レースを嫌がっていた砂のスター 沈黙の2年から完全復活へ モーニン
2018/4/29(日)
-:今年の秋はJBCが京都で行われますね。
濱:これは僕が考えているだけですけれど、今からそこは良いかなと思っていますけどね。今回のかしわ記念、JBCスプリント、もしかしたらマイルCS、秋は少しJBCスプリント以外のダートの番組が、モーニンに向いている番組がないので。それなら、JBCスプリント~マイルCSですが、JBCスプリントを使っちゃうと、日程的にマイルCSが厳しくなっちゃうので、難しいと思いますけど、とりあえずはJBCスプリントが一番チャンスになるんじゃないかなと。
-:そう考えると、ちょうど一番良いところに阪神Cがありますね。
濱:そうなんですね(笑)。JBCスプリント~阪神Cという路線になるのかなと。正直、フェブラリーSを勝った後は、口では謙虚なことを言っていましたが、やっぱりフェブラリーSの競馬を観た後だと、今後負けることはないかなと思っていました。あのメンバーを、あの競馬でアッサリ押し切ってしまうわけだから、あの馬の本気はあれくらいだと思うんですよね……。それだけ能力は高いと思っているので。
-:勝った後に、気持ちのダメージみたいなものがあったのですか?
濱:気持ちのダメージもあっただろうし、その後のかしわ記念(8着)で少しゲートを立ち遅れて、やっぱり今までは砂を被ったこともなかったというところで、馬が競馬を嫌になってしまった気もしますし、何かしらあったんだと思いますね。
-:関西からかしわ記念に挑むと、ゴールデンウィーク中で輸送はけっこう大変じゃなかったですか。
濱:渋滞でいつもより時間は掛かりますけどね。2年前の当日は暑かったですし。毎年、あそこは5月ですけど扇風機も付いて、暑さ対策をしていますね。
-:暑いし、コーナーも増えるし、渋滞もあっただろうし、大変だったと思います。モーニン自体は暑さに強さ、弱さはありますか?
濱:でも、暑い日はあまり好きではないですね。
-:調教時間は、けっこう他の馬が少ない時間を狙ってやっているのですか。
濱:意識してやっていましたね。馬が引っ掛かって、乗り辛い時があったので。前に馬がいると本当にブチ抜いていくくらいの勢いで走っていきますから。それで、後ろからアオられたら引っ掛かる時があって。
-:馬が追い抜きたいという気持ちになるのですか。
濱:追い掛ける馬はいるのですが、それは闘争本能もあるし、そういう調教もしているので。当然前に馬がいたら、それを抜こうという気持ちがあって良いですし、むしろそういう気持ちがあった方が良い場面もあるのですが、その気持ちが強過ぎましたね。馬力も違い過ぎて、行き出したらもう止められないこともあります。簡単に時計になってしまうような感じの時があって、本当に馬がいない時間を狙ったり、他に馬がいないことを確認してからキャンターに下ろしたり、気を遣っていた時期がありましたね。
-:最近は、もう普通に調教をできるように?
濱:今回、放牧に出る前からだいぶ我慢が出来て、良い状態だったと思いますね。後ろから抜かれても知らん顔をして走っていたり。
-:体を維持するために、気を使っているのですか。
濱:いや、そんなに。どちらかと言うと、モーニンはむしろあんまり食べない方なんですよ。
-:そうは思えない体ですよね。
濱:おちょぼ口やし、チョコチョコしか食べないし、量もそんなに食べないんですよね。身体は持って生まれたものかもしれないですが、食事は最低限の量くらいしか食べないです。
-:アメリカの血筋は、大して食べなくてもああなるということですかね。
濱:そうなのかもしれないですね。やっぱり持って生まれた恵まれた体と言いますか、ボディビルダーみたいなすごい体をしていますからね。パワーがすごいですね。上手に乗れている時は本当に力はいらないのですが、馬が行く気になった時は、少し人の力じゃ引っ張り切れないですね。
-:乗り手も選ぶ方ですか。
濱:でも、競馬はそんなに難しい馬ではないと思うんですよ。少しガツンと行くところがあるので、そこを上手に乗れれば、いわゆる(成績が)上の方にいるジョッキーなら、問題ないと思いますね。競馬は乗りやすいのかもしれないですね。
-:ダートなら雨が降った方が良いのかもしれないですね。
濱:乾いたパサパサのダートよりも、脚抜きが良くて、グリップが効く方が良いのかもしれないですね。
-:僕は、スピードがあるから軽い方が良いのかなと思ったのですが、グリップの問題で。
濱:ノリさんが「自分がチップで乗った時の印象と少し違う。精神力が少し弱いのかもしれない」と言っていたので。武蔵野Sの時に「中央の乾いたパサパサのダートだったら、ちょっとグリップが甘いのかも。だから、中央のダートは少し合わないのかもしれない」と。
-:地方の方だったら、合うのかもしれないということですか?
濱:少し重くて、シッカリ走れる方が良いのかなと。だから、少しひと雨でも降ってくれた方が、馬自体は走りやすいのかもしれないですね。でも、条件はみんな一緒になっちゃうのでね。そこは、あまり気にしていたら、キリがないのですが。
「やっている方の手応えからすると良くなっているし、力的には全然衰えていないなという感じがあるから、もう一回大きい舞台でタイトルを獲らせなきゃいけない馬だと思っているので」
-:かしわ記念にはゴールドドリームやノンコノユメなどフェブラリーステークスの上位組が名を連ねます。
濱:珍しいですね。モーニンは2年勝てなくて、ノンコも勝てなくて、同じようにもどかしい気持ちはあったと思いますよ。遠征先で厩舎の人に会って、話を聞くことがありましたから。
-:もどかしい時期を経験した馬同士の対決ですね。
濱:もともと、こっちはライバルだと思っていたので、他にもライバルは一杯いますけど、もう1回、2頭で頑張りたいですね。それに、ゴールドドリームも平田先生ですから。
-:石坂先生とは師弟対決になるんですね。
濱:(インカンテーションの)羽月先生もそうですしね。
-:同門のトリオですね。そう考えれば、インカンテーションも紆余曲折を経て活躍してきましたね。
濱:あの馬はケガがありましたからね。
-:各馬、それぞれ努力の甲斐があって、ここまで登り詰めてくるわけですが、モーニンも前回を契機にここから頑張ってほしいです。ありがとうございました。
濱:ありがとうございました。頑張ります。やっている方の手応えからすると良くなっているし、力的には全然衰えていないなという感じがあるから、もう一回大きい舞台でタイトルを獲らせなきゃいけない馬だと思っているので。
▲モーニンと濱名助手の挑戦はかしわ記念からまた始まる
プロフィール
【濱名 浩輔】 Kosuke Hamana
1984年8月1日生まれ、兵庫県出身。 中学2年生の時に友人の影響で競馬に興味を持ち、乗馬を始める。 武豊騎手がタニノギムレットでダービーを制したレースを観て、「豊さんがインタビューに答えて、関係者が喜んでいる姿を観て、テレビで観ている立場じゃなくて、自分もその輪の中に入りたい」という思いから、競馬界での就職を目指す事を決意。
知人の紹介もあり、重賞ウィナーのダイタクバートラムなどがいた時代に太陽ファームへ約2年半勤務。競馬学校厩務員過程を経て、石坂正厩舎に所属。キャリア2年目にしてブルーメンブラットを担当。現在はモーニンを担当している。