『善戦マン』返上へ。エタリオウが菊花賞で主役の座を狙う。父親のステイゴールドに似て勝ち味に遅く、主な勝ち鞍は2歳未勝利。しかし豊富なスタミナと持続力で青葉賞2着、日本ダービー4着、神戸新聞杯も2着と重賞制覇まであと一歩のところに迫っている。2勝目がG1勝利となるか、成長が止まらない『最強の1勝馬』について、友道康夫調教師に本音を探る。

神戸新聞杯は「集中力があっていい脚」

-:いよいよ次週は菊花賞(G1)ですね。エタリオウ(牡3、栗東・友道厩舎)の秋緒戦・神戸新聞杯は、ワグネリアンに次ぐ2着でした。

友道康夫調教師:2着だったのですが、この馬の競馬をしての結果ですからね。そんなに疲れも残っていなかったし、秋緒戦としては良かったと思います。

-:これまで色々な番手でレースをしてきて、長く良い末脚を使えるという特徴があったと思うのですが、神戸新聞杯は一番後ろからの競馬になりましたね。

友:ああいう形になったけども、最後はいい脚でしたし、集中力があって来てくれましたね。

-:あの辺はやっぱり菊花賞では距離がもっと延びるので、あれくらいのポジションで走らせたことが次に繋がる、という考えもあったのですか。

友:いや、ジョッキーに関しては特に何も言っていないし、おそらくダービーを観て、ああいう騎乗になったと思います。調教で乗っていてもちょっとズブいところがあるから、あんな競馬になったのでしょう。

エタリオウ

エタリオウ

▲同厩のワグネリアンに詰め寄った神戸新聞杯

-:調教での全体時計としては速く走れるタイプですか。

友:結局ダービーの時も、日本人的にはダービーポジションというのがあるから、「前目に付けていって」と(ヒュー・)ボウマンに言ったら、ボウマンは「調教に乗った感じと今までの映像を観た感じでは、終いを活かす競馬をした方が良い」と言ったんですよね。それで、ダービーはあんな感じになったんですよ。集中力が長く続かないのでしょうね。

-:それで、馬場の真ん中くらいから伸びてきて、最後はちょっと外に、外に、という感じでしたが。

友:ああいう競馬が合っていてもおかしくないですね。性格的にもお父さんのステイゴールドが出ていて、気難しいところもありますが…。

-:ダービーを使った頃から4カ月くらい経っているのですが、馬体に関しての変化はありますか。

友:若干、胴が伸びた感じがしますね。

-:よりステイヤーっぽい感じになったということですね。エタリオウはレースでメンコを着けているので、なかなか素顔を見ることがなくて。

友:それが格好良い、ハンサムな顔をしていますよ。

-:ハンサムで、まだどことなく幼さが残るから、これからまだちょっとシッカリしてきそうですか。

友:まだ輸送をすると体も減るし、まだそんなにシッカリとはしていないと思うので。でも、京都は近郊ですから、問題ないと思います。

-:血統からも距離が延びても。

友:ええ、距離が延びても良さそうですね。

エタリオウ

-:直線では右に、右に、行くのでしょうか。左回りだったら外に行って、右回りだったら内に行くという傾向があるのですけど、何かこの対策として、馬具的な変更というのは考えてられますか。

友:いや、今まで通りの馬具で、青葉賞からの馬具が一番シックリきているので。

-:あとは、乗り方としてステッキを外から叩いて、内に行くような動きをさせないということですね。

友:それは(ミルコ・デムーロ)ジョッキーに任せるしかないですよね。競馬で1回乗って分かっていると思うしね。

-:今週の動きはいかがでしたか?

友:今日(10月11日)ジョッキーが乗ったのですが、まだちょっと重たいかなというところがあったので、このひと追いと週末と来週で変わってくると思いますね。

-:体重的にはどれくらいでしょうか。

友:(レース)間隔もあまりないし、一緒くらいだと思いますよ。

エタリオウ

▲ミルコ・デムーロ騎手が騎乗して11日に1週前追い切り

枠順不問「外枠が当たっても良い」

-:菊花賞は頭数も揃っているので、枠が出ないと。

友:後ろから行く馬なので、外枠が当たってもジッとしていて、良いんじゃないのかな。

-:ダービーでは7枠14番でしたからね。そこから上手いこと内目に入ってという。

友:普通は内枠が有利と言いますけど、先行する馬じゃないので、どこが当たっても良いと思いますよ。外より内に越したことはないけど、外が当たっても…。

-:最後はどこかスペースを見つけるか、外に振るかということですね。世代的にも、春はダノンプレミアム一色みたいな感じでしたが、ダービーからまた勢力図が変わって秋になりましたが、先生的にはどんな世代だとご覧になっていますか?

友:春活躍した馬というのは、やっぱりマイルとか2000mのスペシャリストが活躍した世代だと思いますね。結局ダノンプレミアムやウチのワグネリアンにしても、菊花賞には行かないで天皇賞(秋)に向かうし、菊花賞はやっぱり3歳の中でも距離が延びて良さそうな馬が出てくるのではないでしょうか。
(ダノンプレミアムは天皇賞(秋)を回避)

-:オーナーさんにとっても、エタリオウ以外に前に行くジェネラーレウーノがいますからね。

友:あの馬も前に行って良い馬だし、距離も持ちそうなので、前に行ってそのまま残るのか、エタリオウが差すのか、ハハハ(笑)。オーナーとしても楽しみなレースでしょうね。オーナーもまだ(馬主歴)4年目くらいで、この世代もその2頭を入れて僅かな中ですからね。それが、2頭ダービーに出て、菊花賞にも出られるということはやっぱりすごいですね。運だけじゃないと思うけど、やっぱりすごいですよね。

エタリオウ

-:エタリオウも未勝利で勝った後、2着が4回続いて、その中には青葉賞の2着も含めて実績を重ねてきたわけですが、勝ち味に遅い分、秋に成長してどれくらいパワーアップしているのか楽しみだなと思うのですが。

友:そうですよね。体的には春も良かったけど、やっぱり気持ちの問題ですよね。集中力が長く続かないというところがあって、そこが改善されれば。身体的な部分、パワーや調教の動きはダービーの辺りからよくなってきていますから。

「リラックスできる意味で3000mの方が良い」

-:菊花賞で言えばコーナーが6回あって、最初のスタンドの歓声も含めていつもと違って、エタリオウにとっては良い意味で気が散ってくれるかもしれないですね。

友:リラックスできる意味で3000mの方が良いんじゃないのかなと。

-:飽きちゃうよりも、ということですね。

友:最後の直線だけで。

-:この馬のベスト距離はどの辺になりそうですか。

友:やっぱり2400m以上じゃないですか。2000mよりも長距離ですね。

-:ファンもエタリオウを推している人が沢山いると思うので、最後の一冠に向けて、意気込みをお願いします。

友:最後の一冠を獲らせてあげたいと思って、ここまで何とか頑張ってきたのでね。応援して下さい。

-:ありがとうございます。