきりなしに調教に乗っていましたよね。トレセンよりも狭いのに、回ってきたら下りて、またすぐに乗って、という感じでしたからね。

鮫:多い時で12頭くらい乗っていましたね。

-:他の若手騎手と比較してもスゴく乗っているなと。

鮫:僕は、もともと馬に乗るのが好きでこの仕事をやっているので、自分の空き時間があったら、厩舎の人に声を掛けて乗せてもらえるように、自分から声を掛けています。

-:そういった積極性はあるわけですね。

鮫:ハイ。乗せてもらえるのはありがたいことですし、調教にたくさん乗って、それがレースに繋がるのだったら、絶対にたくさん乗った方が良いなと思って、火曜日からたくさん乗るようにしています。

-:トレセン以外、牧場でも乗ったり、競馬開催日は乗らないですか?それにしても、1週間にするとけっこうな量かと思います。

鮫:牧場ではほとんど乗ることはないですが、開催日は調教に乗ってから競馬場に向かいます。毎日乗っていても苦にはならないですし、数を乗ることで引き出しが増えるかもしれませんから。尊敬する先輩方に一歩でも追いつけるように数を乗って上手くならないと、と思います。

調教に乗る理由「馬は生き物、絶対に1頭1頭違う」

-:その調教で心掛けているポイントもあれば教えてください。

鮫:調教師の先生からの指示があるので、厩舎の調教方法通りにしっかり乗ることですね。あとは馬とのコンタクトや雰囲気を感じ取って、レースに行ったらどうなのかをイメージして、これくらいの扶助で馬がどれだけ動くのか、少しの合図でスゴく反応するのか、そういうレースに繋がることを考えながら乗っています。

-:当然ながら、色々な厩舎があって、厩舎によっての調教スタイルがありますものね。

鮫:そうですね。それは厩舎に合わせたいと思います。乗ることで勉強になりますから。馬にも1頭1頭個性があって、全く同じ馬は存在しないので、たくさん乗っていろんなことを吸収していきたいです。

-:ちなみに、調教はどの厩舎に乗られていることが多いですか?

鮫:だいたい水曜日は、週末の競馬で乗る馬が多いですね。自厩舎(浅見秀一厩舎)はレースで「乗る・乗らない」を問わずに乗りますし、他にも沢山乗せていただいています。乗せてもらえる厩舎があるなら積極的に乗りたいと思っています。

鮫島克駿

▲所属する浅見秀一厩舎といえばレインボーラインの調教に騎乗することも

-:木馬も乗りますか?

鮫:乗りますよ。僕も木馬に乗ってフォームのチェックをしています。

-:香港のモレイラさんも、実際、香港の現場で調教に沢山騎乗されているのも見受けられましたが、木馬で練習しているのがグリーンチャンネルで映っていましたね。ただ、日本の地方競馬というのは、調教の頭数も多いと思います。克駿さんにも少なからずルーツがあると思いますが。

鮫:僕の父(佐賀競馬・鮫島克也騎手)も地方競馬の騎手なので、幼い頃から見てきました。環境が違うので比較はできませんが、もっと乗りたいのは乗りたいですね。コースによっても乗り方を変えないといけないのもありますし、学ぶことはたくさんあります。そういった部分をしっかりと意識して乗っています。

-:技術的なこととで言えば、周りの若手ジョッキー同士でそういう話はされるのですか?

鮫:正直、そういった話はあまりしないですね。上手いな、参考にしたいな、と思ったら自分でも試してみて、良いと思ったらそれを取り入れています。

-:上手いという意味では、刺激になるジョッキーはいますか?

鮫:みなさん上手です。僕はもともと福永祐一さんに憧れていました。デビューした時も最初は右も左も分からないし、どれが正解かも分からないので、主に祐一さんと四位さんに聞いていました。

「普段、使っているレギンスがえんじ色なのですが、それも祐一さんの真似で始めたんですよね。本当に今でも格好良いです。憧れですね」


-:そこはお父さん(鮫島克也騎手)ではないのですか。

鮫:身近な存在だったら父なのですが、競馬場でレース後に直接言ってもらうのと、後に電話で聞くのとのでは、細かい部分で違いが出てくると思うので。でも、あまり父親には聞かないですけどね。あと、使っているレギンスがえんじ色なのですが、それも祐一さんの真似で始めたんですよね。本当に今でも格好良いです。憧れですね。

-:競馬のスタイルについても教えてください。手綱の持ち方はどうですか?

鮫:僕は長いと言われます。短いか長いかに分類したら、僕はけっこう長い方だと思います。もちろん馬によっては変えますけど。例えば2歳はフラフラし易いので、コンタクトを強めに取りたいときはちょっと詰めます。

-:「手綱は長め」という話でしたが、鐙(あぶみ)はどうですか?

鮫:鐙はちょっとこだわっていますね。ベースは既製品なのですが、滑り止めとしてゴムを巻き付けていて、それを馬具屋さんにオーダーして作ってもらった物と、踏むところが広めの物があります。たまに鐙を変えたりするのですが、やっぱり自分が使っている鐙が一番シックリきますね。

初の北海道滞在で自信「調教していた馬で結果出せた」
鮫島克駿騎手インタビュー(2P)はコチラ⇒

鮫島克駿

▲馬具へのこだわりものぞかせてくれた鮫島騎手 レギンスの色は福永祐一騎手の影響だ