ブラストワンピース 3歳トップクラスの実力馬 初タイトルを大一番で
2018/12/19(水)
レイデオロ・ノーザンファーム天栄・木実谷雄太場長インタビュー(1P)はコチラ⇒
-:続いてブラストワンピース(牡3、美浦・大竹厩舎)についてお聞きします。前走の菊花賞は1番人気で4着。勝ったフィエールマンをはじめ、上位馬は年内休養や故障してしまった馬もいて、かなりタフなレースだったと思います。
木:そうですね。実際に勝ったフィエールマンは疲労度合いが激しく、有馬記念には間にあいませんでした。しかし、ブラストワンピースに関しては、これまでのレース後と比べると、疲労度合いは小さかったように感じています。レースの内容というよりも、帰ってきた馬の状態からそう判断していて、今回は入場後程なくして、有馬記念を目標にすることができました。
-:以前からレースでの消耗が激しいタイプだとお聞きしていて、これまでは間隔を空けながら使われていましたが?
木:昨年の今時期は背腰の疲れを回復させるので精一杯でしたし、両前肢が内向しているため球節部分に負担が掛かりやすい傾向もありました。ただ、そういった面もこの1年で大分しっかりとしてきた印象で、今回はいつも以上に順調に調整を進めることができたと思います。
-:天栄を出発する時は560キロくらいで、レースでは530キロ前後で出走しています。あえて大きくつくって送り出しているのですか?
木:僕は、馬体重はそれほど気にしていません。レースでもプラス20キロとか30キロの馬でも勝っていますからね。体調の面では、こちらも夏場は暑さが堪えているような印象もありましたが、菊花賞、今回と、尻上がりに調整をあげているように感じています。
「1年での成長度合いはこちらの予想以上。底を見せていない馬で、中山コースに関しては問題ないと思います」
-:これまでは広いコースで走っていましたが、今回はコーナーが多い小回りコースに替わります。
木:コースに関しては問題ないと思います。毎日杯でも狭い内を突いて伸びてきましたからね。ただ、ゲート内での駐立に課題が残るので、毎日杯のようにスタートを決めて良いポジションを取れれば理想的ですね。
-:距離に関してはいかがですか?
木:菊花賞で負けたと言っても4着ですし、2400mのゆりかもめ賞でも強い勝ち方をしています。適性距離はこれから見えてくると思いますが、十分こなせる範囲なのではないでしょうか。
-:新潟記念は古馬相手に完勝だったとはいえ、G1級とは初めての対戦です。
木:ここのところ3歳馬の活躍が目立って心強いですが、この馬が古馬の一線級と互角に走れるかどうかは、いつも言っているようにやってみないとわかりません(笑)。
-:本格化するのは先の馬ですか?
木:携わってすぐは4歳、もしくは5歳になってからの馬かと思っていましたが、この1年での成長度合いはこちらの予想以上のものがあります。今回はレース後すぐに次の予定を立てられるくらいの回復力を見せてくれましたし、馬がしっかりしてきました。まだまだ底を見せていない馬で、今後どこまで成長してくれるのか、楽しみにしています。
美浦に駆けつけた池添騎手を背に1週前追い切りを行うブラストワンピース
-:まだ開催は残っていますが、2018年はアーモンドアイというスターホースが誕生し、JRAのG1を7勝(12月16日時点)という素晴らしい成績です。大きな手応えをつかんだのではないですか?
木:おかげさまで大きいレースは勝たせてもらいましたが、ノーザンファームの美浦所属馬の勝ち星は昨年と大きく変わっていません。関西馬はかなり勝ち星を伸ばしていますし、もっと勝たなければいけないレースも多くありました。あとは出走回数が減少傾向にありますので、続けて使える丈夫な馬を作っていかなければならないと思っています。
-:続けて使いたいからと言って少し余裕を持った仕上げで送り出した場合、初戦も2戦目も結果が出ない可能性も出てきますよね。
木:はい。単純な話ではないですよ。それほど仕上げていない状態で1度使ったからといって、次に必ず良くなるとは限りません。普段の調教から基礎体力をつけて、1度使ってもへこたれずに2戦目でも変わらないパフォーマンスを発揮できる馬を作っていきたいです。
-:ありがとうございました。
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プロフィール
【木實谷 雄太】Yuta Kimiya
1980年8月5日生まれ。東京都出身。国学院久我山高から東京農工大へ進学し、馬術部に所属。卒業後の2003年からノーザンファーム空港で勤務し、同12月から山元トレーニングセンターへ。2011年10月からノーザンファーム天栄に移り、2015年から場長を務める。趣味は野球観戦で、東北楽天ゴールデンイーグルスの大ファン。