日本大好き!急須で緑茶、デパ地下で買い物 驚異の対応力持つドイツの名手 F.ミナリク騎手
2018/3/21(水)
-:思い出の馬はいらっしゃいますか?
ミ:何頭かいますが、クラスの意味で一番お世話になったのはアイヴァンホウです。G1を2つ獲って、自分のキャリアを支えてくれました。
-:尊敬するジョッキーはいらっしゃいますか。
ミ:自分の世代で言うと、やっぱりフランキー・デットーリです。自分にとっては神様です(笑)。昔から本当に尊敬しています。彼はゴドルフィンと契約を打ち切った後、「フランキーはもう終わりだ」と、色々な人からバッシングに遭いました。でもそれを乗り越えて、ゴールデンホーンやエネイブルという良い馬たちと共に凱旋門賞で結果を出して復活出来るというのが素晴らしい。彼にはもっともっと長く乗って欲しいし、自分が騎手を辞めるまではフランキーにずっと騎乗して欲しい気持ちがあるので、応援しています。
-:ご自身のセールスポイントを教えてください。
ミ:フランキーほどの腕は持っていないかもしれませんが、自分にとって一番大事にしていることは一生懸命やることです。どんなレースでも毎回100%、全力で、集中して結果が出せるようにやり続けられることが自分のセールスポイントです。
-:また話は少し変わりますが、2014年のジャパンC、アイヴァンホウが初来日なのでしょうか。
ミ:そうです、あれが初めてです。
-:初来日の思い出はありますか。
ミ:ジャパンCの思い出しかないです!パドックでは意外に静かでシーンとしていて、パドックから地下馬道に入って、また出た時の音のギャップは忘れられません。ヘリコプターで取材もしているし、ファンの皆さんがプログラムを使って音を出していて、サッカーのワールドカップのような雰囲気で凄く感動しました。あれは人生で忘れられない出来事でした。最終コーナーではまるで音の壁があるかのような声援を感じられました。素晴らしかったです。
-:ドイツ競馬ではこのようなことがないのでしょうか。
ミ:サッカーの試合ではそのような雰囲気はあるかもしれませんが、競馬では経験がないです。その後もイトウやギニョールでジャパンCに乗りに来ましたが、その時も同じような感覚を受けました。初めてのジャパンCは本当に一生忘れられないですよ。
-:初来日前から知っていた日本馬はいたのですか?
ミ:シンボリクリスエス、テイエムオペラオーは日本に来る前にもちろん知っていました。あとエルコンドルパサーは凱旋門賞でも勝ったかと思いましたよ。もちろんディープインパクトやオルフェーヴルも知っています。
14年ジャパンCでアイヴァンホウに騎乗し6着(写真左)
-:今回短期免許で来日して、仲良くなったジョッキーはいらっしゃいますか?
ミ:ウチダさん(内田博幸騎手)!彼は英語を話せないけど、一生懸命コミュニケーションを取ろうとしてくれるナイスガイです。お互い言葉ではなく身振り手振りでコミュニケーションを取っていますね。
-:フェブラリーSの日、内田さんとミナリクさんが検量室で握手しながらしゃべっていて、内田騎手が一瞬ドイツ語をしゃべれるのかと思いました。
ミ:あれは「国際騎手語」という言葉です(笑)。ジョッキー同士では通じることがあるので、それでコミュニケーションを取っています。日本競馬はとてもフェアで良いです。
-:先ほど「ドイツではシュタルケ騎手と仲が良い」とおっしゃっていましたが、一番仲が良いのはシュタルケ騎手なのでしょうか?
ミ:シュタルケと、あとはペドロサ。プライベートでも、この2人とはとても仲が良いです。ペドロサとは若い頃ドイツのローカル競馬で調教ライダーをやっている頃から一緒に同じような仕事をやってきました。シュタルケは、シールゲン厩舎に入ってからこの10年くらいで更に仲良くなりました。競馬のアドバイスもよくもらいます。今回来日するにあたり、日本のアドバイスも色々もらいましたよ。シュタルケは自分の結婚式にも出席してくれたのですが、結婚式の翌日がドイツオークスで、確かシュタルケは勝ったと思うのですが、大事なG1の前日でも結婚式にも来てくれたり、プライベートでも非常にお世話になっています。
-:シュタルケ騎手からは日本での生活面で、どのようなアドバイスは受けましたか。
ミ:今でも毎週電話で話をさせてもらっていますが、地下鉄や電車の乗り方、使い方から、僕はこういうところに滞在していたとウィークリーマンションの写真を見せてくれたりしました。あと日本に来て、自分にとって初めての経験だったのが調整ルーム。これも事前にシュタルケ騎手から色々聞いていて、「洗濯もしてくれるよ」「何でも食べられるし、シャワーとかサウナとかお風呂もあるよ」と教えてもらっていました。来るまでは全く経験をしたことがなく一番不安なところだったので助かりました。
-:調整ルームは良いですか。
ミ:好きですね。本当にホッとするというか、調整ルームに入って携帯がないことは、逆に自分にとってとても平和です。ドイツだったら、前の日に仕事のことなど色んな電話が入ってくるんです。それを一切心配しなくていいから楽ですね。映画やドラマを観たり、グリーンチャンネルでレースリプレイを観ながら、日本の競馬についての勉強や、色々なポイントを確認しています。
-:他の騎手とおしゃべりしたりはしますか?
ミ:言葉にちょっとネックがありますが、いつもみんな英語が出来なくても一緒になって教えてくれて、お世話になっています。飲み物を取ってお金を払おうとすると「それはお金はいらないよ」とか、実際に言葉が通じなくても、みんなコミュニケーションを取ってくれるので、温かい雰囲気でとても良いです。もちろんデムーロ騎手やルメール騎手がいると色々な話が出来ますが。調整ルームは東京、京都、中山を経験しましたが、サウナの設備などクオリティが最高なんです。素晴らしい。サウナが凄く良くて感動しました。
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フィリップ・ミナリク騎手インタビュー(4P)はコチラ⇒
プロフィール
【フィリップ・ミナリク】Filip Minarik
1975年3月10日、チェコの首都・プラハで、父がチェコ競馬でリーディングジョッキーという家庭に生まれる。16歳で騎手デビューすると、その後ドイツに渡り、名門・P.シールゲン厩舎の主戦を務め、4度リーディングの座に就くなど、ドイツを代表するジョッキーとなった。趣味も競馬と語るほどの大の競馬好きであり、そのフレンドリーな人柄から関係者の間でもファンが急増している。大の親日家という面もあり、刺身など日本食が好物。最近緑茶にハマり、急須で淹れるこだわりを見せている。