2017年の最優秀2歳牝馬・ラッキーライラックが、3月3日(土)のチューリップ賞(G2)で始動する。新潟のデビュー戦から無傷の3連勝で阪神ジュベナイルF(G1)を快勝。桜花賞の最有力候補に挙がり、秋には凱旋門賞への参戦プランも浮上している。初戦から手綱を取ってきた石橋脩騎手とラッキーライラックは、偶然にも同じ4月3日生まれ。レースだけの騎乗で競馬を教えてきたジョッキーに、クラシック制覇への抱負を聞いた。

「アルテミスSは雨で返し馬からノメっていたんですよ。走りづらかったので、余計に力が入って行きたがりました。リズムは良くなかったですし、勝ったのは能力だと思います」


-:ラッキーライラック(牝3、栗東・松永幹厩舎)について石橋脩騎手にお伺いします。センスの良さを感じる内容で3連勝してきましたが、一番の長所はどこですか?

石橋脩騎手:上手に折り合いが付きますね。1戦1戦いろいろなことを覚えて苦しくなることもありますけど、そういうことも含めて我慢して、理解して走ろうとしてくれています。

-:新潟のデビュー戦は抜群のスタートから先行集団に取り付いて、直線で外に出してからは素晴らしい切れ味を見せての完勝でした。初めて乗った感触、レースで気をつけていた点を教えてください。

石:返し馬に行ったら動きも良かったので、少しでも馬込みの中に入れて抜けてきたりということは「できればやりたいな」くらいには思っていました。でも初めてのレースなので、馬に「競馬は怖い」と思わせないように乗りました。どのレースもそうですけど、狭いところに入ってゴチャゴチャしたりアクシデントに巻き込まれないように、特に注意していましたね。

石橋脩

▲新馬戦からコンビを組む石橋脩騎手とラッキーライラック

-:2戦目のアルテミスSは外枠でしたが、好位から抜け出しての快勝でした。手応えは十分でしたか?

石:雨で少し馬場が悪くて、返し馬からノメっていたんですよ。新馬戦が新潟の走りやすい馬場だったので、それが少し気がかりでした。2戦目だから競馬っていうものもわかったので、馬に「走らなきゃいけない」という気持ちが強かったですね。だから道中、ガーッと行かないようには気をつけて、そのぶん抑えた部分はありました。

-:道悪も問題もなくこなしているように見えましたが?

石:走りづらい馬場だったので、余計に力が入ってかなり行きたがりましたね。バチャバチャと音もしていたので、けっこう気にしながら走っていたし、1戦目の落ち着いた感じと比べると、いろんなことに気を使ったレースでした。力がついてくれば道悪でも走れると思いましたが、初めての経験だったので返し馬からリズムは良くなかったですし、勝ったのは能力だと思います。

石橋脩

▲初経験の雨に戸惑っていたというアルテミスSも快勝

石橋脩

▲阪神JFは中団で折り合い、見事な差し切り勝ち

-:前走の阪神ジュベナイルFは関西圏の競馬でした。乗ったときの雰囲気はいかがでしたか?

石:新馬と2戦目で雰囲気が違ったので「どういう感じになるのかな」と思いましたけど、G1の時はパドックで跨った時に落ち着いていました。正直、返し馬も2戦目よりいいくらい。状態は常に上手に仕上げてくれているので気になることはないですけど、精神的にすごく落ち着いていたので「今日は大丈夫だな」と思いました。

-:レースは中団から進めて差し切り勝ち。先行して抜け出した2戦とは少し違う形でしたが、作戦面での指示などはあったのですか?

石:ないですよ。新馬戦の時も、出走が決まってから先生(松永幹夫調教師)に電話して「クセはない」と言われたくらいで、事前情報はほとんどありません。勝手な想像ですけど、先生は名ジョッキーだったので、自分の感覚に任せてもらっているのかな。だからこそ、なんとか結果を出したいですよね。

「勝手な想像ですけど、先生(松永幹夫調教師)は名ジョッキーだったので、自分の感覚に任せてもらっているのかな。だからこそ、なんとか結果を出したいですよね」


-:無敗のG1馬がいよいよチューリップ賞で始動します。本番へ向けてどのような競馬を思い描いているか教えてください。

石:僕はレースの3回しか乗っていないので、今回も当日の返し馬で精神面を見てからです。G1では中団くらいになりましたけど、スタートも良い馬ですし、位置取りは気にしていません。ペースにもよりますけど、勝てる位置にはいたいですね。

-:石橋脩騎手にとってもクラシック制覇の大きなチャンスだと思います。例年とは違った心境ですか?

石:プレッシャーとかはないですよ。勝負の世界ですから。実力、実績がすべて。1戦1戦、頑張るだけです。