G1で4度の2着は全て牝馬限定 牡馬を倒して悲願達成だ リスグラシュー
2018/5/31(木)
是が非でも欲しいタイトルは、牡馬を倒してつかみ取る。リスグラシューは前走のヴィクトリアマイルでもハナ差及ばず惜敗。G1での2着は4度目となったが、すべて牝馬同士のレースだった。休み明けで快勝した東京新聞杯を含め、牡馬との混合戦は3戦2勝。東京マイルはベストの舞台で、担当の北口浩幸厩務員に悲願達成への思いを聞いた。(1週前段階で取材)
-:安田記念(G1)に出走するリスグラシュー(牝4、栗東・矢作厩舎)についてよろしくお願いします。ヴィクトリアマイルは2着でしたが。
北口浩幸厩務員:本当に「指定席」で、肩を落としていたでしょ、ハハハ(笑)。
-:でも、ゴール前はこれまでの2着以上に際どくて、もしかしたら出ているかもと。
北:でも、ゲートを出てから、バスの中でテレビを観ていて、ゴールに入った瞬間に負けたと思ったから、分かりましたよ。
-:ジョッキー同士でも微妙な態勢だったというくらいでしたが。
北:(勝ったジュールポレールの)西園厩舎の人がいたから、思わず「おめでとう」と言ったもんね、ハハハ。「負けた、おめでとう!」みたいな感じでしたね。
▲リスグラシューを担当する北口厩務員
かつてはトウカイテイオーの調教をつけていた経験も
-:ヴィクトリアマイルはもちろん勝てるチャンスがあると思っていらっしゃったんですか。
北:正直、使う時はいつも勝てると思っていますからね。
-:阪神牝馬Sとヴィクトリアマイルは肩を落としたくなるような。
北:ガクッとは来ているけどね。
-:馬の方はそんなにガクッとは来ていないですか。
北:順調というか、馬体重ももう戻っているし、ダメージはないみたいですけどね。
-:これまでの成績を見ていると、休み明け3戦目に馬券圏内を外しているところをファンは気になっていると思うのですが、そういう意味では、今回は馬体回復が今までとは違うということですか。
北:カイバも食べてくれているし、本当にすごいね。馬に感心しますよね。
-:ここに来て、体の成長はありますか。
北:やっぱり年明けから一回り大きくなって、ユタカ(武豊騎手)も跨って「パワーが付いていますね」と言っていたしね。
-:体重も増えていますね。
北:そうですね。だって、去年から比べたら、20キロくらい大きくなっていますからね。
-:去年も一番大きい時はそれくらいあったんでしょうけど、レースを使う時は減ってしまっていたというところがあって、それが今は。
北:レースでは、やっぱり輸送すると減るんですよ。今でだいたい468~70くらいあるのですが、レースに行くとやっぱり448~50になるから。まあ、東京に行ったらの話ですけど。
-:今回も東京になりますが。
北:東京は何回も経験済みですからね。
-:一番合っている競馬場ですからね。
北:どうなんでしょうね。この馬はどこでも結果を出しているから。
-:あとは中2週のローテーションがどうかということですね。
北:そうそう。
-:あとはテンションの心配ですか。
北:この間が2走目だったので、ちょっと落ち着いていたのですが、東京新聞杯の時はどうなるのか、と思うくらいのテンションだったんですけどね。
-:でも、その時は勝っているんですよね。
北:阪神でだいぶ落ち着いていて、(その次の)東京でもやっぱり落ち着いていたから、東京新聞杯の時はやっぱり久々というのがあったのかなと。あの時はエリザベス女王杯以来でしたからね。
-:リスグラシューはあんまりパドックでイレ込んでいるイメージがないというか、モッサリ歩ける感じがするのですが。
北:東京新聞杯の時は本当に酷かったですよ。
-:僕らがパドックを観る時は、ある程度ユッタリしていた方が良いですか。
北:別に、そんなに気にしていないけどね。
-:今週(1週前)の金曜日に追い切って。
北:金曜日に追い切って、来週の水曜日か木曜日に、反応を確かめる程度にまたちょこっとやって整うと思うよ。
-:斤量1キロ増で、男馬の一線級とやるということですが。
北:でも、この馬が男馬に負けたのは新馬の1回だけですからね。
-:男には強いのですかね。
北:3回しか走っていないからね。でも、男馬相手に東京新聞杯で勝っているからね。
-:同じ舞台ですからね。
北:そうですよ。同じ舞台の、同じマイルで。
-:Cコースに替わって、もしちょっと馬場が荒れたとしても、こなせる馬ですからね。
北:こなせるというか、他の馬がマイナスな面、プラスではないけど、マイナスではないから。
-:マイナスの割引率が低いということですね。今度こそレースが終わった後のバスの中で。
北:本当に何とかして欲しいですけどね。やった~と言って、おめでとうと言われたいですけどね、ハハハ。やっと勝ったねと言われたいね。
-:北口さんにとって、ここは上半期の大一番ですね。
北:これで勝ったら、夏休みですね。
-:けっこう気温が激しく上がったり、下がったりする時季ですけど、どうもないですか?
北:厩の中でもボケッとしているから、今のところ、大丈夫みたいですね。
-:北口さん同様、リスグラシューを応援しているファンは一喜一憂しているレースが続いていると思うのですが、最後に一言お願いできますか。
北:馬はいつも一生懸命走っていますから、懲りずに応援して下さい。
-:最後の伸びを楽しみに応援させていただきます。
北:応援して下さい。
-:ありがとうございました。
北:ありがとうございました。
プロフィール
【北口 浩幸】Hiroyuki Kitaguchi
1962年生まれ。トレセン歴は松元省一厩舎からで、かの名馬トウカイテイオーの調教も担当していた。その後、2つの厩舎を経て矢作厩舎に。思い出の馬はやはりトウカイテイオー。希少なオウエンダツドレイ産駒のオーゴンオーエン。「父は日本で4頭くらいしか産駒がデビューしていないんじゃないかな。4連勝したんですよ。それで、中京で骨折して、予後不良になったのですが、あの馬も強かったですよ」と懐かしむ。現在は厩務員としてリスグラシューを手がけている。