森裕太朗ロングインタビュー(後編) 目標とする先輩、自身の素顔、3年目に誓う目標とは?
2018/3/1(木)
-:これから自分のこういうところを伸ばしていきたい、という考えはありますか?
森:先程と同じですが、「差しが得意」と言ってはいるものの、実質踏み遅れているだけというのもあるので。しっかり流れに乗って付いていって、どうしても前々で競馬をして欲しい、という馬もいるので、それで踏み遅れてしまったらどうしても勝てないので、しっかり流れに乗った競馬ができるようにすることですね。あとは、先輩ジョッキーに怒られることが多いので、怒られないように周りをしっかり注意して競馬をすることですね。
-:ゲートに関してはどうですか?
森:ゲートに関してはそんなに苦手ではないと思いますね。今まで通りで、もう少し速く出られれば良いですけど、それを目指したいですね。今は全体的な技術向上ですね。
-:逃げた時のペース判断はどうでしょう?
森:それもあやふやなので、速い時がけっこう多いので。でも、そこは経験というか……。
-:難しいですよね。逃げ馬というのは、少々速いペースで離して逃げないと能力が出せない馬もいるし、しかも枠に影響されますからね。
森:難しいところですね。
-:絶対に逃げたい時は、案外内よりも外の方が良いので。
森:そうですね。馬場が悪い時もね。開催最終日くらいになってくると、(内が)悪くて外が良くなって。
-:今の時季でいえば、特にダートの馬場読みも必要になりますよね?凍結防止剤も入って。
森:ええ、考えて乗らないといけないですね。ただ、普通、良馬場だったら、どちらかと言うと後ろから差せますから。重馬場の方がペースは多少、速くても前々が残るじゃないですか。不凍剤が入ると前々で競馬をした方が良いのかもしれないですね。
-:森騎手の鐙はモレイラが使っていたものを使っているのですか?
森:いや、使っていないです。1回履いてみたのですが、使いにくかったので止めました。自分が慣れている物の方がしっくり来ますからね。どうしても、どこか踏み辛かったですね。本当は広いから踏みやすいのでしょうが、しっくりこなかったので。すぐに脱げないといいますか、広いから引っ掛かるので。
-:広いし、踏む面にギザギザが多いですね。モレイラはちょこんと乗っているけど、サトノクラウンが香港で勝った時に珍しくズボッと入っていて、多分ギザギザが多いから、踏み変えにくいのでしょうね。森騎手モデルはどういう鐙ですか?
森:いたって普通の鐙ですよ。特にこだわりはないので、市販されている物を使っていますね。もともと道具にこだわりはないですからね。
-:道具は自然派と。
森:そうです。レース中で考えているのは、なるべく馬のペースに合わせて体力を最後まで温存して、最後にしっかり力を出し切れるような競馬を心掛けていますけどね。まだまだそこは流れですよね。
-:イン狙いへの意識はありますか?
森:イチかバチかということが多いですからね。頭数が少なかったらインを突いても良いですけど……。最初の頃は競馬終わりでけっこう疲れたりもしていましたが、段々と慣れてきて、しっかり乗れるようになってきているので、あとは姿勢だったり、細かい下半身の強化ですね。
-:特別なトレーニングはされているのですか?
森:トレーナーの人が付いて、主に体幹強化ですかね。あんまり筋肉を付けるようなことはしていないですね。筋肉を付けてしまうと体重がしんどくなってしまうので。割と重い方ですから。競馬の日は1キロくらい落とします。普段は50いくかいかないかですね。
-:いま、具体的に目標にしているジョッキー像であったり、先輩もいれば教えてください。
森:目標は和田さんや幸(英明)さんみたいなジョッキーになりたいですね。ガッツがあって、最後までしっかり諦めないという姿勢と乗り鞍もすごいですからね。乗り鞍が多いということはそれだけ周りの人望があるわけですし、人柄も素晴らしいので。騎乗に対する心構えと乗鞍の多さ、その2つを目指して頑張りたいですね。それが、和田さんと幸さんかなと思っているので。
-:今は同じタイミングで競馬学校を卒業した坂井瑠星騎手も海外に行かれていますね。若手騎手も海外という流れが少しずつ出来てきています。
森:正直なところ、海外よりも、今は自分のことで精一杯ですね……。悪いところを直そうとしても、次にできるかと言ったら、同じことをしていますからね。
-:それで、良くないと気づけているのならば、良くしようと思ってちゃんと分かっていれば、いつかは。
森:自分からモーションを掛けていかないとダメなのですが。
-:そんな森騎手ですが、クセ馬が得意だったりしませんか?気性の激しい馬、乗りにくそうな馬に積極的に乗るようにしているんじゃないのかと。
森:いや~そんなことはないですよ。
「乗ってくれ、と言われれば、どんな馬でも乗るつもりです。そこは、ちゃんと最後まで無事に乗れるように、最後までしっかりゴールできるようにすることを目標にしています」
-:でも、厩舎スタッフからも難しい馬を乗ってくれるという声を聞きましたよ。人がやりたくないことをやるということは一つの武器ですよね。
森:そうですね。「乗ってくれ」と言われれば、どんな馬でも乗るつもりです。そこは、ちゃんと最後まで無事に乗れるように、最後までしっかりゴールできるようにすることを目標にしています。
-:具体名は挙げなくて良いですが、記憶に残るクセ馬みたいなのはいましたか?
森:とある馬で、逃げて勝たせてもらったのですが、少し操縦が難しくて、自分のいうことを聞いてくれたら良かったのですが、内にササるので本当に怖かったです(笑)。馬に乗っているのが怖いというより、他の人に迷惑を掛けてしまいそうだったので。その馬は外にいたら内にササるし、内にいたら、内の馬を潰すように内に入っていくんですよ。
-:でも、結果を出さないといけないというのもあるけど、ケガをしないというのもジョッキーとして大事なことですよね。幸さんも落馬事故が少ないですしね。
森:確かに事故なく、いっぱい乗られていますからね。
-:ああいう沢山乗っている人は、危ない馬が混じっているはずでも、それでもケガをしないですからね。
森:本当に上手く乗られているのだなと思います。